1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

未知の世界遺産を旅したい。古代遺跡、絶景の海…マルケサス諸島で守り神「ティキ」に出合うツアーへ!

CREA WEB / 2025年1月25日 11時0分

#317 Marquesas Islands
マルケサス諸島(フランス領ポリネシア)

 フランス領ポリネシアのマルケサス諸島のひとつ、ヒバオア島について、前回はこの島に魅せられた欧州のアーティスト、画家ゴーギャンや歌手ブレルを紹介しました。今回は2024年に世界複合遺産に登録された理由である、自然や文化について触れていきましょう。


機械のように規則正しく波が打ち寄せる小さな入り江が連続しています。

 太平洋に孤立して浮かぶマルケサス諸島。寒流が流れる海から1000メートル級の山まで様々な環境が揃い、海に陸に、独自の進化を遂げた固有種が多く生息しています。

 また、孤立した島々に海を渡ってやってきた人々は、独自の文化を発展させました。数百を数える古代遺跡を残し、そして歌やダンスなどを今に伝えています。一説によると、守り神の「ティキ像」の彫り方など、マルケサス諸島はフランス領ポリネシアのアートの起源だという声も。


フランス人考古学者が再現したイイポナの遺跡。

 そんなヒバオア島の深部や海岸線を地元ガイドと共に4WDで走行する1日ツアーに参加しました。島を探検しながら、自然や文化について話を聞き、興味を掘り下げていく内容です。


山の深部にあった、まるで手入れされたような小道。

 コースは中心地のアツオナの村からギザギザと尖った山並みを走り抜けて、北へ。そして入り江が連続する海岸線を東へ、総走行距離約は約95キロ。そんなに走っても、島を一周したわけではなく、さすがフランス領ポリネシアで3番目に大きな島です。


島のあちこちで見られる、山が海へとなだれこむような地形。

ピックアップバンの荷台は、荷物のみならず人も乗る場所。

 中心地から離れると、赤土を露出した未舗装の道路が多く、ガードレールのない断崖ぎりぎりの道でも4WDは疾走していきます。時に野生のヤギの集団が道をふさぎ、そんな時は彼らが通り過ぎるまでひたすら待つことも。


この島ではヤギの方が通行を優先されます。

 入り江では少し墨が混じったような深い青の波が連続して岸に打ち寄せ、波乗りや魚突きをする地元の人を見かけます。小さな村を通過すると、教会の入り口に座って女性たちが世間話を交わしていたり、時折茶色のニワトリが道路に飛び出してきたり。

 粗削りな自然とのんびりとした素朴な南洋の暮らしが、車窓の向こうに広がります。

珍しい“笑顔のティキ”に出合うツアーへ


島の人は、声をかけるとフレンドリーに返してくれます。

 ガイドの話によると、ヒバオア島には考古学者によって250体のティキが発見されているけれど、その総数は不明だそう。19世紀初頭に宣教師によって破壊されたものや、山の中には今なお900体以上が眠っているのではないかと言われているそうです。

 島最大の村があり、神聖な儀式が行われていたというイイポナの遺跡には、大小様々なティキが鎮座しています。

 中でも有名なものはフランス領ポリネシアで最大のティキ「タカイイ」。高さは2.57メートル! その妻とされるティキは足を延ばして座っています。


左がフランス領ポリネシアで最も背が高く、有名なティキ、タカイイ。

 また、うつ伏せになって飛んでいるような通称“フライングティキ”と呼ばれる像も。これは出産している女性だとか。台座には南米に生息するラマのような動物も掘られています。


マカイイ・タウア・ぺぺ、通称フライングティキ。

 ティキはおもに男性で、足は曲げられ、腕を前にしているものが多いそうですが、フランスの考古学者によって復元されたこの遺跡のティキはバラエティ豊かです。

 ヒバオア島へ訪れた翌年、イースター島へ来島したのですが、その際目にした900年頃の初期のモアイ像にして、唯一足がある座像のモアイ・トゥク・トゥリは、マルケサス諸島のティキと共通点があるとされています。

 イースター島のモアイ・トゥク・トゥリを発見した考古学者は、ここのフライングティキの座像のラマのような彫刻を見て、ポリネシアの祖先が南米からやってきたのでは? と仮説を立てたとか。実際に南米ペルーからイカダで海を渡り、101日間かけてフランス領ポリネシアのツアモツ諸島へ到達したそうです。けれど、残念ながら今は、南米起源説は否定されていますが。


フライングティキの台座のラマの模様から南米起源説が生まれたそう。

 イイポナの遺跡はなかなかの遠路ですが、比較的訪れやすいのは、プナエイの谷に佇む“スマイリング・ティキ”。ティキはえてして表情がないのですが、このティキは木々が生い茂る森の中でどこか幸せそうに笑っています。ちなみに、女性だとか。


妙に愛着が湧く、森の中のスマイリング・ティキ。

デスクからの眺めは、今も時々思い出す絶景!

 スマイリング・ティキからほど近くに島で唯一のリゾート、ハナケエ・ロッジ・ヒバオアがあります。この島の起原であるテメティウ山と太平洋を望み、背後には雄大な山並みが続いています。


リゾート自慢の、太平洋へと続くようなインフィニティエッジの展望プール。

このデスクなら、夢のようなワーケーションが楽しめそう。

 海に面した部屋のデスクからの眺めは、今も時々思い出す絶景。ラップトップに向かいながら、時折画面から視線をはずすと、目の前に太平洋と山並み。雲が山の背後から湧き上がり、山塊を覆い尽くし、空を渡っていく光景は、地球の壮大な営みを目の当たりにしているよう。この光景を前にすれば、目に見えないけれど、神秘的な力の源、聖なる“マナ”の存在も信じられる気分になるのです。


ロッジから見下ろした風景。海には家路につく船たちが。

南洋の島の、昼と夜の間。

マルケサス諸島

●アクセス タヒチ島パペーテから直行便なら約3時間20分
●おすすめステイ先 ハナケエ・ロッジ・ヒバオア
https://www.hotelhanakee.com/

取材協力
タヒチ観光局
https://tahititourisme.jp/ja-jp/
エア タヒチ ヌイ
https://jp.airtahitinui.com/


古関千恵子(こせき ちえこ)

リゾートやダイビング、エコなど海にまつわる出来事にフォーカスしたビーチライター。“仕事でビーチへ、締め切り明けもビーチへ”をループすること30年あまり。
●Instagram https://www.instagram.com/chieko_koseki/

文・撮影=古関千恵子

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください