【秋ドラマ】遠藤憲一が『民王Ⓡ』で魅力放出中! 若い女子から5歳児まで七変化が凄すぎる…次は誰と入れ替わる?
CREA WEB / 2024年11月16日 17時0分
こんにちは、“おじさん俳優”推しのドラマウォッチャー・斎藤真知子です。
秋ドラマも概ね出そろいましたね。ですが“おじさん俳優”が一度に大勢出る作品はなく(そうしょっちゅうあるわけないのですが)、勝手に若干寂しいシーズン。とはいえ、もちろん“おじさん俳優”の出演がゼロというわけではありません。
今回も、この演技とキャラクターは見逃せない、見逃したくない! というおじさんキャラと、演じる俳優たちを3名厳選してご紹介します。
ちなみに、このコーナーでは“おじさん俳優”を、40歳以上と定義してます。
◆『民王Ⓡ Inspired by 池井戸潤』の遠藤憲一
若い女子から5歳児まで!? 遠藤憲一さんの(貴重な)七変化を見逃すな!
2015年に放送された『民王』から9年の時を経てリターン、と話題の『民王Ⓡ』(テレビ朝日系)。
前作は池井戸 潤氏の原作で、現職総理大臣・武藤泰山(遠藤憲一)とおバカな息子・武藤 翔(菅田将暉)の心と体が入れ替わるという前代未聞のシチュエーションを、おかしく温かく描いて熱烈なファンを生み出しました。
おバカで漢字が苦手、マイペースな息子になりきった遠藤さんはもちろん爆笑させてくれ、大ブレイクぎりぎり前夜の菅田将暉さんの総理役(というか武藤泰山を演じる遠藤憲一さん役)も、同じくこの作品で人気が急上昇した高橋一生さんの、何事にも冷静な総理の秘書役も、すべてがおかしくて最高の作品でした。
で、今回の続編ですが、今回は池井戸氏の原作にインスパイアされた、という形でのオリジナル作品。
しかも前作は息子との入れ替わりだけだったのに、今回は入れ替わる可能性のある対象は国民全員!? という設定で、どうなるんだろう? と一抹の不安も抱きながら見始めたのですが……、面白い! そしてエンケンさん(以下この呼び方で失礼します)の演技の幅の広さに、改めて感動しています。
第一話では、新たに登場した秘書・冴島優佳(あのちゃん)と入れ替わりました。
エンケンさんは、あのちゃんのやや舌ったらずな喋り方をしっかり再現(彼女自身は秘書役で普段よりしっかり、滑舌もよく話していますが)。内股でちょこちょこ歩き、本来のイメージとはほど遠い“若い女子”役をきっちり表現したのです。
また第二話では、“無理ゲー”な人生を諦めきっている若い男子・木下直樹(曽田陵介)と入れ替わり。猫背で覇気のない若者になりきりました。
そうやって入れ替わることで、現代の民の心、本音を体感し、知っていくのです。
さらに第三話では、な、なんと5歳児と入れ替わり! 喋り方はもちろんですが、目の前にいるのがアメリカ大統領だろうとおもちゃで一緒に遊びだしてしまう様子や、不安で周りにいる大人の服をつかんでいる様子、突然「抱っこ~」と言い出す様子などなど、子供特有の動きを表現して、爆笑させてくれました。
それもこれも、エンケンさんのこわもてとのギャップが大きいから面白いのです。
エンケンさんの魅力は怖い系の役だけではおさまりません
何しろドラマ内で“ワニ顔総理”とハッキリ呼ばれ、公式のインスタグラム内では【ワニ顔総理by民王Ⓡ】エフェクトまで作られてしまい、ワニワニと連呼されてしまうほど、迫力のある顔面がエンケンさんの大きな特徴のひとつ。
出演していた『ドクターⅩ~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日系)でも、しょっちゅう大門未知子(米倉涼子)から「顔怖いよ?」と言われていたような。
過去にはそのこわもてを最大限に活かした、ヤクザや殺し屋役を多く演じてきました。『池袋ウエストゲートパーク』(TBS系)で演じた羽沢組若頭の氷高はシャープでカッコよく、初主演作となった『湯けむりスナイパー』(テレ東系)の、元殺し屋の源さんは、うらぶれた渋さにあふれていました。
また殺し屋などではありませんが、個人的に推したいのが映画『クライマーズ・ハイ』で演じていた、新聞社の社会部長・等々力庸平。時代を感じさせるメガネ姿で横暴で嫌味な新聞記者を演じ、話し方なども含めて、こういう新聞社の人本当にいそう、と感心したものです(実際筆者の友人の親族に新聞記者がいて、「あのエンケンさんはその人にそっくり」と言っていました)。
ですが、エンケンさんの魅力は怖い系の役だけではおさまりませんでした。
膨大な数のドラマや映画に出演しているのでひとつひとつは紹介しきれませんが、例えば『スキャンダル』(TBS系)で演じた吹石一恵の年の離れた夫役は、いつになく軽いノリの美容整形外科医で新鮮だったし、『ドクターⅩ~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日系)で演じた、上司の蛭間院長(西田敏行)に絶対服従の海老名 敬役は、「御意!」の言葉と共にエンケンさんの挙動不審な様子の面白さを知らしめました。
役によって軽みも出るし、とぼけた可愛らしさも感じさせるのは、やはり演技力の高さの賜物だと思います。
そして個人的に忘れられないのが、2008年のドラマ『白い春』(フジテレビ系)で演じた、パン屋の店主・村上康史。
血のつながらない女の子を懸命に育てている、一見ぶっきらぼうで不器用な男の役なのですが、それまでのエンケンさんの演じてきたこわもてを活かす役とまったく違い、市井の普通に働いて生きている男性の、静の魅力に満ちていました。
女の子の実の父親、佐倉春男(阿部 寛)に、初めは冷たく当たりながらも徐々に親交を深めていく姿も説得力がありました。
それだけ幅広い役柄を演じてきたからこそ、『民王Ⓡ』での、毎話誰か別の人を演じる役も説得力が高いし面白いのだと思います。
他にどんな人と入れ替わるのか、楽しみながら見たいと思います!
『民王Ⓡ Inspired by 池井戸潤』
毎週火曜21時00分放送(テレビ朝日系)
https://www.tv-asahi.co.jp/tamiou/
Instagram @tamioudrama
文=斎藤真知子
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