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「狼のポーズは表情込みで真似してほしい」 歌舞伎『あらしのよるに』疑似生配信で誠お兄さんが挑む「食べちゃいたいそう」とは

CREA WEB / 2024年12月24日 11時0分

 2024年、十二月大歌舞伎第1部で再演され、大好評を博した『あらしのよるに』(きむらゆういち原作、藤間勘十郎演出・振付)。狼の“がぶ”、山羊の“めい”との友情を描いた絵本が歌舞伎になりました。平成27年初演以来、何度も上演されてきた本作品。好評を受け、松竹公式動画配信サイト「歌舞伎オンデマンド」にて、12月28日11時から「疑似生配信」されることが決定しました。

 それに伴い、第12代・体操のお兄さんとして活躍された「誠お兄さん」こと福尾誠さんが、開演前、幕間、終演後に生出演。さらに、誠お兄さんと歌舞伎のポーズに挑戦できる「食べちゃいたいそう」の特典映像にも登場します。

 狼であるがぶの目線で踊る「食べちゃいたいそう」は、今回の公演で使われた楽曲を子どもたちに親しみやすいようにアレンジ。演奏も別途収録した特別版です。歌舞伎の見得や日本舞踊のような動きは初体験だったという福尾さん。今回は特典映像の収録を見学し、インタビューを行いました。


がぶをイメージした黒の衣裳を身に付けた誠お兄さん ©松竹

◆◆◆

「食べちゃいたいそう」収録現場レポート

 がぶをイメージした黒の衣裳を身に付けた誠お兄さん。今回は、めいをイメージした浴衣を着た女の子2人と踊ります。

 「ともだちだけど、おいしそう」。食べたいなぁと思ってしまうけれども、友達だからダメ。山羊のめいを思うがぶの苦労と葛藤が一曲の中で繰り返されます。子どもも覚えやすい、真似したくなる振付ですが、なかなかの長さで、見た目よりハードそうです。

 丁寧に、表情豊かに踊る福尾さん。歌舞伎でおなじみの「見得」を決めるなど、歌舞伎の雰囲気をバッチリとらえています。


収録に臨む誠お兄さん ©松竹

 収録の時、共演のお子さんたちに絶えず声をかけ、時にはリラックスしてもらえるようにおちゃめな一面を見せる福尾さん。私たちがテレビで見ていた優しい「誠お兄さん」そのままでした。

誠お兄さんにインタビュー

収録後にお話を伺いました。

——今回、オファー受けてどのように思われましたか?

福尾誠さん(以下、福尾) まず、僕でいいのでしょうか?と思いました。それと同時に日本の伝統芸能である歌舞伎に自分が携われることがとても嬉しかったです。歌舞伎は今まであまり触れたことがなく、もう体操ばっかりの人生なので(笑)、実は子どもの頃は、白塗りのお化粧に怖いイメージを持っていました。

「『あらしのよるに』を観劇して、迫力に圧倒されました」

——実際に見てみて、どんな感想を持たれましたか。

福尾 『あらしのよるに』を観劇して、迫力に圧倒されました。絵本のストーリーは知っていましたから、それが歌舞伎になったらどうなるんだろうと。この作品には動物しかいないんですよね。人間が全て演じるというのは、あくまで僕の想像ですけど、すごく難しいはずです。歌舞伎の表現の仕方が素晴らしくて、日本の伝統芸能というものをもっと早く学ぶべきだったなと思いました。

——今回の「食べちゃいたいそう」は歌舞伎で踊られる日本舞踊がベースになり、作品の演出も手掛けられた藤間勘十郎さんによる振付です。体操のプロである福尾さんは、すぐにマスターされたのでは?

福尾 いやっもう難しかったです(笑)!実は、踊り終わると汗だくになる運動量です。自分で体を使って体験をして、こんなに難しいんだ!と、新しい学びがあったほどでした。子どもたちでも真似しやすい振りなので、振付を覚えること自体はそこまで難しくなくて。

「おいしそう」「食いてえなあ」「いけねえよ」「ともだちだ」、ひとつひとつの歌詞と動きがリンクしていて、すんなり覚えられました。でも今回勘十郎先生に直接ご指導いただき、先生の動きやポーズと自分の動きとでは、真似ていても違うんですよ。あの美しさは努力の賜物だと思うので、他の運動をやっていたからといってすぐに完璧にできるものではないです。


福尾誠さん ©松竹

——運動神経の大変良い福尾さんでも、そこまでご苦労されたんですか?

