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「うどを酢味噌和えにして食べようと思って…」コロナ禍で自炊にハマった岡村靖幸が土井善晴に怒られた理由

CREA WEB / 2024年12月27日 11時0分


岡村靖幸さん。

 去る12月2日、岡村靖幸さんの対談集『幸福への道』の出版を記念して、東京・麻布台ヒルズの大垣書店にて、岡村さんを囲んでの「夜の読書会」が行われました。50人限定の会だったため、チケットは即完。「岡村ちゃんの話が聞きたかった!」という人が続出。そこで、どんな会が開催されたのか、岡村さんがどんな話をしたのか。その一部始終をレポートします(聞き手は『幸福への道』の構成を担当した辛島いづみさん)。


「幸福」をテーマに選んだ理由


『幸福への道』。

――『幸福への道』は「週刊文春WOMAN」で足かけ7年にわたり続けた連載をまとめた本です。「週刊文春WOMAN」は2018年12月に創刊された季刊誌で、岡村さんは、創刊号で神田伯山さん(当時は神田松之丞さん)と対談。2号目からは「幸福への道」と題した対談連載を始めることになります。なぜ「幸福」をテーマにしようと?

岡村 僕は以前、「GINZA」という女性誌で「結婚とは何か」をテーマに「結婚への道」という連載をやっていたんです。結婚した人、してた人、してない人、しない人、何度もする人、さまざまな人にインタビューをする連載で(2012年から2018年まで連載。後に『結婚への道』『結婚への道 迷宮編』として書籍化)。そこでは、結婚して幸せな人もいれば、そうじゃない人もいる、結婚にこだわる必要なんてないという人もいたし、結婚なんてしなくても子供だけは持つべきという人もいた。結局、する・しない関係なく、「幸せであればいい」という結論に至ったんです。

 そして、「週刊文春WOMAN」で新たな連載をやるとなったときに、そこから一歩先に進んで、じゃあその「幸せ」とは何だろう、みんなの思う「幸せ」とは何だろう、幸せの基準、価値観、十人十色でいろいろあるだろうけど、それを聞くことで、改めて自分にとっての「幸せ」を探究してみたいな、と。

千原ジュニア、伊藤蘭…連載に招いた豪華ゲストたち


岡村靖幸さん、辛島いづみさん。

――23人(21人+1組)の方々のお話を聞きました。ザックリと振り返ってみますとーー連載初回のゲストは千原ジュニアさんでした。空港で働いていた女性にひと目ぼれをして結婚して、というご自身のお話をしてくださいました。

岡村 いまはお子さんもいらっしゃって、めちゃめちゃ幸せだと。でも、芸人としては不幸せじゃないと幸せじゃない、とおっしゃっていたのが印象的でしたよね。

――ジュニアさんとお会いしたのは、このときがほぼ初めて?

岡村 そう。この対談の後、仲良くなりました。一緒に飲みに行くようになったり。彼は音楽好きでもあるのでね。

――2回目は伊藤蘭さん。岡村さんがキャンディーズの大ファンということで実現。蘭さんが歌手活動を再開された、というタイミングでもありました。岡村さん、かなり緊張されてましたよね。

岡村 そうでしたっけ? 想像の3.6倍若々しくてビックリしました。

――3.6倍とはいかに(笑)。

岡村 だって、僕が小学生のときにテレビで大活躍されていたんです。「8時だヨ! 全員集合」とか「みごろ! たべごろ! 笑いごろ!!」とか。

――「みごろ! たべごろ! 笑いごろ!!」は私も小っちゃい頃によく観てました。伊東四朗さんが母親で、蘭さん、田中好子さん、藤村美樹さんのキャンディーズがその子供たち。ラン助、スー吉、ミキ子でコントやってましたよね。なので、私にとってはコメディエンヌの印象も強いです。


岡村靖幸さん、辛島いづみさん。

岡村 だから、ものすごく上の先輩じゃないですか。お会いしたときに、若々しくてビックリしたんです。あの頃の印象のまんまだったもの。

――キャンディーズの曲は何が好きですか?

