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「『聖☆おにいさん』を観ても僕のファンをやめないで(笑)」3度目の“福田組”で見せたアドリブ

CREA WEB / 2024年12月19日 17時0分

 中村光原作マンガの映画化『聖☆おにいさん THE MOVIE~ホーリーメンVS悪魔軍団~』に出演された岩田剛典さんにインタビュー。福田雄一監督率いる「福田組」への想いと、お笑いに対する向き合い方をお聞きしました。


――本作には、主演の松山ケンイチさん、染谷将太さんをはじめ、豪華な俳優陣が贅沢に登場します。現場の雰囲気はいかがでしたか?

岩田剛典さん(以下、岩田) コメディ作品だと、結構賑やかだと思いがちですが、すごく穏やかな現場でした。みんながそれぞれ、自分の持ち味を活かそうと自由にやるのですが、それでバラバラになったりトゲトゲしたりするのではなく「みんな工夫してやっているから、自分も何かやらなきゃ」というモチベーションにつながっていました。

――岩田さんにとって3回目の福田組参戦は、慣れ親しんだ「ホーム」に戻ってきたような感覚ですか?

岩田 いやいや、全然。むしろ参加すればするほどハードルが高くなるので、アウェーに近づくイメージです。毎回プレッシャーですし、本当に大変なんですけど、クセになるというか、絶対参加したくなってしまう現場です。


岩田剛典さん。

――現場での印象深いエピソードがあれば教えてください。

岩田 仲野太賀さんが演じる十一面観音と、神木隆之介さんが演じるヨハネのバトルシーンが面白かったです。ふたりのうちどちらが天界からのオファーを受けるかで争う場面で、お互いにずっと相手の目を見ながら威嚇し合っていたのが、強烈でした。

 ただこの場面、残念ながら本番ではカットされてしまったんです。似たシーンは残っているので、映画をご覧いただいたら、「あっ、このシーンだな」とお気づきいただけると思います。ぜひ、探してみてください。

――岩田さん演じるミカエルが、弁才天(演:白石麻衣)と一緒に、軽快なラップとダンスでイエスとブッダにスパルタ指導をするシーンも強烈的な印象でした。ラップやダンスは、台本にはなかったそうですね。

岩田 はい。アドリブでやりました。とにかく、「福田組3回目」というのが僕の中でものすごいプレッシャーで。絶対何かやらなきゃと思っていたところに、福田組初参戦の白石さんが、監督が大絶賛する熱演を披露してくださったので、これは負けるわけにはいかないと(笑)。

 僕も臆せずやろうといろいろ考え、アドリブのラップとダンスという形にたどり着きました。

「手応えなんて、ひとつもない」

――イエス役の松山ケンイチさんとブッダ役の染谷将太さんは、台本にない岩田さんの演技にかなり衝撃を受けたと先日の完成報告会でおっしゃっていました。ご自身でアドリブの手応えはありましたか?

岩田 手応えなんて、ひとつもないです。むしろ、もっとできたんじゃないかと思います。これはいつも、どの作品に出ても思うことが多いのですが、本作はほかのみなさんの振り切り方がすごいので、特にそう思います。

 でも今回は、ラップにしてもダンスにしても、自分が持ち込んだものを福田監督が面白がって笑ってくれたので、そこはすごくよかったなと思っています。


岩田剛典さん演じる天使長のミカエル ©中村光/講談社 ©2024映画「聖☆おにいさん」製作委員会

――「Team天界」メンバーの賀来賢人さん演じる梵天と、勝地涼さん演じる帝釈天と3人で、イエス(演:松山ケンイチ)とブッダ(演:染谷将太)を説得に行くシーンは、3人の息がピッタリ合っていました。このシーンは撮影前に、かなり練習されたのでしょうか。

岩田 あのシーンは3人で何度も練習したというよりは、それぞれが持ってきたものを現場の雰囲気で作り上げていった、という流れです。

 福田組は、だいたいテストをやらずに本番、ということが多いんですよ。芝居がまだ固まっていない中でのいきなりの本番なので、3人でイメージを探りながらその場で作り上げていきました。


「Team 天界」 ©中村光/講談社 ©2024映画「聖☆おにいさん」製作委員会

――いきなり本番……。それは怖いですね。

岩田 ほんと、怖いですよ(笑)。しかもだいたい本番一発撮りで、多くても2テイクくらいしか撮らないので、毎回すごい緊張感があります。

 しかも僕は今回、ほとんど監督から「今のはちょっと違う」「もっとこうやって」というような演出を受けなかったので、自分がやっている演技がいいのかどうかがわからない。ただ、監督が笑っているかどうかを目安に、自分を信じて演じ続けました。

「本作を観ても僕のファンをやめないでください(笑)」

――監督を笑わせることに成功されて、コメディー作品やお笑いなどにも挑戦してみたいと思われますか?

岩田 いや~……、ないです。でも、福田組にまた呼んでいただけたら、きっとまた同じようなことか、それ以上のことをやっちゃうと思います(笑)。それだけです。

 ただ、ここまで振り切ったキャラクターを演じたことで、「こんな弾けた役柄もやれる俳優」というイメージがつくのは怖いです。「岩田にふったら、何か面白いことやってくれるだろう」みたいに思われたら困るなあ(笑)。


岩田剛典さん。

――本作を観たら、観客もファンの方も、確実に次作への期待値が高くなるのでは。

岩田 それは自分で自分のハードルを上げているような……(笑)。

 でも本作は、小さいお子さんからご年配の方まで、誰もが文句なしに楽しめる映画だと思うので、ぜひご家族やお友達と劇場でご覧ください。そしてファンのみなさま、本作を観ても僕のファンをやめないでください(笑)。

文=相澤洋美
写真=平松市聖

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