福尾 体を動かすこと自体は得意なので、こういう動きだと理解するのは早いほうだったかもしれません。そこは、今まで体操をやってきた経験が活かせたように思います。

「食いてえなあ」の狼のポーズは表情込みで真似してほしい

——特に見てほしいポーズはありますか?

福尾 歌舞伎の見得を決めるところですね。両足をついて手を広げる。すごく簡単に言えばそれだけの動きなんですけど、かっこよくやるのが難しくて!ぜひ、真似してほしいです。大人の皆さんにもやってみてほしいですね。ポーズをキープするのって難しいんですよ。あと、「食いてえなあ」の狼のポーズは表情込みで真似してほしいです!例えば「おいしそう」なら、指を一本ほっぺに当てるとか、小さな子どもたちでも真似したくなる、わかりやすい振り付けになっていると思います。

——歌舞伎の振付の要素も存分に織り込まれつつ、お子さんが親しみやすい振付ですよね。

福尾 そうなんです。体操する以外の楽しみ方を提案するならば、「食いてえなあ」の片足立ちのポーズで何秒立っていられるかという遊びをするとか、親子でコミュニケーションをとりながら振り付けで遊ぶことができると思うので、配信やアーカイブをめいっぱい楽しんでもらえたら嬉しいです。本番の舞台映像では、歌舞伎俳優さんの見得が見られますし。本当にかっこいいんですよ。


福尾誠さん ©松竹

——このたいそうは、『あらしのよるに』のストーリーを下敷きにして、お話が展開していきますよね。

福尾 僕は原作の、がぶとめいが、お互いの顔も名前も知らずに出会って、心で惹かれて仲良くなるという部分がとても好きでして。心が通じ合ったから、嵐の夜に出会って友達になった。ふたりは、第三章で初めて名乗り合うんですよね。名前を知らなくても仲良くなれる。ここは歌舞伎で見ることを楽しみにしていたシーンです。ただ天敵同士なので、正体を知ったらどうしてもがぶは食べたくなってしまう。大好物を前にしてずっと食べられない状態ですよね。最初から最後まで「おいしそう」「食べたい」、だけど友達だから食べられない、ずっとお腹が空いているっていう、がぶの気持ちとストーリーが非常に忠実に再現されているのもみどころです。

——ちなみに、かなりの運動量だとお話されていましたが、30代以降の大人が急に踊っても大丈夫でしょうか……

福尾 大人も子どもも関係なく、急に運動をするのは避けた方がいいです!運動という観点で見ると、何事もやっぱり準備が必要なので。準備運動は運動が得意でも苦手でも、やってください。特に今は冬ですし、体が温まっている状態で運動は始めた方がいいですね!「食べちゃいたいそう」も、しっかり準備運動をしてから行ってくださいね。

——ありがとうございます、気を付けます……!

体操のプロフェッショナルとして長いキャリアを持つ福尾さん。今回、歌舞伎に触れたことでさまざまな感動があったそうです。後編では、プロのスポーツ選手ならではの視点を持つ福尾さんと歌舞伎の出会いについて伺います。

歌舞伎『あらしのよるに』疑似生配信 詳細


ナビゲート:福尾誠(誠お兄さん)、佳山 泉(イヤホンガイド解説者)
■配信日時:12 月 28 日(土)午前 11 時より配信スタート
■アーカイブ配信:12月29日(日)10時~2025年1月13日(月)午後11時59分まで
■配信場所:歌舞伎オンデマンド (https://s.shochiku.co.jp/27y9)
■配信内容:やさしい解説音声付き本編開演前、幕間、終演後は誠お兄さんとイヤホンガイド解説者による生トークも!
■特典映像:「食べちゃいたいそう」
■チケット:5,000 円(税込) +システム利用料 220 円 12 月 21日(土) 14 時 00 分より発売開始(https://s.shochiku.co.jp/JhJG)
※チケットは 2025 年 1 月 13 日(月・祝) 20 時 00 分まで発売
※一度チケットを購入いただくと、12月29日(日)10時~2025 年 1 月 13 日(月・祝) 23 時 59 分までアーカイブ視聴可能
〈収録公演〉歌舞伎座 十二月大歌舞伎「あらしのよるに」 出演:中村獅童(がぶ)、尾上菊之助(めい)、尾上松緑(ぎろ)ほか

文=宇野なおみ

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