スッキリしない問題を掘り起こす元祖狂犬芸人の鋭利な牙『加藤浩次の金曜Wanted!!』

日刊サイゾー / 2013年2月15日 13時0分

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しゃべりと笑いと音楽があふれる“少数派”メディアの魅力を再発掘! ラジオ好きライターが贈る、必聴ラジオコラム。

 かつての「狂犬」も、いまやすっかり「朝の顔」。そう思っている人にこそ聴いてほしい番組が、この『加藤浩次の金曜Wanted!!』(TBSラジオ 毎週金曜20:00~22:00)である。その牙は滾(たぎ)る感情を乗せたナイフではなく、あらゆる問題を掘り起こす黄金のつるはしへと形を変え、進化を遂げている。『金曜JUNK 加藤浩次の吠え魂』(TBSラジオ)以来約3年ぶりとなるこの期間限定番組(2013年1~3月の計12回)において、そのトークの精度は確実に、目に見えて向上している。

 とはいえ、それは「加藤浩次は情報ワイド番組の司会を務めることで、ジャーナリスティックな発言をするようになった」というだけの変化ではない。もちろん「多角的な視点の獲得」という意味では明らかに『スッキリ!!』(日本テレビ系)の司会経験(そしてテリー伊藤の影響)が生かされているはずだが、この『金曜Wanted!!』は情報も議論も逡巡も分析も、すべてがユーモアに昇華されていくという点において、純然たるお笑い芸人のラジオとしての面白さにあふれている。だから、聴き手も構える必要はまったくない。

 彼のトークの真骨頂は、その根っこに宿る強い問題意識にある。子どもの学校行事で見た奥さんの走り方に思いのほか幻滅し、「結婚するんだったら、嫁の全力疾走を見てから結婚したほうがいい」と豪語する加藤は、だから海辺でアハハと追いかけっこするような典型的なカップルの行為はみんなやっておくべきで、そこで走り方を見極めてから結婚したほうがいいという突拍子もない結論をいったん導き出し、さらにはそんな嫁が3人の子どもを走り方教室に通わせているという矛盾に、「お前だろ!」と激しくツッコミを入れる。だが問題はそこでは終わらず、笑いの先に「ルックスありきで結婚してる部分もある」という誰もが隠したがる本音や、「関係が安定してくると、嫌なところが見えてくる」という問題を提示し、お笑いコンビにも当てはまる話としてトークを縦横無尽に展開していく。

 また、体罰の話題になると、体罰は基本的に否定した上で、「体罰はするけどガリガリ君をおごってくれる先輩がいて、俺はその先輩のことが好きだった」と、体罰という問題に「好き嫌い」という別角度の基軸を持ち込むことによりさらに問題をややこしくした上で、ではどこまでならOKなのか、親子の場合はどうなのか、と自らを右へ左へ揺さぶりながら話を進行していく。

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