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木村柾哉が「3年前よりも今の方が本音を言い合えるようになった」と語るINIの現在地

CREA WEB / 2024年11月3日 11時0分


木村柾哉さん。

 木村柾哉さんが映画初出演にして初のW主演を務めた映画『あたしの!』。猪突猛進なヒロインと、木村さん演じる学校イチの王子様のラブストーリーは、それぞれの友情に助けられ、ときに邪魔されながら、お互いの大切にするべき感情に気づいていく成長物語でもある。

 そのキラキラやキュンキュンだけじゃない、ヒリヒリとした成長痛も伴う感情のグラデーションを、音楽によって回収していくのが、INIが歌う主題歌「Break of Dawn」だ。


成長の余韻に浸れる主題歌に


木村柾哉さん。

 デモを聴いたときは、少しだけ意外な感じがありました。撮影がクランクアップしてから、初号が出来上がる前に曲のデモをいただいたんですが、この映画に出演するにあたって、勉強のために少女漫画原作の実写映画をたくさん観てみたので、そのとき、たとえば西野カナさんの「トリセツ」(映画『ヒロイン失格』主題歌)みたいな曲がすごく印象に残っていたんです。あそこまでキラキラじゃなくても、同じ原作者の方のラブコメの主題歌なので、なんとな~く甘くてポップな路線なのかな? なんて勝手に想像していたのですが、「Break of Dawn」は、割と大人っぽいしっとりした曲調で。あとで聞いたら、監督の意向もあり、今回の曲調になったそうです。

 でも、今回の曲調で最後を締めくくることで、すごく登場人物一人一人の成長の余韻に浸れるのかな、と思いました。コメディ要素の強い映画ですが、実は感情の機微が繊細に描かれているところが、僕がグッときたポイントでもあるので、その人間ドラマっぽい側面が強調されるというか。人が成長して大人になっていく過程が、「夜明け」というタイトルにも重なって、観てくださる人にとっての明日への希望にも繋がるのかな、と。

メンバーに余計なバイアスはかけたくない


©幸田もも子/集英社・映画「あたしの!」製作委員会

――レコーディングのときは、「こういう映画の内容だから、こういう曲になった」というような説明を、木村さんからメンバーにしたのだろうか? それによって、感情の込め方も変わるような気がするのだが、木村さんは、「敢えてしなかったです」と言う。

 僕が自分の考えを伝えることで、メンバーに余計なバイアスをかけることはしたくなかった。あくまで普段通り、自分たちのイメージのままにやってほしかったんです。今までもそうしてきましたし、その方が僕ららしいと思ったので。実際、それぞれの感性をぶつけてもらうことで、より深みのある楽曲になったと思います。

レコーディング中に直己の気持ちが蘇ってきた瞬間も


木村柾哉さん。

――とはいえ、木村さん自身は、普段のレコーディングとは違う感覚があった。

 特に意識していたわけではないですが、直己の気持ちを乗せつつ歌ったような気がします。クランクアップしてしばらく経ってからのレコーディングだったんですが、歌っている最中に、直己の気持ちが蘇ってきた瞬間がありました。

 本音を隠して生きてきた男が、ちゃんと本音を伝えられたこと。なかなか自分の気持ちをストレートに行動に移せなかった直己が、映画の終盤で、人として成長して、新しい夜明けを迎えるような瞬間の、内側から熱いエネルギーが湧き上がってくる感じとか。歌いながら、そういう直己の感情に一瞬で戻れたことが嬉しかったです。

素直に悩みを打ち明けられるメンバー


木村柾哉さん。

――「Break of Dawn」にちなんで、これまでのグループ活動の中で夜明けの瞬間を感じたことはあったのだろうか。グループの転換期になった時期は。

 いつから、という明確な時期があるわけじゃなく徐々になんですが、数人単位で食事をしながら、悩みを打ち明け合うことが多くなりました。3年前よりも今の方が本音を言い合えるようになった。話す内容も変わってきていますし、みんなの本音を聞くたびに、大人になったなと思います。そういう集まりに誘ってくれるのは、(田島)将吾が多いかもしれない。でも、将吾が声をかけるときは決まって少人数なんです。

 一度、プライベートでメンバーが9人ぐらい集まったときがあって、「今みんなで話せれば最高のタイミングだ」と思って、「将吾も来たら?」って誘ったら、「ごめん、今無理」って返信が来たことがあります(笑)。少人数のときは中心人物なのに、大人数になるとタイミングが合わない。それが田島将吾です(爆笑)。

――メンバーの名前が飛び出したところで、個人としてもっと世間に見つかってほしいメンバーを聞くと、「(許)豊凡ですね」と即答した。

 中国語も英語も堪能で、知識も豊富で写真好き。すごく多才だと思います。10人の日本人に対して、1人だけ中国人ということもあって、感性も独特だし、掘れば掘るほど面白い(笑)。INIにいるからこそその対比が際立つと思うので、もっともっと独自性を発揮していってほしいです。

映画を特に楽しみにしているメンバーは?


