世界的ショコラティエのジャン＝ポール・エヴァンさんが京都で買うもの17選。唐紙のカードから「好きすぎて10個買う」クリームパンまで

　今年も、50名以上の贈りもの上手な皆さんにお気に入りのアイテムやセレクトのコツを伺いました。おいしいものから日々を豊かにしてくれる雑貨、憧れのファッションアイテムまで600点以上が勢揃い！ 「CREA」2025年冬号より一部をご紹介します。

世界的ショコラティエが毎年フランスへ持ち帰るもの

ジャン＝ポール・エヴァンさん。

　バカンスは毎年、家族とともに京都で過ごします。折りたたみ式の自転車に乗って、鴨川べりを走り、街を巡るのが大好き。そのなかでも僕は、いつもおいしいものを探していて、野菜でも、お菓子でも、レストランでも、どこに行っても好奇心を忘れず、素敵なものに出合いたいと思っています。

　僕は決して、ラグジュアリーな高級ブティックをうろうろするタイプではありません。出合いたいと思うのは、シンプルだけれど質の高いもの。日本の職人文化は本当に素晴らしいですね。仕事がていねいで、まじめで、できあがるものはいつも完璧。味覚についても、日本人はヨーロッパ人とは違う舌の繊細さがあって、風味を利き分ける力があると思う。そうした“本物”に、強く惹かれます。

　誰かに贈るものでも、自分のためのものであっても、僕はそうした志のある人たちがつくるものを選びたいと思っています。

「真っ白な冬のきんとん……、これは雪だね！　いただきます」と、手を合わせたエヴァンさん。

「京菓子司 末富」のお菓子は伝統を守りつつもモダンさが感じられ、洗練された味わいの「野菜煎餅」は、パリの友人たちへのおみやげにも大好評。「唐長本店・雲母唐長」の唐紙のグリーティングカードは模様が抽象的で、つつましやかで美しく、とっておきの挨拶状を書くときのために、大切に使っています。

　日本では、「bonne volonte」の薪窯で焼く「クリームパン」にしろ、「大黒屋鎌餅本舗」のご主人が一つひとつ経木で包んでくれる「御鎌餅」にしろ、時間と手間をかけ、技の光る商品が身近に手に入ります。「御菓子司 聚洸」の「わらび餅」も、「山田製油」の「純国産炒りごま」も、みんなそう。フランスで考えればそれらはすごく貴重であり、同じ職人として頭が下がります。

　僕は、誰にでも僕のお金を渡そうとは思いません。どこで何を選ぶのかを自分で選択し、消費することは行動の第一歩なのですから。つまりそれは大切なものへの投資であり、すぐにではなくてもその一歩一歩が世の中を変えていく。僕はそう思うのです。

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◆【唐長本店・雲母唐長】グリーティングカード

「グリーティングカード」50枚からのオーダーのみ。価格は注文内容による。通販可。

　1624年に創業し、唐紙文化を守り伝える専門店。先祖代々受け継がれる約600枚の板木から、和紙に手摺で写し取られた文様が織り成す、美しい装飾と陰影にため息。

「華麗で繊細な京都の唐紙が大好きです。特別な人には、この唐紙のグリーティングカードに万年筆で季節の挨拶を書いて送ります」（ジャン＝ポール・エヴァンさん）

唐長本店・雲母唐長

http://kirakaracho.jp

京都で、大切な人たちとおいしいものを分かち合う

◆【京菓子司 末富】野菜煎餅、雪のきんとん

写真奥「野菜煎餅」9包み入り 2,592円、写真手前「雪のきんとん」648円。

■◆野菜煎餅（写真奥）

　木の芽、ゴボウ、レンコンをのせた玉子煎餅。ほのかに京野菜が香り、サクッと上品。

「風味のバランスと食感が好き」（ジャン＝ポール・エヴァンさん）

■◆雪のきんとん（写真手前）

　つくね薯を蒸して裏漉しした餡で、真っ白な雪の玉をイメージ。

「抽象的でやわらかい季節の表現が日本的」（ジャン＝ポール・エヴァンさん）

京菓子司 末富

所在地　京都府京都市下京区松原通室町東入
電話番号　075-351-0808
営業時間　9:00～17:00
定休日　日曜・祝日
賞味期限　A：40日、B：当日
※A 通販可、B 通販不可

