真田広之、野村周平、板垣李光人…令和の時代劇を盛り上げる【2024年ベスト・オブ・ちょんまげ発表!】
CREA WEB / 2024年12月12日 18時0分
●グローバルちょんまげ賞、真田広之!
2023年から風は感じていた。私の気のせいだろうか。いや、気のせいではない。今、時代劇がおおいに盛り上がっている――。
少し前、ある方からこんなコメントも頂いた。
「田中さん、真田広之さん主演の『SHOGUN 将軍』がエミー賞を取りましたね。ちょんまげランキング、更新しなくていいんですか?」
私は驚いた。ま、まさか「ベスト・オブ・ちょんまげ」企画を覚えてくれていた人がいたとは!
それに、真田広之さんは私も大好きだ。特に1983年公開の角川映画「里見八犬伝」の親兵衛は今でも鮮明に覚えている。軽やかな身のこなしが本当にカッコ良かった。
今回の「SHOGUN 将軍」吉井虎永役も、もちろん激シブ、凛々しいちょんまげ姿であったが、頭頂部を剃っていないタイプだった。ちなみに、ここでマメ知識だが、頭頂部を剃り上げた部分は「月代(さかやき)」と呼ぶ。あれは兜や烏帽子をかぶる際に、蒸れてしまうので、いっそ剃ってしまえ的な感じで生まれた髪形らしい。
真田広之さんはFX Networkのインタビューで、虎永役のヘアスタイルについて
「ちょんまげは重要だからね。月代なし、月代あり、日本式や西洋風、いろいろ試して、カメラテストを行ったよ。そして最終的にミックスバージョンに決まりました。私の頭の上でイーストミーツウエストしている感じ……」
と、語っておられた。
SHOGUNちょんまげ秘話をボーイミーツガールみたいに話す真田さん、可愛い! ヘアスタイルを担当したのは、2002年に真田さんが主演した「たそがれ清兵衛」の方だということも説明されていたのだが、インタビューが英語で、「たそがれ清兵衛」を「トワイライトサムライ」と仰っていた。ぬおお海外ではそんなタイトルになっているのか。なんとも風流!
●奥が深い時代劇ヘア
ちょんまげに話を戻そう。真田さんのちょんまげ姿は素晴らしい。「グローバルちょんまげ賞」は彼で文句なし、満場一致だろう。ただ、私個人としては、真田広之さんは、野村萬斎さん主演「陰陽師」での、悪役・道尊を演じた際のざんばらロングヘアも捨てがたい! いや焦るな私。戦いに負け、ちょんまげが取れてしまったあとの落ち武者ロングボブが似合う俳優賞については、別の機会を作ろう。まずは正統なちょんまげからだ。
さらにいえば、2025年1月5日から、江戸時代の出版業界を描いた大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」が始まる。2023年に私が選定した「ベスト・オブ・ちょんまげ」はサムライちょんまげが似合う俳優であったが、今回は文化人ちょんまげにも目を向けておくべきだろう。
いやいや、その前に、今期の大河ドラマ「光る君へ」にリスペクトを送りたい。その意味で「ベスト冠・烏帽子ニスト」は発表しておくべきだろう――。
ああ、頭の中で名だたる俳優の烏帽子&ちょんまげ姿の頭部がボンボンと浮遊している。ものすごく気持ち悪い状態なので、迅速にアウトプットしなければ……!
2023年に登場した俳優は選外とし(気になる方はコチラをご覧ください)、今回は、時代劇の未来を担う俳優たちをピックアップ。さあ、いざいざ発表。いよーッポン!(←鼓の音)
●ベスト冠ニスト…塩野瑛久
言わずもがな、「光る君へ」の一条天皇役での受賞である。もう、冠をかぶることが運命づけられていると言っていい。今クールは民放でも「無能の鷹」に出てらっしゃるが、現代的な無造作ヘアのほうがヅラなのでは、という疑惑も渦巻いているほど。なんなら冠をつけたまま「無能の鷹」に出てくれても誰も文句を言わなかっただろう。今後の雅な活躍に期待!
●ベスト烏帽子ニスト…金田哲(はんにゃ.)
「光る君へ」の藤原斉信役での受賞。「頭皮から烏帽子が生えている」レベルでお似合いだったので驚いた。「光る君へ」は、金田さんの他に秋山竜次さん、矢部太郎さんなど、お笑いの方から素晴らしいセンスで平安顔を抜擢していてお見事。彼らの名がどんな風にして挙がったのか興味深い。キャスティング会議の様子を配信してほしい!
●ガンコちょんまげ賞…野村周平
「十一人の賊軍」のちょんまげ姿のほうが、素のロングボブよりイケていると感動したのは私だけではないはず。なんと恵まれた頭とデコの形! 抑えきれない自己顕示欲を感じる佇まいも、武士ちょんまげのソウルにいい影響を与えている。自分でも何を書いているのかイマイチよくわからないが、読者には、フィーリングが伝わっていると信じている。野村周平のデコには、サムライの魂が宿っている、と!
●策士ちょんまげ賞…風間俊介
近年、知的ちょんまげポジといえば風間俊介さん。にこやかに見えて笑っていない目、あまり口を開けず話すのに滑舌の良いセリフ回し。全身から溢れ出る策士な風情は、ポスト石坂浩二さんの香りもする。味方だと超安心、敵だとヤバ怖い。ちなみに次期大河「べらぼう」では、主役・蔦屋重三郎のライバル、鶴屋喜右衛門を演じる。ぜひ、今後も主人公にいろんな企みを仕掛け、物語にスリルとサスペンスをもたらしてほしい。
●キセルちょんまげ賞…安田顕
「べらぼう」のキャラクター紹介でのけぞったのは、安田顕さんの平賀源内である。まんま源内じゃん(震)! 2024年冬クール、小芝風花さん主演の「大奥」で見せた悪代官・田沼意次の怪演も素晴らしかったが、今回はちょんまげに加え、キセルがいい仕事をしている。Wikipediaの平賀源内ページにある肖像画が安田顕さんに替わっていても、私は見逃すだろう。
●何色にでも染まりそうな有望ちょんまげ賞…仲野太賀
ちょんまげ俳優のなかでも「カメレオンちょんまげ」として最も期待大なのが仲野太賀さん。非常にベーシックな日本的童顔プラス、確かな演技力。絶対似合う似合うと思っていたが、思った以上に似合う! 「十一人の賊軍」の乱れちょんまげは神。2026年の大河ドラマ「豊臣兄弟!」の主演も決まったことだし、今後も時代劇をガンガン盛り上げていってほしい!
●ストイックちょんまげ賞…横浜流星
「べらぼう」主演の横浜流星。ストイックに役を生きることで知られる彼だが、その姿勢は早くも「べらぼう」のヅラに表れている。画像を見ると、髷部分が小さく、月代部分がかなり広い。あんな難易度の高いヅラを己のものにするとは……。しかも彼の声は、絶対時代劇と合う。「しゃらくせぇ!」と吹き出しをつけたくなるストイック江戸ちょんまげ俳優の道を切り拓きそうだ。
●美剣士ちょんまげ賞…渡邊圭祐・板垣李光人
長らく、京本政樹があまりにも圧倒的だった美剣士ちょんまげ枠に2人も有望株が……! 映画「八犬伝」から2人選出である。板垣さんの性別を超えた変身ぶりは忍者も似合うのではないか。渡邊さんは、「必殺仕事人」のリメイク企画がもう一度持ち上がれば、京本さんが魅せた「組紐屋の竜」を継いでいただきたい。
ちょんまげちょんまげと書きすぎてゲシュタルト崩壊気味だが、いやはや、選ぶのに苦労するほどのクオリティの高さ! 彼らに加え、ちょんまげ俳優の重鎮、役所広司さん、内野聖陽さん、北大路欣也さん、松平健さんがいて(西田敏行さんが亡くなってしまったのは本当につらいが……)、中村獅童さんに野村萬斎さん、片岡愛之助さんといった、ちょんまげ俳優としての天賦の才を持った中堅実力派もガッチリいる。
NetflixでもAmazonプライムビデオでも地上波でも映画でも、どんとこいタイムスリップ! 日本の時代劇の未来は明るい――。
もうすぐ2025年。服装もヘアスタイルも、そして生き方もすっかり変わったが、永遠に変わらない美学は心の中に。
みなさんの大好きなちょんまげ俳優は誰でしょう。またいつの日か、ベスト・オブ・ちょんまげ、更新できますように。
田中 稲(たなか いね)
大阪の編集プロダクション・オフィステイクオーに所属し『刑事ドラマ・ミステリーがよくわかる警察入門』(実業之日本社)など多数に執筆参加。個人では昭和歌謡・ドラマ、都市伝説、世代研究、紅白歌合戦を中心に執筆する日々。著書に『昭和歌謡出る単1008語』(誠文堂新光社)など。
●オフィステイクオー http://www.take-o.net/
文=田中 稲
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