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「“できません”と断られる。お金は払うのに、なぜ?」現役美容師が解説する「困ってしまうオーダー」4選

CREA WEB / 2024年12月21日 11時0分

 今年も残すところわずか。12月は美容室にとってかきいれ時、最も忙しくなる時期です。

 やっと取れた予約でお店へ出向き、ヘアスタイルを相談。ところが、美容師さんが困り顔になってしまったことはありませんか?

 実は、お客様にとっては普通のオーダーが、美容師にとっては無茶ぶりになってしまうことはよくあります。そして、限られた時間で、希望通りの施術が難しい理由をうまく説明できないことも往々にしてあります。

 断られた理由が理解できないと、「時間をかけたくなくて、断ってきたのでは?」と不信感を抱いてしまうこともあるかもしれません。

 今回は、そんな希望に沿うことが難しい施術“あるある”を4つご紹介して、困り顔の美容師さんたちの事情を代弁させていただきます。


1. 白髪染めは「もうちょっと明るくしたい」が難しい!?


 髪色や明るさは、シーズンや気分で変えたくなるもの。伸びてきた根元の白髪も気になってきたし、「次は、全体をもうちょっと明るめの茶髪にしたいな」と思い、美容師さんに相談。ところが「できない」と言われてしまった、そんな方は少なくないのではないでしょうか。

 このやりとりは一見、お客さんからの信頼すら崩れてしまいそうな事例です。ですが、実は美容師にとって「白髪染めで染めた髪」を「少し明るくする」という微調整は、非常に難しいのです。

 これは、白髪染めの構造が原因です。定期的に白髪染めをしている方はご存じだと思いますが、黒く染めた髪は時間と共に白髪に戻ることがほとんどありません。なぜなら白髪染めの薬剤は、染まった「黒い色素」が抜けないように作られているからです。

 お客様からすると、お洒落染め(茶髪に染めるカラー)で染めた髪の感覚で「もうちょっと明るい茶髪」にしたい、という意向だと思います。ですが、白髪染めの抜けない黒い色素が「もうちょっと明るく」できない原因になっているのです。

 白髪染めで染まった髪は、「お洒落染め」の薬剤を重ねることでは明るく染まりません。白髪染めの黒い色素を抜くためには、脱色に特化した「ブリーチ」や「脱染剤」と呼ばれる薬剤が必要になります。しかし、ブリーチは施術に時間もかかるし、髪への負担が大きく、その上明るさの調整も難しい。

 結果として、美容師にとっては「もうちょっと明るい茶髪」といった希望が、難しいオーダーになってしまうのです。とはいえ、美容師は他の解決案を持っていることもありますから、ご気軽に相談してみてください。

2. お店に来てから「カラーも追加したいんですけど…」

 日々の営業では、来店されたお客様から出会い頭に「カラーも追加したいんですけど…」と依頼されることがよくあります。お客様からすると、「ヘアスタイルを相談しながらカラーをするかどうかも決めよう」と考えていらっしゃるのだと察します。

 ですが、来店されてからの「追加オーダー」は、予約の構造上、お断りすることが多くなってしまいます。端的に言うと、そのタイミングでは遅いのです。なぜなら、先にネット予約で時間枠が埋まっていることが多いからです。

 お客様が日常的に利用するネット予約は、「来店時間」「施術内容」などの選択がお客様に委ねられています。美容室側はお客様の予約の仕方には関われないため、あらかじめ「同時刻に集客できる人数枠」と「各メニューにかかる時間」を決めておくことで、予約を管理しています。

 このネット予約は営業時間中も受け付けているため、すでに先約があって枠が埋まっている場合には「追加オーダー」を施術することはできません。いわば、その枠は先着順なのです。

 例えば平日など余裕のある日は対応できますが、忙しいことが予想される土日は時間の延長はできないもの、と考える方がよいでしょう。同様に、「連れがいるので、もう1人できますか?」などもお断りする場合が多いですから、来店前からやりたい施術がある場合は予約を取り直しましょう。

3.「短めで」親御さんに反して、明らかに不服そうなお子さん


 住宅エリアの美容室では、冬休み中のお子さまをカットすることも日常的なシーンです。この場面でよくあるのが、「短めで」とオーダーする親御さんに反して、「短すぎるヘアスタイルはイヤ」と明らかに不服そうな表情のお子さんというパターン。「髪を切る回数を減らしたいから」といった親御さんの意向をゴリ押しされると、美容師は断れないものの、困り顔になってしまいます。

 その子の「なりたいヘアスタイル」が親御さんの意向と食い違うことがままあります。美容師としてはふてくされたり泣きっ面の子どもをカットするのは、自分が手を下すことになり、正直心苦しいです。我々もカッコよく、可愛くしてあげたい一心ですので、お子さんの同意を得た上でご来店いただければ幸いです。

4. ブリーチ無しで「暗めの青紫にしたい」は難しい

 Instagramで人気のスタイルは、誰もが手軽にできると思われがち。しかし、「こうしたい」といって写真を見せても、美容師さんから「ブリーチしないと、この色はできません」と言われることがあるかと思います。ヘアカラーは特に、髪の状態や諸々の条件によってお断りすることになりやすい施術です。

 ここ最近は、「褪色していく色も可愛い」「肌が白く見える」と韓国風の暗めの青紫色が一気に広まっています。しかし、この「青紫」は、髪の毛に発色させるのがとても難しい色です。特に「茶髪」との相性が悪いため、「ブリーチ無し」では再現がなかなかできません。

 色彩には「補色」という法則があります。これはある色とある色が混ざると、お互いの特徴を打ち消し合う関係にある色のことを指します。東アジア人の茶髪には「赤、オレンジ、黄色」が多く含まれますが、これらはこの「青紫」を相殺する色に当たります。そのため、ベースが茶髪の場合はこの色にしたくてもキレイに発色させることができません。

 ヘアカラーで「青紫」を作る際には、ブリーチされた髪に色を載せるのが定石です。ブリーチ毛の黄色も青紫との相性は悪いのですが、茶髪の「赤、オレンジ」が取り除かれていることもあり、再現性は格段に向上します。

 美容師から「できない」と言われると、どうしても美容師側に対して「技量が足りない」「やる気がない」といった印象になりやすいです。しかし、「薬剤」「時間」「髪質」等、「できない」理由は様々です。

 現場の美容師はできるだけ期待に応えられるように努力していますので、ご配慮いただければ幸いです。

文=操作イトウ

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