木村柾哉さん。

――映画を特に楽しみにしているメンバーについて尋ねると、「(尾崎)匠海ですね。楽しみにしている風を装っているだけかもしれないですけど。メンバーの中では一番『楽しみだな~』って言ってくれます」と嬉しそう。

 4月クールで匠海が出ていたドラマ(「アンメット ある脳外科医の日記」)は、僕も一視聴者として毎週楽しみにしていて、匠海が演じていた風間先生っていう研修医の役のモノマネを本人の前で披露したりしたことがあったんです(笑)。メンバーの中では、僕か(藤牧)京介しかそういうおふざけはしないんですけど。でも、もしかしたら今度は匠海から直己のモノマネをされちゃうかもしれないですね(爆笑)。

 胸キュンが好きそうなメンバー? 意外と将吾かな。あと、(松田)迅はキュンキュンなシーンのたびに派手にリアクションしてくれるんじゃないかと思います(笑)。

グループに1人成田がいてくれたら(笑)


©幸田もも子/集英社・映画「あたしの!」製作委員会

――映画の主人公は、10代の高校生たちだが、そこで浮き彫りになるテーマには普遍性がある。人のために生きるとはどういうことなのか。自分に正直になることで誰かを傷つけてしまうとき、どうすればいいのか。大人になっても、人生の悩みは人間関係から生じることがほとんどだとしたら、この映画から、自分が集団の中でどう振る舞うべきかというヒントを得られることも十分ありそうだ。実際、映画の中でINIのリーダーである木村さんの実生活に影響を与えた場面やセリフはあったのだろうか?

 メインの4人は、みんな優しさや思いやりの心は持っているけれど、どうしても若いし、個性が強いので、映画の中では衝突することもあります。僕らのグループの場合人数が多いので、協調性って大事なんです。だからそこは「衝突しないように」とみんな気遣って、それぞれ自分の気持ちを押し殺しながらやっていた時期はあったと思います。でも、続けていく中で、僕も含めてそれぞれのタイミングで、思いを伝えられるようになっていった。今回、出来上がった『あたしの!』を観て思ったのは、グループに1人成田がいてくれたらな、ってこと(爆笑)。

 あんなに人の心を先回りして読んで気遣える人ってちょっといない。神懸かってますよね。でも、それも直己への深い愛ゆえというか……。あの特殊能力を僕が身につけることは無理だとしても、何か悩みを抱えている仲間のことは、いち早く気づいて、さり気なく力になれたらいいな、なんて思います。

人生の分岐点が描かれた映画


木村柾哉さん。

――木村さんにとって『あたしの!』は、「人生の分岐点が描かれている映画」だという。

 あこ子は最初、自分基準で「頑張っている」「頑張ってない」を決めてしまって、「頑張っている方が偉い」という理由で、自分を肯定しようとします。でも、話が進んでいくにつれて、人それぞれ頑張り方があるし、見えていないところで頑張っている人もいるということに気づきます。

 この映画のメッセージで僕が特に共感したのは、「目に見えているものが全てじゃない」ということ。成田への憧れも含めて、人に対する見方とか、自分が希望を叶えたいときの頑張り方を、この映画で学んだ気がします。いろんな見方ができる映画だと思うので、自分なりの共感ポイントをぜひ見つけていただきたいです。

木村柾哉(きむら・まさや)

1997年10月10日生まれ。愛知県出身。日本最大級のサバイバルオーディション番組「PRODUCE 101 JAPAN SEASON2」で、“国民プロデューサー”によって選ばれた11人組グローバルボーイズグループ「INI」のリーダー。TBSドラマ「君の花になる」(2022年)で俳優デビュー。本作が映画初出演・初W主演となる。身長175cm、血液型B型。

衣装クレジット

ジャケット 95,700円(税込)
シャツ 49,500円(税込) /すべてETHOSENS(ETHOSENS of white sauce 03-6809-0470)

文=菊地陽子
撮影=榎本麻美
ヘアメイク=Sayaka(MASTER LIGHTS)
スタイリスト=TOGO MANAMI

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