◆【御菓子司 聚洸】わらび餅

「わらび餅」420円。

　本わらび粉を使い、こし餡を包んで。

「極限までやわらかく、食感を求めるフランス菓子とは対極」（ジャン＝ポール・エヴァンさん）

御菓子司 聚洸

所在地　京都府京都市上京区大宮通寺之内上ル3丁目筋違橋町548-4
電話番号　075-431-2800
営業時間　10:00～17:00
定休日　水・日曜、祝日
賞味期限　当日
※3日前までに要予約。7～9月販売休止
※通販不可

◆【bonne volonte】クリームパン

「クリームパン」250円。

　薪窯で焼き上げられ、口溶けのよい生地からたっぷりのカスタードがとろり。

「大好きすぎて10個近く買うことも。職人魂を感じます」（ジャン＝ポール・エヴァンさん）

bonne volonte

所在地　京都府京都市上京区河原町通荒神口下ル上生洲町229-1
電話番号　075-213-7555
営業時間　11:00～20:00
定休日　日・月曜、8月
賞味期限　2日
※通販不可

◆【プレジール・シュクレ】河原町ロール

「河原町ロール」18cm 1,600円。

　ふんわり、しっとりした生地に生クリームとカスタードを。

「究極にシンプルだけど、いつも唸るおいしさ。誠実な味がする」（ジャン＝ポール・エヴァンさん）

プレジール・シュクレ

所在地　京都府京都市上京区河原町通丸太町上ル桝屋町368-9
電話番号　075-708-7510
営業時間　10:30～19:00
定休日　火曜、不定休
賞味期限　当日
※通販不可

◆【スマート珈琲店】タマゴサンドウィッチ

「タマゴサンドウィッチ」1人前 850円。

　少しの塩のみで味付けしたフワフワの卵焼きを食パンでサンド。

「行列がちょっとしんどいけれど（笑）、時間があれば立ち寄ります」（ジャン＝ポール・エヴァンさん）

スマート珈琲店

所在地　京都府京都市中京区寺町通三条上ル天性寺前町537
電話番号　075-231-6547
営業時間　8:00～19:00
定休日　不定休

◆【大黒屋鎌餅本舗】御鎌餅

「御鎌餅」260円。

　黒糖入りのこし餡を餅で包み、豊作と招福を祈り鎌の刃の形に。

「京都のアルティザン（職人）として尊敬」（ジャン＝ポール・エヴァンさん）

大黒屋鎌餅本舗

所在地　京都府京都市上京区寺町通今出川上ル4丁目西入ル阿弥陀寺前町25
電話番号　075-231-1495
営業時間　8:30～18:30
定休日　水・木曜（祝の場合は営業）
賞味期限　3日
※通販不可

我が家の常備品は食通へのおみやげ

A「京酢加茂千鳥」900mL 745円、B「京緋むらさき 桔梗の露（こいくちしょうゆ）」900mL 1,290円、C「玉露 天下一 小缶箱」90g 10,800円。

◆A【村山造酢】京酢加茂千鳥

　米と熟成した酒粕から仕込み、まろやかな味と香りが素材の持ち味を引き立てる。

「サラダや魚料理のソースに使います。いつかボンボンもつくってみたい」（ジャン＝ポール・エヴァンさん）

村山造酢

所在地　京都府京都市東山区三条通大橋東3-2
電話番号　075-761-3151
営業時間　8:30～17:00
定休日　日曜、祝日
賞味期限　1年
※通販可

B【難波醤油醸造】京緋むらさき 桔梗の露（こいくちしょうゆ）

　国内産大豆と小麦、原塩を使った、木樽天然仕込みの純正醤油。素朴な風味が特徴。

「昔ながらの実直な味で、知人からいただいて以来のファン」（ジャン＝ポール・エヴァンさん）

難波醤油醸造

所在地　京都府亀岡市突抜町30
電話番号　0771-22-0204
営業時間　9:00～18:00
定休日　土・日曜、祝日
賞味期限　2年
※通販可

C【一保堂茶舗】玉露 天下一 小缶箱

　雑味がなく、透明感のある上品な旨みと豊かな香りが広がる最上級の玉露。

「毎日、パリでの昼食時には欠かせません。夏は水出しでいただくことも」（ジャン＝ポール・エヴァンさん）

一保堂茶舗

所在地　京都府京都市中京区寺町通二条上ル常盤木町52
電話番号　075-211-4018
営業時間　10:00～17:00
定休日　第2水曜
賞味期限　180日
※通販可

