宮藤官九郎が描くアイドルドラマ『あまちゃん』の「じぇじぇじぇ!」な魅力

日刊サイゾー / 2013年5月2日 9時0分

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「テレビはつまらない」という妄信を一刀両断! テレビウォッチャー・てれびのスキマが、今見るべき本当に面白いテレビ番組をご紹介。

「しゃっこい(冷たい)とが、足がつくとかつかねぇとが、考える暇なかったべ? そんなもんさ。飛び込む前にあれこれ考えたってや、どうせそのとおりにはなんね。だったら,なんも考えずに飛び込め。なんとかなるもんだびゃ。死にたくねぇがらな」

 孫のアキ(能年玲奈)を海に文字どおり背中を押して飛び込ませた夏ばっぱ(宮本信子)は、そう言って豪快に笑った。その数日後、アキは「かっけー」田舎の風景や人々に触れ、今度は自ら海に飛び込んだ。東京での「地味で暗くて向上心も協調性も存在感も個性も華もないパッとしない」自分を海の底に置いてくるように。そして言うのだった。

「わたし海女さんになりたい!」

 あのクドカンこと宮藤官九郎が脚本を手掛けることで話題を集めた朝の連続テレビ小説『あまちゃん』(NHK総合)の舞台は、彼の故郷でもある東北。三陸海岸にある架空の町、岩手県北三陸市である。24年前に東京までつながった三陸鉄道北リアス線と美しく険しい海、そしてそこに潜る「北の海女」くらいしかない田舎町だ。アキはそこに母親の春子(小泉今日子)に連れられてやってきた。

 春子は「田舎にいたころの自分が嫌い。ついでに、あのころのダサい自分知ってる人たちも嫌い。そういう人間関係イコール田舎だから、あたしにとっては。だから、やっぱり田舎が嫌い」と、24年前に田舎から逃げるように上京。一方、東京で生まれ育ったアキにとって、初めて出会う田舎の風景や人々が何もかも新鮮。そこに住む人々にとっては当たり前のことが、アキにとっては、ひとつひとつが「かっけー!」「じぇじぇじぇ!」(驚きを表現する方言「じぇ」の数が多いほど驚いている)の対象だ。

 クドカンドラマらしく、小ネタや魅力的なキャラクターは満載。たとえば「北の海女」はリーダー格の夏を演じる宮本信子をはじめ、渡辺えり、木野花、美保純、片桐はいりと、名前を見るだけで胃がもたれるような強烈なメンツ。さらにそれを取り巻く、杉本哲太、尾美としのり、でんでん、荒川良々、吹越満、といった手練たち。そんな強烈な役者たちが「じぇ!」「じぇじぇ!」「じぇじぇじぇ!」と「じぇ」だけで喜怒哀楽を表現し、クドカン流のユーモア溢れる軽やかなセリフをしゃべるから、朝っぱらから爆笑してしまう。強い方言には字幕がついたり、「じぇ」の絵文字「(‘j’)」を作ってみたり、過去のドラマからの小憎い引用をしてみたりといった遊びも絶妙な塩梅だ。

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