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台南に行くなら関子嶺温泉へ!美肌が叶う「泥湯」「日本式温泉」を堪能【温泉ステイで巡る台湾】

CREA WEB / 2024年11月13日 11時0分


洞窟風の別世界!スパゾーンの泥湯ジェットバス=関子嶺温泉「景大渡假莊園」。

今回ご紹介するのは台南の関子嶺温泉(グァンズリン ウェンチュエン)。

 台湾には100を超える温泉があります。台湾に行ったら、温泉に入らないなんてもったいない! 1895年~1945年の日本統治時代に温泉文化が広がり、熱い湯に入れるのもうれしいところ。水着で入る温泉だけでなく、男女別に裸で入れる「日式」の大浴場や、温泉付きの部屋で自分好みに温泉を注いで楽しめるリゾートも多いのです。個性ある温泉とともに異なる民族文化や食文化も大きな魅力です。


 今回の旅は、台南の関子嶺温泉(グァンズリン ウェンチュエン)。日本統治時代に開発され、珍しい泥湯でラジウムも含まれていることから「台湾第一温泉」と称され、台湾総督や賓客の接待の温泉場として栄えました。台湾高速鉄道(台湾の新幹線)に乗れば、台北から1時間30分ほどで台南エリアへ行くことができます。目指す関子嶺温泉は、台南より一つ手前の嘉義駅で下車、バスもありますが、タクシーなら約30分で3,000円~4,000円程度です。

■温泉付きヴィラで自分好みに温泉を満喫


赤い三角屋根が可愛いコロニアルスタイルの温泉リゾートホテル。

「景大渡假莊園」は、コロニアルスタイルの荘園をイメージした温泉リゾート。南国植物が茂る四万坪の敷地にヴィラタイプの客室が並んでいます。


集落を歩く気分で細い路地を抜けると広大なスパゾーンがある。

スパゾーンの入口にはリゾート気分のプールも!



温度の異なる泥湯の温泉を巡って、足つぼやセルフマッサージをする木製の健康器具でくつろげる。

 ヴィラはダブルベッドが1つの2人用が9タイプ、ダブルベッド2つの4人用が9タイプ、6人用が1タイプあり、部屋のインテリアや部屋専用の温泉の雰囲気、価格もそれぞれの部屋で異なるので、好みにあわせて選ぶのも楽しみです(ホテルのHP参照)。



こちらは、2階建てスタイルのヴィラで、上階にテラスと客室、温泉は庭のような感じで専用の露天風呂になっている。

客室内に熱い泥湯の温泉と、冷泉が別々に注げる2つの湯船がある。

 部屋には専用の温泉があって、自分の好きなタイミングで新鮮な温泉を注ぎ込みます。台湾南部の温泉リゾートには部屋にバスタブが2つ並んでいるのは珍しくありません。

 理由は、熱い温泉浴と冷たい冷泉浴の「温冷交代浴」をするため。南国気候では、こうした入り方が、気持ちいいし健康にもいいと人気です。

 蛇口をひねれば熱い泥湯の温泉と、もうひとつは冷泉です。温泉が熱い場合にうめるのも冷泉なので温泉100%で好みの温度にブレンドでき、温泉好きにはたまりません。

■男女別の日本式温泉で泥湯の魅力を満喫


男女別に裸で入れる日本式の温泉が人気。ぬるめと熱めの湯船がある。

 敷地の奥には温泉ゾーンが広がっています。水着で入る温泉&スパエリアには、屋外プールや、様々な温度の浴槽の泥湯温泉、薬草湯、マッサージ器具が自由に使える休憩室などがあります。

 人気が高いのは、日本式の温泉。男女別に裸で入れる大浴場です。関子嶺温泉は湧き出た瞬間から泥湯という珍しい源泉で、泉質はナトリウム-炭酸水素塩泉、弱アルカリ性のなめらかな肌触り。

 他にも塩、硫黄、植物由来の有機物など地球のミネラルも豊富で、泥を形成する成分の75%はメタケイ酸(シリカ)だそう。肌に水分を運び美肌に導くうれしい成分が詰まっています。


温泉泥を塗って蒸気サウナへ入り、シャワーで流して、また温泉へ。

 湯船の横に温泉泥がありました。手ですくってみると、とろとろでなめらか。顔や体に温泉泥を塗って蒸気サウナ室に入り、シャワーで流したら、熱めの泥湯、ぬるめの泥湯、冷泉と、交互に入るとよい、と、常連さんらしきマダムが教えてくれました。まねをして実践してみると、驚くほど発汗。全身の毛穴がひらいて超すっきり。

