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“わずか2%”しか生産されない幻のコシヒカリは絶品。佐渡の豊かな自然を表現するガストロノミー宿「御宿・花の木」

CREA WEB / 2025年2月2日 11時0分

 日本を誇る米どころとして知られる新潟は、米以外にも日本海で獲れる海の幸や山菜やジビエといった山の幸、酒など、まさに食の宝庫。そんな新潟ならではのローカル・ガストロノミーを体感できる「御宿 花の木」へ、晩秋のシーズンだからこそ味わえる料理をいただきに伺いました。


地元の食材を使用し、佐渡島の豊かな自然を表現

 佐渡島の南部、小木町宿根木にある「御宿 花の木」は、女将兼料理人の渡辺明子さんが地元の旬な食材を使った料理で客をもてなすことでも人気の宿。その料理は『ミシュランガイド仏語版2008』にも掲載され、2008年には、農林水産省が指定する「地産地消の仕事人」に選出、2023年には、地域の風土、歴史や文化を料理に表現する「新潟ローカル・ガストロノミー」を受賞するなど注目を集めています。

 ふるまわれる料理は地元の食材を最大限に活かし、新潟・佐渡島の豊かな自然を表現しています。お品書きは存在せず、渡辺さんが島中を巡って買い集めた食材でその日の料理を決めているそう。


大根にわさび菜、カボチャなど、佐渡島の畑で作られた野菜や果物を買い付け。晩秋の時期はまろやかな甘みが口いっぱいに広がる「おけさ柿」も旬。

「御宿 花の木」の料理は渡辺さんが一人で一品一品丁寧に作り上げていきます。「7部屋という規模感だからこそずっと続けていられるんです」と話しながらも手を休めることはなく、次々と料理が完成していく。宿をはじめて30年と少し、さすがの手捌きです。


大根、レンコン、ほうれん草、キクラゲ、クコの実など、薬膳を考慮した素材を出汁とごま油でしたてたもの。

 まずはレンコンと大根のシャキシャキ感、そしてキクラゲのぷりぷりとした食感がたまらない、ほんのりと優しい味付けの小鉢が登場。薬膳的視点でも食をとらえているのは、かつて自然療法で父親が病気から回復した経験から。安心安全で体に優しい料理を提供することが花の木のベースにあるといいます。


佐渡の海でとれたもずくを塩抜きし、もずく酢に。アクセントにピリリとした辛子菜ときれいなピンク色の菊の花が添えられ、視覚的な彩りも豊か。もずくが枯れてしまう夏のシーズンにはワカメ酢を提供しているそう。

素揚げしたナスに自家製のゆず味噌を挟んで。じゅわっとしたナスの旨みと、ゆず味噌の甘みのある爽やかな風味がベストマッチ。

豆腐とかぼちゃに薄衣をつけて天ぷらにし、上から優しいお味の白餡をとろ〜り。

エビや生ハムが乗ったサラダは、渡辺さんが絞っているという自家製の椿油、佐渡の海洋深層水から採れた塩、レモンを絞って。

 素材本来の味を生かしたシンプルな味付けの小鉢が続いた後に登場したのはサラダ。そしてこちらのサラダの味をより一層引き立てるのは、渡辺さんが絞っているという自家製の椿油と佐渡の海洋深層水から採れた塩です。

「椿油はオリーブオイルのようにして食べていただけたら。無農薬で育っている佐渡の椿を、熱も水分も加えず加圧だけで液状の油分を分離するコールドプレス製法で作っているので、クセもなく素材の味を邪魔することなく引き立ててくれます。塩は、塩をとった次の日に鍋底に結晶状に残っている粗塩を使用しています。100%佐渡の海で採れたもので、ミネラルがぎゅっと詰まっていて美味しいですよ」

わずか2%しか生産されない“元祖コシヒカリ”は「花の木」の名物


今はほとんど市販されていないという、コシヒカリのクラシック米。ふっくら艶やかな炊きあがりの香りの良さと、口のなかで広がる風味は、訪れる人たちの心掴んで離さない。

 そしてとにかく評判がいいというお米。米どころである新潟県で作られているお米は、いもち病に強い性質を持つコシヒカリブレンド、通称「コシヒカリBL」が主流になっていますが、「御宿 花の木」では改良前のクラシック米を使用。新潟県内でわずか2%しか穫れないという貴重なお米です。

 どこか安心感のある懐かしい味で、そのおいしさは前日食べすぎたり飲みすぎた人もおかわりするほど。

「元祖コシヒカリというか、昔ながらのお味がみなさまに喜ばれているのだと思います。花の木用に山の上で作っていただいていて、昔はお客様からリクエストがあれば販売もしていたのですが、今はごくわずかしか獲れなくなってしまったので、お出しするものを味わっていただけたらと思います」


赤カレイとゴボウの煮付け。骨がなるべく少なく、食べやすいものを提供したいという渡辺さんの気持ちがこもった煮付けは、ふっくらと柔らか。

大きなお皿いっぱいに広がるブリ、鯛、平目、真イカのお造りは、食べ応えじゅうぶんな分厚さ。白身は、サラダの味付けにも使用した椿油や塩もよく合う。

紅ずわいカニは一人にまるごと一匹提供されるという、なんという贅沢!

 佐渡の魅力はなんといっても海産物。島じゅうにお寿司屋さんが立ち並び、都会では考えられないほどの安価で、美味しいお寿司やお刺身をいただくことができます。「御宿 花の木」でも、地元の魚屋さんやカニ屋さんから仕入れた海産物を使用した料理が、後半に続々登場してきます。

「やっぱり佐渡に来ていただいたからには、地元の海産物を召し上がっていただきたいです。毎日その日に仕入れに行くので、新鮮なお味を楽しんでいただけたら。1月、2月はカニが禁猟になるので、代わりにお鍋を提供させていただいています」


デザートは、晩秋の時期に旬をむかえるおけさ柿とビオーレ。

 最後に出てきたのは、新潟県の名物でもあるおけさ柿とビオーレ。口に含むととってもジューシーで、締めくくりにちょうど良いほんのりとした甘みとフレッシュさ。

「昔ははっちん柿と呼ばれていたおけさ柿ですが、種がなくてとても食べやすいんですよ。ビオーレは小さなイチヂクで、皮ごと食べられるんです。デザートはいつも季節ごとのデザートをお出しするようにしています」


料理場を一人で切り盛りしている、女将兼料理人の渡辺明子さん。撮影:釜谷洋史

 ひとつひとつのお料理に渡辺さんの丁寧な心遣いが宿った「御宿 花の木」の秋の食体験はいかがでしたでしょうか。お米、野菜、海産物からデザートまで、佐渡の自然の恵みを堪能できるコースに、お腹も心もすっかり満たされました。

 春夏秋冬、いつ訪れてもその季節の美しさを五感で楽しめるお料理をいただき、ぜひ佐渡ならではの体験を。

御宿 花の木

所在地 新潟県佐渡市宿根木78-1
電話番号 0259-86-2331
部屋数 7室
料金 1泊2食付き2名1室利用時(1名様)13,000円~(3/19まで)
※3月20日以降は15,000円~
チェックイン15:00〜21:00まで/チェックアウト10:00
http://www.sado-hananoki.com/

文=齊藤美穂子
写真=佐藤 亘、釜谷洋史

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