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台北から1時間の烏來温泉へ! 渓谷の温泉リゾート「五行スパ」で心身整える【温泉ステイで巡る台湾】

CREA WEB / 2024年12月12日 11時0分


温泉に浮かべた筏で行うアートパフォーマンス=烏来温泉「ヴォランド・ウーライ」。

今回ご紹介するのは台北からアクセスもよい烏來温泉(ウーライ・ウェンチュエン)。

 台湾には100を超える温泉があります。台湾に行ったら、温泉に入らないなんてもったいない! 1895年~1945年の日本統治時代に温泉文化が広がり、熱い湯に入れるのもうれしいところ。水着で入る温泉だけでなく、男女別に裸で入れる「日式」の大浴場や、温泉付きの部屋で自分好みに温泉を注いで楽しめるリゾートも多いのです。個性ある温泉とともに異なる民族文化や食文化も大きな魅力です。


 今回の旅は、台北・烏來温泉(ウーライ ウェンチュエン)。台湾の原住民族のタイヤル族(泰雅族)が暮らしていた地域で、「烏來」(ウーライ)はタイヤル語で「温泉」を意味します。

 台北から1時間ほどの場所にありながら、雲がたなびく山とエメラルドグリーンの渓流を眺める景勝地で、大自然とタイヤル族の文化を感じられる温泉地です。台北市内からMRT(都市高速鉄道)で新店駅まで約30分、バスも出ていますが、タクシーなら約30分、後述する温泉リゾートホテル、ヴォランド・ウーライの送迎バス(宿泊者無料)も運行しています。

■温泉街でタイヤル族の文化に触れる


タイヤル民族資料館の前にある温泉マークはフォトスポット。

 渓谷に沿って広がる温泉街の中心「老街」には、タイヤル族の“おふくろの味”食堂や、山の野菜が買える店、民族資料館や土産物店などがずらりと並んでいます。家族経営の小さな宿や家族湯を備えた日帰り温泉もあり、賑わいにワクワクします。


温泉街のカフェ「渼潞(メイルー)工作坊」では、タイヤル族のマスターが陽気に迎えてくれる。

タイヤル族の伝統工芸品の店でもありカフェでもある。馬告珈琲には金箔が。

 タイヤル族は山で獲れる「馬告」(マーガオ)という山胡椒の一種を古来より愛用し、料理やお菓子、オイルなどにして使います。台湾独特のもので和名はなく、味わいは山椒と黒コショウのイイとこどり、爽やかなレモングラスのような香りも特徴です。

 温泉街のカフェ「渼潞(メイルー)工作坊」でタイヤル族のマスターが淹れる「馬告珈琲」が名物ときいて立ち寄りました。作り方は豆から、コーヒー豆と馬告の粒を一緒に挽きます。といっても、コーヒー一杯分につき馬告は2粒ほどだそうです。

 コーヒーの奥にほのかに感じる清涼感が絶妙な美味しさ。「馬告珈琲は医食同源。体を温めて、胃腸がすっきりする」と、マスター。

■日常から解き放たれる温泉リゾートホテル


舞踊やパフォーマンスはホテルスタッフが演じる。

 ヴォランド・ウーライは、館内のあちこちで「生活の儀式」をモチーフにしたアートパフォーマンスが行われます。ロビーでは地元の鍛冶作家のゴングを鳴らす舞踊でお出迎え。

 冒頭写真は、午後の茶時の創作芸術パフォーマンス。エメラルドグリーンの渓流をバックに、温泉水のプールに浮かべた筏の上で静寂の対話の儀式。その後に太鼓と対岸の鍛冶屋が奏でる銅鑼(どら)の音が響きあう生活の音のパフォーマンスが続きます。


夕食後に部屋に戻るとキャンドルが灯され天蓋の布が下ろされている。

温泉の蛇口をひねって自由に新鮮な温泉を注いで入る。

 ホテルはルレ・エ・シャトー加盟。23室の客室は、天蓋のベッドを備えたロマンティックな温泉付きスイートタイプです。どの部屋も1名利用も可能とあって、女性のおひとり様も多いとか。山と渓谷、エメラルドグリーンの水面を間近に感じながら過ごせます。

 アメニティやバスローブ、スリッパなど全て揃っているし、台湾阿里山紅茶やコーヒー、ドライフルーツやおやつ、台湾ビールや健康ドリンクなど全てインクルーシブ、優雅なリゾート時間を満喫できます。


露天風呂からエメラルドグリーンの水面が望める。

 大浴場は男女別に裸で入る日本式。温度や深さが異なる温泉に入れる内湯と洗い場、露天風呂は渓谷の風を感じながらゆったり癒されます。露天風呂のすぐ横にもウォーターサーバーが置かれていてうれしい。