岡村 「年下の男の子」「春一番」「やさしい悪魔」「暑中お見舞い申し上げます」。

――鉄板ソングですね(笑)。そういえば、蘭さんの娘さんの趣里さん、最近は朝ドラ「ブギウギ」で大活躍でした。笠置シヅ子(役名は福来スズ子)を熱演されて。

岡村 朝ドラは、観る習慣がないんですよ。「あまちゃん」しか観たことがなくて。

――今年は、伊藤沙莉さんが主演した「虎に翼」も大きな話題になりましたよ。

岡村 そうなんですよね。観てみます、両方。時間かかりそうだけど。

ミステリアスな猫に夢中


岡村靖幸さん、辛島いづみさん。

――エッセイストの能町みね子さんの回も面白かったです。ライターのサムソン高橋さんと「結婚のようなもの」をされたお話がユニークで。

岡村 能町さんいわく、「一人でいることに飽きたから」と。一人で生活することや、生きていくことに限界を感じたと。お相手がゲイの方だから、恋愛ということではない関係がネクストステージというかネクストフェイズというか。あと、彼女は彼と生活をするようになってから猫を飼い始めたんですよね。

――メスの三毛猫、小町ちゃん。対談の頃はまだ飼ってなくて、「そのうち飼いたい」とおっしゃっていたのを実現されました。

岡村 能町さん、溺愛してます、御自分の猫を。

――岡村さんも猫を飼いたいといつもおっしゃっていますけど。

岡村 飼いたい。斉藤和義さんが猫をたくさん飼っていて、「猫も、杓子も。」っていうNHKのドキュメンタリー番組が面白いから観たほうがいいよと。僕、観たんです。めちゃめちゃよかった。でもあれでしょ、猫がいると毛だらけになっちゃうんでしょ?

――私も20年くらい猫を飼っていますが、そりゃもう毛だらけです。

岡村 毛だらけを乗り越えれば楽しい?

――はい。乗り越えれば毛は気になりません。


辛島いづみさん。

岡村 猫動画、よく観るんだけど、ものを落とすでしょう、猫は。これ見よがしに。

――飼い主の注意を引くために落とすんですよ。

岡村 僕に注目して! 

――そうです。ご飯ないぞ! とか、なんかちょっと撫でてくんない? とか。要求があるときにそれをやるんです。

岡村 Netflixでドキュメンタリーも観たんですよ。猫が何を考えているのか、という番組を。

――たぶん、食べることしか考えてない、と思いますけどね。

岡村 犬みたいな忠誠心はないんですか? ありがとう! みたいな。

――ないです。

岡村 いつもすいませんね、みたいなのもない?

――ないです。猫様ですから。

岡村 やっぱりミステリアスだなあ。

印象的だったオードリー・タンとの対話


岡村靖幸さん。

――ミステリアスといえば、と強引につなげますが、モデル、俳優、歌手である小林麻美さんにもお会いしました。そして、岡村さんと交流のあるミュージシャン川谷絵音さんも。

岡村 小林さんはユーミン(松任谷由実)さんの親友で、その絆の深さがわかるエピソードがよかったし、絵音くんは文春の編集部にどうどうとやってきたのが面白かった。編集長に「その節はお世話になりました」なんて言われて(笑)。

――コロナ禍真っ最中のときに対談したオードリー・タンさんはとても印象深いものでした。

岡村 オードリーさんは当時、台湾のデジタル担当大臣をやっていて。台湾ではコロナを非常にうまくコントロールしていたでしょう。国民全員にマスクが行き渡るようなシステムを構築したり、ソーシャルディスタンスが守られる範囲でいち早くエンタテインメントも解禁して。その頃の日本はまったく何もできていなかった。ただただ家に居るだけだったし、僕らの仕事はストップせざるを得なかった。この状態はいつまで続くのか、いつ、どうなれば日常が復活するのか。そういったことがまったく見えない不安の中にいたから、オードリーさんとの対話は力づけられたし、ありがたかった。

