漠然とした“死の恐怖”に怯えている人たちへ『「死ぬのが怖い」とはどういうことか』

日刊サイゾー / 2013年2月24日 16時0分

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「死ぬのは怖いですか?」

 そう尋ねられたら、あなたはどう答えるだろうか? わたしは非常に楽観的な性格なので、100歳ぐらいまで生きて大往生。ぱぁっと散っていけるんじゃないかと考えているので、それほど怖くはない。ただ、自分の生命力が強すぎて、万が一火葬場で焼かれている最中に起きてしまい、「熱い! 熱い! うわぁ~~」と言いながら死んでいくことになったらどうしよう……と考えると、ちょっと怖い。だが世の中には、小さな頃から自分の死について真剣に考えている人も、たくさんいるのではないかと思う。

 『「死ぬのが怖い」とはどういうことか』(講談社)の著者・前野隆司氏は、小学生の頃から死ぬことが怖くて怖くてたまらなかった。たとえば、生まれるまでは何もなかったのか、何かあったけれど思い出せないだけなのか。死んだら生まれる前と同じように、何もなくなってしまうのか。思い出もすべて失われてしまうのか、などなど。わたしはそんな想像をめぐらしたことがなかったので、こういう考えの人もいるのかと少し驚いてしまった。

 前野氏はもともとロボットの研究者で、“人間の心もわからないのに、ロボットの研究をしている場合でない”と、脳科学、心理学、工学、宗教学、哲学、社会学、医学、カウンセリング学など、ありとあらゆる角度から「生きること」「死ぬこと」について研究した。その結果、大人になってからも漠然と怖いと思っていた死を、嫌だけれども怖くはないと思えるようになったという。

 本書は、前野氏がどうしたら死が怖くなくなったのかを伝えたいと執筆した一冊で、そもそも、なぜ死ぬのが怖いと思うのかという心理的な話から始まり、死後の世界に五感はあるのか、幽霊に色は見えるのか、輪廻は存在するのかなど、これまでオカルトっぽく取り上げられることはあっても、それほどマジメに研究されていなかった素朴な疑問に対し、ひとつひとつ論理的に答えを導き出している。

 人は必ず死ぬ。しかし、死を考えることは、生と向き合うことでもある。漠然と“死が怖い”と思っている人にとって、少し気持ちを楽にしてくれる本かもしれない。
(文=上浦未来)

●まえの・たかし
山口県生まれ、広島育ち。東京工業大学卒。同修士課程修了。キヤノン(株)、カリフォルニア大学バークレー校客員研究員、ハーバード大学客員教授を経て、現在、慶応大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授。博士(工学)。著書に、『脳はなぜ「心」を作ったのか』『錯覚する脳』(共にちくま文庫)、『脳の中の「私」はなぜ見つからないのか』(技術評論社)、『記憶』(ビジネス社)、『思考脳力の作り方』(角川oneテーマ21)など。主宰するヒューマンデザイン研究室では、脳と心から、ヒューマン・ロボットインタラクション、人間・社会システムデザイン、教育学、幸福学まで、人類の平和と幸福のために多様な研究・教育活動を精力的に行っている。

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