懐メロ会社となったビーイングの「収入源は不動産」 空前のCD不況と音楽事務所の経済学

日刊サイゾー / 2013年1月21日 9時0分

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 1990年代に大ヒットを連発した音楽制作会社グループ・ビーイングが、“懐メロイベント”の開催に乗り出している。昨年好評を博した「“BEING LEGEND” Live Tour 2012」に続き、今度はWANDSやT-BOLANなどのギタリストを集めた「BEING LEGEND ~Guitar Summit~」を3月に開催。ライブハウスでの興行ではあるものの、確実な集客が見込まれているようだ。そもそも、現在のビーイングはどうなっているのか?

「ビーイングは90年代から00年代前半にかけてB’zやWANDS、ZARDなどを抱えて音楽業界を席巻しましたが、ここ10年ほどはバンドの解散や所属歌手の引退が相次ぎ、現在ではB’zくらいしか売れているミュージシャンはいません。それでも大阪と東京で自社ビルオフィスを維持しているのは、音楽事業の最盛期に不動産に投資して成功したから。現在では数百の貸しビル・マンションを経営し、音楽事業での赤字を埋めて余りある利益を出しています」(レコード会社関係者)

 ビーイングの副業成功の背景には、バブル崩壊後の地価下落局面で投資を開始した、という幸運もあった。これは90年代から00年代にかけて成功した音楽系事務所に共通するパターンで、ビーイングを見習って不動産経営に乗り出して成功したケースは少なくないという。

「かつてGLAYが所属していたアンリミテッドグループは現在、音楽事業は展開していませんが、不動産などの資産管理会社として存在しているようですね。有力事務所のAやKなども一等地にビルを保有するなどして、今も悠々自適の経営を行っている模様です。一方、飲食事業に手を出した会社は苦戦しています。国民的バンドを抱えるUや、ビールのCMに所属歌手が出ているTなどは青息吐息のようですね」(同)

 現在、一部のアイドルを除いてCDや音楽配信の売り上げ低下が続き、音楽業界は業績の低迷から抜け出せないでいる。今後、かつてのビーイングのように成功を収める会社は出てくるのか?

「今振り返ってみると90年代から00年代前半の音楽業界は空前の好景気にあり、業界史の中では特殊な時期であったといえます。もともと音楽業界の有力会社は、東芝EMI(現EMIミュージック・ジャパン)や日音がそうであったように、大手電機メーカーや放送局などの大資本が設立したものがほとんど。90年代まではプロ野球界と同様、親会社がレコード会社の赤字を補填するケースもよくありました。そんな中、90年代の好景気の波に乗ってビーイングやエイベックスなどの独立系会社が業績を伸ばしましたが、今は音楽単体で安定して高収益を上げるのは難しい時代。資本の後ろ盾がない企業が参入するハードルは格段に上がっています」(音楽宣伝会社関係者)

 昨年末にはユニバーサルミュージックによるEMIミュージック・ジャパンの吸収・合併も発表されるなど、世界的な規模で統合・再編が進む音楽業界。かつては「金儲け主義」と揶揄する向きもあったビーイングだが、音楽系ベンチャーの成功例として再評価される日も近いかもしれない。
(文=志波道夫)

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