 烏来温泉は弱アルカリ性のナトリウム-炭酸水素塩泉、つるつるとなめらかな感触で、肌しっとりすべすべです。

■中医学の五行理論のスパで心身を整える


手と足のツボに機器をあてて五行経絡の状態を測定。

トリートメントの後に人体骨格標本で体の問題を改善するための日常アドバイスをしてくれる。

 ホテル内の「Dasha Spa」へ。中国医学の五行理論の考え方で心身の状態を測り、スパルーム内の温泉に入浴後、体の状態に合わせたアロマオイルを用いて「精神」と「身体」の両方を整えていきます。

 ツボ指圧とマッサージを組み合わせたようなトリートメントで、深くまでリラックスすることができました。

■男女別日本式の大浴場と台湾式朝食


馬告牛肉麺は人気の一品。ベッドにはホテルのマスコットが待っている。

 2つあるレストランではコースメニューもありますが、今夜は軽めにアラカルトで。原住民族の風土がテーマの「シリクSiliq」レストランの名物メニュー「馬告牛肉麺」は、自然な旨みを活かした優しい味わい。付け合わせの野菜や馬告もよいアクセントになっています。

 食後に部屋へ戻ると、キャンドルが灯り癒しの雰囲気に変わっていました。ベッドにはマスコットベアとメッセージカードが。4種類の枕が選べることが3か国語で書いてありました。


渓流に突き出すようなガラスキューブのレストラン「ソヤンSoyan」。

温かいお粥にほっとする台湾式朝食。

 ぐっすり眠った翌朝の朝食は緑の渓流を眺める優雅なレストランで。ここはスローフードがテーマです。キヌア入りのお粥で内臓を温めて、フレッシュな野菜サラダもたっぷり。台湾式のおかずも素材を活かした優しい味わいでほっとします。

■タイヤル族の里に誕生した日帰り美食温泉へ


「馥森阪治Trio」は森の中の聖域がコンセプト。別世界への坂道は食事を楽しむテラス席にもなっている。

額縁のように切り取られた山と森の景色がすてき。

 烏來温泉中心部から車で5分ほど山へ向かい、2021年に誕生した「馥森阪治Trio」へ。山の中の小さな集落をイメージした日帰り温泉と食事を楽しむ場所です。

 烏來はタイヤル族が暮らす台湾最北端のエリア、この地にやってきた三兄弟の名前がついた3棟の建物に16室の貸切温泉があります。

 台湾の個室温泉は、入ってから自分で温泉を注ぎます。新鮮な温泉を好みの温度に調整して入れるのがうれしい。こちらも泉質は、ナトリウム-炭酸水素塩泉、さらりとした感触で軽やかに肌を包みなめらかに整えます。


チョウザメのゼリーは昆布出汁で煮凝りのような食感。

6種のメイン料理から馬告チキンを選択。右はデザートのチーズケーキ。キノコの下の土はサクサクとしたビスケット。

 レストラン「INNORI 因諾莉餐廳」は、タイヤル族の祈りを意味した名前。原住民族料理、地元食材、健康の三原則を大切にした美食が楽しめます。

 ランチは6種のメインから選べるコース料理。前菜とサラダは、思わず写真におさめたくなる美しい盛り付けです。地元野菜の味わいがとても濃くて、そのままでも旨みがすごい。チョウザメを昆布出汁で煮込んで作るゼリーは、中に身も入っていてぷりぷりと美味しい。

 メインには、黒金剛花生という黒い落花生と馬告を使ったローストチキンを選びました。パリッと焼きあがった鶏肉は馬告スパイスがアクセント、黒いピーナッツはアントシアニンが豊富でポリフェノールの宝庫、付け合わせは台湾の山菜「山蘇」(オオタニワタリ)でとろみのある食感、くるりと先がカールした形が面白い!

 デザートは山レモンのチーズケーキ。土からキノコがにょきっと生えたような形がかわいらしいものでした。

 美肌湯の名湯・烏來温泉は、台北から約1時間でアクセスできる便利な場所にありながら、日本から訪れる人はまだまだ少ないところ。にぎやかな温泉街、大自然の景観、優雅なリゾートスパや、アートな温泉、美食レストランなど、何度も訪れたくなる楽しみがいっぱいです。

馥蘭朶烏来渡仮酒店(Volandourai Spring Spa&Resort)

https://www.volandospringpark.com/
*MRT新店駅からホテル専用送迎バスあり

馥森阪治Trio(Fusen Banzhi Trio)

https://fusenbanzhi.com.tw/tw/


石井宏子(いしい・ひろこ)

温泉ビューティ研究家・旅行作家。一年の半分は国内外の温泉を旅して取材執筆する。台湾の温泉の独特なゆったり感が気に入り、台湾各地の温泉に滞在。温泉・自然・食で美しくなるビューティツーリズムを研究。杏林大学 兼任講師(温泉療養学)、国際中医師、日本温泉気候物理医学会・日本温泉科学会会員。著書に「感動の温泉宿100」(文藝春秋新書)、「全国ごほうびひとり旅温泉手帖」(世界文化社)、「新・温泉ビューティ」(グリーンキャット)など
●オフィシャルサイト https://www.onsenbeauty.com/

文・写真=石井宏子

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