■味わいと食感が絶品! 蓮の健康養生料理


近くに産地がある蓮を使った養生料理はこの宿ならでは。

 宿の料理は、養生食に詳しい宿のご主人が監修しています。夏の名物は旬の生の蓮の実をたっぷり使った蓮料理。台湾では蓮はレンコンだけでなく、実も花も葉もそれぞれ美と健康にいい養生食材として活用されています。

 人気料理の甘酸っぱい梅汁餡をからめた排骨。蓮の実とレンコンも入って、味わいと食感の違いを楽しみます。付け合わせはパパイヤとトマトのサラダ。トマトの甘さとパパイヤのシャキシャキした歯ごたえで食がすすみます。


蓮の実がぎっしりのごはんの美味しさに感動!

 感動の美味しさだった蓮の実ごはん。蓮の葉に包まれてセイロ蒸しになっていて、いい香りが広がります。蓮の実は百合根のような栗のようなホクホクとした食感。トウモロコシのような優しい甘さがあって、栗ごはんとチャーハンを一緒にいただいているような初めての美味しさ。忘れられない旅ごはんでした。


蓮の花茶は香りも美しい。

 花は乾燥させてお茶に。血行を促し、利尿作用もあると言われ、台湾の夏に欠かせないお茶です。品のある爽やかな香りと味わい、ポットで花開く美しさも格別です。

■有機自然農法の東山珈琲農場へ


有機自然農法のコーヒー豆を収穫して天日干しにする。

 台南市は豊かな農業地帯でもあります。関子嶺温泉から山の上へと向かうと、有機自然農法の珈琲農園が集まる東山珈琲農場があります。

 農薬を使わず、自然のサイクルを大切にしながら天然のミツバチや野生の生き物と共生して作物を育てる「生体農場」(有機自然農法)で、コーヒーを育てる小さな農園が集まっています。

 今回訪れたのは「大鋤花間咖啡生態農場」。収穫したコーヒー豆を2週間天日干しにして、自家焙煎したコーヒーが楽しめます。


大鋤花間咖啡生態農場に併設しているカフェ。

 東山珈琲農園でのアラビカのテピカ種珈琲豆の栽培は日本統治時代に広まりました。大鋤花間咖啡生態農場では6年ごとに枝を切り1年休ませることで本来の力を引き出して育てる希少生産。軽やかで華やかな香りが特徴です。

 クリエイティブな仕事から転身して珈琲農園を始めたご夫妻が営む「大鋤花間」は、絶景の見晴らしとナチュラルな空間のカフェで珈琲やスイーツを楽しめます。


自然農法で育てたコーヒーを自家焙煎しサイフォンで淹れる。

 東山は台湾最大のコーヒー豆の生産地で、世界のコンテストで受賞するなど注目の品種のひとつです。一体は東山175珈琲公路(コーヒーロード)と呼ばれ、家族で営む自然農法の珈琲農園やカフェが点在しています。

 それぞれの農園にこだわりがあり、味も雰囲気も特徴があります。


森や山々を眺める絶景テラスで至福のコーヒータイム。

 自家焙煎したコーヒー豆を挽いて、ご主人がサイフォンで丁寧に淹れてくれた珈琲は、酸味・苦味・渋味がふんわりと融合し、体にすっとしみ込むようなおいしさ。霧がかかる山や森を眺めてコーヒーを味わう至福の時間です。

 關子嶺温泉でしか入れない泥湯の温泉リゾートで肌をつやつやに磨き、高原の風に吹かれて希少な東山珈琲を味わう旅は、きっと新たな台湾の魅力との出会いになるはずです。

關子嶺温泉 景大渡假莊園(The King’s Garden Villa)

http://www.myspa.com.tw/

大鋤花間咖啡生態農場(Dachu Coffee Estate)

http://coffeedachu.com/


石井宏子(いしい・ひろこ)

温泉ビューティ研究家・旅行作家。一年の半分は国内外の温泉を旅して取材執筆する。台湾の温泉の独特なゆったり感が気に入り、台湾各地の温泉に滞在。温泉・自然・食で美しくなるビューティツーリズムを研究。杏林大学 兼任講師(温泉療養学)、国際中医師、日本温泉気候物理医学会・日本温泉科学会会員。著書に「感動の温泉宿100」(文藝春秋新書)、「全国ごほうびひとり旅温泉手帖」(世界文化社)、「新・温泉ビューティ」(グリーンキャット)など
●オフィシャルサイト https://www.onsenbeauty.com/

文・写真=石井宏子

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