キンタロー。ブレイクのワケ 世間が抱く「AKBへの違和感」を体現した“真正面のものまね”

日刊サイゾー / 2013年4月8日 9時0分

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 今月4日、前田敦子のものまねで知られるキンタロー。が、東京・秋葉原のAKB48劇場を訪れて、「AKB48選抜総選挙」に自分も立候補したいと直談判。「フライングゲット」の振り付けを力一杯踊りきり、AKB48に対する思い入れを必死で訴えたが、立候補は認められなかった。

 元AKB48・前田敦子のものまねで一躍人気者となったキンタロー。。彼女はなぜ、ここまで大ブレイクすることができたのだろうか? 最大の理由はもちろん、ものまねの題材選びにある。今をときめくAKB48の人気メンバーを真正面からものまねするというのは、ありそうでなかった斬新な発想だった。

 また、彼女はAKB48のものまねをするのにうってつけの資質を備えていた。それは、見た目の面白さと卓越したダンスの腕前だ。キンタロー。は頭部が大きく背が低いコミカルな体型。そんな彼女がアイドルの真似をすると、それだけで強烈な印象が残る。しかも、社交ダンスの講師を務めていたこともあり、ダンスの実力は折り紙付き。本物をしのぐほど切れのある動きでアイドルの振り付けをするからこそ、コミカルな外見とのギャップで笑いが増幅することになる。

 さらに彼女は、火中の栗を拾うように最も危険な場所に飛び込んでいった。前田敦子が泣きじゃくりながら「私のことは嫌いでも、AKBのことは嫌いにならないでください」という名言を放つシーン。AKBファンにとっては思い入れの深いその名場面を、キンタロー。はあえてネタにしてしまったのだ。

 もちろん、最初はネット上で激しいバッシングを受けた。狂信的な一部のAKBファンからの抵抗は大きかった。でも、実際のところ、世の中のほとんどの人は、AKBに対してそこまで特別な思い入れはない。むしろ、握手会や総選挙などのイベントの異様な盛り上がり、一部のファンの熱狂ぶり、恋愛禁止ルールの不可解さなど、さまざまな点について漠然とした違和感のようなものを抱いている人も多かったはず。

 そんな大多数の一般人にとって、キンタロー。のネタはまさに待ち望んでいたものだった。彼女はものまね芸を通じて、AKBに敬意を払いながらAKBをからかうことができる。こんなものまね芸人に「会いたかった」とばかりに、世間はキンタロー。を全面的に受け入れた。彼女は今ではテレビに出ない日はないほどの人気ぶり。あっという間にテレビの世界を「総占拠」してしまった。

 さらに、彼女にとって幸運だったのは、前田敦子がテレビに出なくなるタイミングと、彼女が前田敦子のものまねでテレビに出始めるタイミングが見事に重なっていたことだ。一歩引いた位置にあるものをイジるからこそ、そこに適度な距離ができて、見る側も受け入れやすくなる。たまたまちょうどいい時期に前田敦子がAKB48を脱退したことで、キンタロー。にも「チャンスの順番」が回ってきたのだ。

 今では、ソフトバンクのCMで本物の前田敦子がキンタロー。の持ちギャグ「フライングゲット」を真似する始末。もはやAKB側としても、キンタロー。を無視したり否定したりするよりも、認めて取り込んでしまう方が得策だということになっている。「上からマリコ」ならぬ「下からキンタロー。」状態。ものまね芸人がいつのまにか本家の人気を追い抜いてしまった。

 キンタロー。が力ずくで「フライングゲット」したものは「AKB48をイジっても許される人」というポジション。これが得られたのは実に大きい。お笑い界からアイドル界に放たれた最終兵器、キンタロー。。これからも堂々と「大きな顔」をして芸能界を渡り歩いていってほしい。
(文=お笑い評論家・ラリー遠田)

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