◆【山田製油】純国産炒りごま（白）、純国産炒りごま（黒）

「純国産炒りごま（白）」「純国産炒りごま（黒）」各30g 540円。

　希少な国産ごまをひと釜ひと釜ていねいに直火焙煎した炒りごまは、濃厚で甘みがあり、香り豊か。

「香りが最高。これだけ食べてもおいしく、まとめ買いします」（ジャン＝ポール・エヴァンさん）

山田製油

所在地　京都府京都市西京区桂巽町4
電話番号　075-394-3276
営業時間　10:00～19:00
定休日　無休
賞味期限　180日
※通販可

◆【京つけもの ニシダや】しば漬風味 おらがむら漬

「しば漬風味 おらがむら漬」100g 432円。

　しば漬けをベースに、国産のキュウリ、ミョウガ、ナス、ショウガ、シソの葉を漬け込んだ漬物。

「僕はショウガマニアかつ酸っぱい味が好みなので、大好物」（ジャン＝ポール・エヴァンさん）

京つけもの ニシダや

所在地　京都府京都市東山区今熊野池田町6
フリーダイヤル　0120-582-481
営業時間　9:00～17:00
定休日　不定休
賞味期限　14日
※通販可

マエストロの技をフランスへ

◆【菊一文字】三徳包丁

「三徳包丁」24,200円。

　700年以上の伝統を誇り、卓越した作刀の技術を元に製作された高級刃物専門店。

「一目惚れした『菊一文字』の包丁を自宅で使っています。包丁を研ぐのも好き」（ジャン＝ポール・エヴァンさん）

菊一文字

所在地　京都府京都市中京区三条通寺町東入ル石橋町14
電話番号　075-221-0077
営業時間　11:00～19:00
定休日　木曜
※通販可

◆【市原平兵衞商店】赤杉利休箸

「赤杉利休箸」10膳組 2,860円。

　茶懐石での正式な食事用の箸。杉製で手に馴染み、口当たりやわらか。

「サラダなどを食べるのに、ナイフ、フォークより便利。杉の香りも好き」（ジャン＝ポール・エヴァンさん）

市原平兵衞商店

所在地　京都府京都市下京区小石町118-1
電話番号　075-341-3831
営業時間　10:00～18:30、日祝11:00～18:00
定休日　不定休
※通販可

◆【公長斎小菅】竹清香 50sticks 竹、リードディフューザー 六つ目

「竹清香 50sticks 竹」50本 1,320円。

　竹炭と竹酢液を主原料とした、100%天然成分のお香。

「リードディフューザー 六つ目」12,100円。

　竹のスティックがオイルを吸い上げてやさしく香る。

「どちらの香りも好きで、愛用しています」（ジャン＝ポール・エヴァンさん）

公長斎小菅

所在地　京都府京都市中京区中島町74 ザ ロイヤルパークホテル 京都三条1F
電話番号　075-221-8687
営業時間　11:00～19:00
定休日　無休
※通販可

ジャン＝ポール・エヴァンさん

ショコラティエ。1957年、フランス・ブルターニュ地方生まれ。「ホテル・ニッコー・ド・パリ」シェフ・パティシエを経て、「ペルティエ」東京店のシェフ・パティシエに。86年、フランス国家最優秀職人章（MOF）を受章し、88年独立。カカオ生産者の支援にも力を注ぐ。
いちばん数多く贈ったもの：ジャン＝ポール・エヴァンのボンボンショコラの詰め合わせ。僕のすべてがここに詰まっています。

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　続きは「CREA」2025年冬号でお読みいただけます。

文＝瀬戸理恵子
写真＝長谷川潤
協力＝星のや京都