――人間関係もエンタメも、すべてテクノロジーで解決できる、とおっしゃってましたもんね。

岡村 今回本を改めて読み返して思ったけど、この本はコロナ禍のドキュメンタリーでもあるなと。オードリーさんもそうだし、髙村薫さんとコロナ禍の世界をどう感じているかの話ができたのも有意義だった。オウム真理教の話にまで広がったのは面白かった。

土井善晴に自炊の相談をしてみたら


岡村靖幸さん。

――そして、土井善晴さんもコロナ禍だから話をしてみたい、と岡村さんからのリクエストで。あの頃の岡村さん、外食することができないので自炊することにハマってました。ホイップクリーム大盛りのパンケーキの写真を見せてくれて(笑)。

岡村 だから、料理について聞きたかったんです。免疫力を上げるためにはお味噌汁がいちばんだし、土井さんが提案する一汁一菜は「ご飯とお味噌汁と漬物」のことですから。でも、対談の初っぱな、「うどをもらったから、酢味噌和えにして食べようと思って、うどを酢水に浸したんですが、結構、めんどくさいですね」みたいな話をしたら、怒られてしまいました。

――「うどを酢水に浸す? 家で食べるだけなのに?」(笑)。「暇だから料理をする」という考え方が間違っている、とピシャリ。料理は「しなくちゃいけないものだ」と。

岡村 「生きる」と「料理」は同義なのだとおっしゃっていましたね。

異色のゲストから受けた刺激


岡村靖幸さん。

――異色のゲストといえば、日本文学者のロバート キャンベルさん、環境活動家のアイリーン・美緒子・スミスさん。

岡村 お二方とも「どんな人なんだろう」と。キャンベルさんは生粋のニューヨークっ子だけど日本文学に心酔したことに興味を持ったし、アイリーンさんは実在した報道写真家をジョニー・デップが演じた映画『MINAMATA』を観て感動したのがきっかけ。

――アイリーンさんは、日本人の母とアメリカ人の父を持ち、1970年、スタンフォード大生時代に報道写真家ユージン・スミスとニューヨークで出会って結婚、その後すぐに水俣病の惨状を世界に伝えようと、2人で熊本県の水俣に移り住み、被害者に寄り添って取材活動を始めた、という女性。『MINAMATA』はそんなユージン&アイリーンさん夫妻の伝記映画です。

岡村 素晴らしい方だった。公害病といえば、水俣病、四日市ぜんそく、イタイイタイ病などが知られていますが、僕は子供の頃、それについて学んだことをよく覚えているんです。でも、そのときは、遠い過去の話だと思っていた。歴史上の出来事だと。でも、全然そうではない。水俣病の被害に苦しむ人たちが国や権力と激しく戦っていたのは60年代からの話ですし、損害賠償訴訟はいまもまだ続いていますから。

――水俣湾の安全宣言が出されたのも1997年のことですから。

岡村 僕が子供の頃、体温計には水銀が使われていたんです。それを口の中に突っ込んで体温を測ったりして。いまの体温計には水銀なんて入ってないけれど。

――現在は「水俣条約」という国際条約が締結され、水銀を使った製品は世界的に規制されるようになっています。

岡村 これもアイリーンさんたちが水俣病を世界に周知させた結果なんでしょうね。それにしても、彼女の人生はかなりユニーク。ユージンさんとの壮絶な暮らしを経て離婚して、その後2回の結婚を経験されている。パワフルでチャーミングな方でした。

――報道写真といえば、「週刊文春」などで活躍されているカメラマンの宮嶋茂樹さんとの対談も。

岡村 数々のスクープ写真をどうやって撮ったのか、彼がなぜ戦場の写真を撮りに行くのか、ウクライナの話も興味深かったですよね。

岡村靖幸(おかむら・やすゆき)

1965年兵庫県生まれ。音楽家。

文=辛島いづみ
写真=佐藤 亘

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