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【港湾都市モントレーの魅力】文学の舞台から絶景ドライブまで、海の恵みを満喫する旅

CREA WEB / 2025年2月8日 11時0分

#318 Monterey(California,USA)
モントレー(カリフォルニア、米国)


太平洋へと続く坂道の多いモントレー。

 カリフォルニアのセントラルコースト、サンフランシスコから南へ車で約2時間のところに位置するモントレー。おとぎ話から抜け出たようなカーメル・バイ・ザ・シーを後にして、モントレー半島の17マイル・ドライブを抜けてたどりついた港湾都市です。

 岩礁が顔をのぞかせる荒々しい太平洋とビリオネアの別荘地が続く17マイル・ドライブから風景が一変して、モントレーは地元の暮らしとツーリズムが共存する親しみやすい雰囲気。坂道が多く、海抜の高い市街地からカモメが飛び交う太平洋を見下ろせます。


レストランやギャラリーなどが軒を連ねる観光スポット、オールド・フィッシャーマンズ・ワーフ。

ストリートの標識も港町の風情。

 17マイル・ドライブが走るモントレー半島は、作家スティーブンソンが『宝島』の構想を練った地でしたが、ここモントレーはノーベル文学賞受賞作家スタインベックの創作活動の舞台。『エデンの東』が有名ですが、気になっていたのが『キャナリー・ロウ〈缶詰横丁〉』。イワシの缶詰工場エリアを舞台にした作品で、今でも地名として残っています。

 イワシ産業が栄えたのは、モントレーの地形に理由があります。

 モントレー沖は水深3,600メートルもの海の峡谷、モントレー・キャニオンが水面下に広がっています。この深海から栄養たっぷりの湧昇流が生じ、イワシなど小魚たちの格好の餌場に。そのため19世紀末頃は数軒のイワシの缶詰工場があったにすぎなかった横丁が、第二次世界大戦中にはサンフランシスコをしのぐ賑わいを見せた時期もあったとか。


豊饒の海で満腹になって、幸せな午睡をしているアシカたち。岸のすぐそばで安心して寝ています。

 そんなキャナリー・ロウを舞台とした小説『キャナリー・ロウ』。読んでみたい。

 けれど、いざ買おうと思って調べてみると、古書の検索サイトで5,500円、中には3万円を超えるものも。この本を所蔵するいちばん近い図書館でも、県をまたがなくてはなりません。原文の電子書籍ならば171円。うーーーん。悩んだ挙句、辞書で調べながら原文を読んでみよう、と。読破に一体、何年かかるんでしょうね。

HBOドラマシリーズに登場したレストランで絶品海の幸をいただく

 さて、そんな思いを募らせていたキャナリー・ロウ。訪れてみると、工場の雰囲気を残しつつも、赤レンガの小ぎれいな外観になっていました。


おしゃれな雰囲気の、今のキャナリー・ロウ。 photo by SeeMonterey.com

 周辺を歩いて回りたかったけれども、今回のモントレー訪問の目的はランチのみ。後ろ髪を引かれつつも、ハーバーに隣接した「パルカ・トラットリア」へ向かいました。


ずらりとヨットが係留されたモントレー・ドックス。この近くにトラットリアの「パルカ・トラットリア」が。

「パルカ・トラットリア」はHBOドラマシリーズ『ビッグ・リトル・ライズ』でコーヒーショップとして描かれたイタリアンレストラン。窓の向こうには白いヨットがずらりと並び、マストや甲板でカモメが羽を休めています。平日だというのに、ランチタイムはゲストで大賑わい。特にハーバーに面したテラス席が人気です。


モントレー・ドックスにせりだすように佇むパルカ・トラットリア。

太陽光が降り注ぐ、明るい店内。店名はオーナーシェフの二人の息子パオロとルカの名前から。

 イタリアをルーツにもつオーナーシェフのサル・テデスコさんが供するのは、新鮮なモントレー産の魚介を使い、伝統的なシチリア料理の技法を生かしたメニュー。シグネチャーの“シーフードパスタ”はその日入った魚を使ったリングイネで、この日はほろりとしたギンダラが添えられていました。カラマリとモントレー産のワインも最高。


スペシャルのシーフードパスタに使う、ギンダラの説明をしてくれるサルさん。

白身だけれど味がしっかりしたギンダラがドンとのったリングイネ。

サクサクのカラマリ。一緒に合わせたモントレー郡のシャイド・ヴィンヤーズのソーヴィニヨン・ブランも格別でした!

なんとシロナガスクジラも! 一年中クジラに会えるんです

 モントレーはランチだけで通り過ぎるのはもったいない。

 小魚が集まってくる豊饒な海では通年、クジラウォッチングが可能。ザトウクジラにコククジラ、シロナガスクジラも見られるそう。


一年を通してクジラがウォッチできるとか! なんと私にとってキング・オブ・ホエールのシロナガスクジラまでも! photo by SeeMonterey.com

 そしてダイバーならば、長さ50~60メートルにも達するという世界最大の海藻ジャイアントケルプ(和名オオウキモ)のジャングルを縦横無尽に泳ぐアシカと一度は泳いでみたいもの。ダイバーでなくても、モントレー・ベイ水族館でジャイアントケルプは見られます。


モントレー・ベイ水族館のジャイアントケルプの水槽。まるで海の中のジャングルです。 photo by Monterey Bay Aquarium

 モントレーはぜひ再訪したい海。その頃までには、小説『キャナリー・ロウ』を読破できているといいのですが。

モントレー

●アクセス サンフランシスコから車で約2時間

取材協力
カリフォルニア観光局
https://www.visitcalifornia.com/jp/
モントレー観光局
https://www.seemonterey.com/


古関千恵子(こせき ちえこ)

リゾートやダイビング、エコなど海にまつわる出来事にフォーカスしたビーチライター。“仕事でビーチへ、締め切り明けもビーチへ”をループすること30年あまり。
●Instagram https://www.instagram.com/chieko_koseki/

文・撮影=古関千恵子

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