【鎌倉駅西口で創業86年】ビールとからあげで乾杯! 〆にはカレー蕎麦orカツ丼セットを
CREA WEB / 2024年11月16日 11時0分
鎌倉で旦那さんと暮らしながら、ハワイや沖縄、もちろん東京でも料理の本を作ったり、取材をしたり。料理編集者・赤澤かおりさんは、どんなに忙しくても元気いっぱいなのです。
忙しい毎日のなかで、ほっとするのはやっぱり、地元・鎌倉に戻って、もしくはおうちで目一杯働いて、お酒を飲む時間。基本的に前々から予約をとるよりも、その日のお腹に聞いて食べたいものと飲みたいものを求めて出かけます。
ふっと時間が空いたとき、ひとりでふらりと出かけた鎌倉で、女性ひとりでお酒を楽しむなら? 今回は「秋に楽しみたいおそばとお酒」をテーマに3軒を教えてもらいました。
定番のおつまみとビールでスタート
2軒目は、鎌倉駅西口から徒歩3分。昭和13年創業、今年85周年を迎えた老舗蕎麦屋さん。2代目のおじいちゃんとおばあちゃんの厨房でのやりとりがまるで喧嘩のようだったことから、かつては常連さんたちに“喧嘩蕎麦屋”の愛称で呼ばれていた、なんていう微笑ましいエピソードもある、地元で愛され続けてきたお店です。
私も、もうずいぶんと長いこと通い続けている、自著にも、連載のコラムにもその想いを記してきた大好きなお店。2024年の今年は、おめでたいことに3代目の娘さんである亀山順子さんが4代目を引き継いだ年。現在は、まだまだ元気な3代目のお父様、お母様、そして妹さんとともにお店を切り盛りされています。
そんなここでひとり飲みだなんて大それたことができるようになったのは、意外と最近のこと。お蕎麦屋さんで飲むという行為が楽しめるようになったのも、30代も半ば過ぎてからでした。ましてやひとりで、だなんて大人すぎて、年齢的には充分大人だったけれどもなかなか踏み出せないままでいましたが、ようやく蕎麦屋飲みにも慣れてきた今日この頃です。
私の場合は、さっと行って、さっと帰るくらいの気ままさが合っているようで、ここは買い物帰りにさっと立ち寄る、ちょい飲み蕎麦屋として定着しました。とはいえ週末ともなれば、ダンナが「蕎麦屋に行こうよ」というので、そのときばかりは長居をしてしまうんですが。
コロナ禍に誕生した「からあげ」が新名物
今日はビールの小瓶と定番の板わさと、秋冬になると注文したくなる「揚げ出汁餅」、「鶏のからあげ」からスタート。おいしくてつまみもビールも追加したくなるのを堪えて、まずは潔くサクッと。
「からあげ」は新型コロナウイルスのパンデミックの際、お弁当の販売をしていたときに、おかずとして人気だったもの。これは今も厨房に立つ順子さんのお母様が長年家族のために作ってきたレシピだそうで、今は定番メニューとしてテイクアウトもイートインのつまみとしても人気が定着しているそう。
サクッと揚がった衣と共に口の中を占拠する肉汁をビールで流し込む感じがたまらない。幸せすぎて思わずひと口ごとに目を閉じてしまうほど。
ビール以外に、日本酒の種類も充実しているので、近日、新蕎麦を味わうときには、日本酒から攻めてみようと思います。
〆のそばは、カレーにするか、セットにするか
仕上げは大抵、「せいろ」か「素カレー」で、たまに「カレー南蛮」を注文することがほとんど。素カレーとは、肉なしのカレー南蛮のことで、妙齢の私には少々カレー南蛮が重たいかなというときにちょうどいいもの。たまに肉のかけらが入っていたりすると、ちょっとうれしくなる楽しい逸品です。
今日は奮発して久しぶりにカレー南蛮。仕上げのつもりが、カレーとだしの絶妙な割合と具だくさんのおかげで、またビールを追加したくなってしまいました。やばい、やばい。
また、もうひとつのおすすめが、禁断のカツ丼+半そばセット1,680円。蕎麦屋のほんのり甘めのカツ丼ってどうしてこんなにおいしいんでしょうか。ハーフサイズではなくフルサイズでやってくる気前の良さで、このお値段。お蕎麦は、温かいのか冷たいのかが選べ、プラス70円で胡麻せいろにもでるなんて、くーっ! 素晴らしすぎる!
どこに座っても居心地がいい
ひとり飲みはどの席でいただくかも重要。ここでは、掛け軸がわりに飾られた季節の手ぬぐいを眺めながらテーブル席で飲むことが多いけれど、大勢のときは座敷に上がってゆっくりいただくことも。
ひとり飲みにうれしいカウンター席には、鎌倉について書かれたさまざまな書籍とともに『ドラえもん』や『きょうの猫村さん』なども並べられているので、本棚に並ぶ背表紙をチェックしながら、ときには本を開いたりしつつ飲むのもまたいいのです。
このなんとも気取らない町のお蕎麦屋さんで、晩ご飯作りの前に、東京帰りの後にちょっとひと息、ほっこりできるのは本当にありがたい時間。ひとりで鎌倉を訪れた際には、ぜひ、地元民に混じってなごんでほしいなぁと思います。
「竹扇」といえばのお楽しみをもう一つ。
2階のお座敷では定期的に落語会(3,500円 ドリンク付き)を開催。次回は2025年1月だそう。詳しくはお店のInstagramをチェックしてみてください。会場でいただけるミニお弁当(600円・要予約)もあるそうですよ。
厨房からのにぎやかな笑い声や、注文が通る威勢のいい受け答え、たまに言い合い(笑)をBGMにすする蕎麦前のお酒とつまみ時間に癒され続けて20年以上。いつもありがとうございます。これからもよろしくお願いします。
竹扇
所在地 神奈川県鎌倉市御成町9-31
電話番号 0467-22-2319
営業時間 11:30~16:00
定休日 不定休(Instagramで確認)
Instagram @sobachikusen
https://www.chikusen-soba.jp/
赤澤かおり(あかざわ・かおり)
料理雑誌の編集部を経て、フリーランスに。料理と旅の編集者として活動。料理本のほか、30年以上通い詰めるハワイについての執筆、単行本編纂も多数。近著に「人生にはいつも料理本があった」(筑摩書房刊)。
Instagram @kaoriakazawa.akalohasunny
文=赤澤かおり
写真=榎本麻美
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