新薬開発に難病解明!? 宇宙実験室ISSの全貌『国際宇宙ステーションのすべて』

日刊サイゾー / 2014年1月13日 12時0分

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 2013年11月、若田光一宇宙飛行士が、ソユーズ宇宙船に搭乗し、自身4度目となる宇宙空間へと飛び立った。今回のミッションは、国際宇宙ステーション(ISS)に長期滞在し、前半はフライトエンジニアとして、後半は日本人初のISSコマンダー(司令官)を務め、ISS全体の指揮を執る予定だ。12月24日にはロボットアームを操作して、故障中の冷却システムの機器の交換を無事完了。ISSを題材にした映画『ゼロ・グラビティ』のような危機的事態も起こらず、ミッションは順調な様子だ。

 若田氏はじめ、多くの日本人宇宙飛行士が活躍するISSであるが、ISSとは一体どういう施設なのだろうか? 『国際宇宙ステーションのすべて』(洋泉社)は、ISSの概要や作業内容、宇宙飛行士の生活などを紹介したムックだ。多数の写真、図説を交え、ISSの内部外部を詳細に記している。ISSは、宇宙の微小重力環境下において、さまざまな研究・実験を行うための巨大な有人施設。大きさはちょうどサッカー場ほどで、4棟の実験棟と居住空間、2基のロボットアームを備え、地上から400km上空を時速2万7,700kmの高速で飛行している。実に90分で地球を1周する速さだ。

 ISSにはロシア、アメリカ、ヨーロッパ、日本がそれぞれ実験棟を所有しているが、その中でも日本実験棟「きぼう」は最大の実験施設で、医師である古川聡宇宙飛行士などにより、特徴的な研究が数多く行われている。中でも特に力を入れているのが「タンパク質の結晶成長実験」。地上では重力の影響で歪んで生成されてしまうタンパク質だが、宇宙の無重力環境では地上ではできない高品質のタンパク質を作ることができる。結晶の質が高ければ、立体構造の細かな部分まで調べることができるため、難病の原因解明や劇的な新薬の開発が期待されている。実際に筋萎縮症の新薬もISSで開発されつつあるというから、なんともオドロキの話だ。ほかにも「宇宙放射線の研究」「キュウリの栽培実験」など、将来的に宇宙空間で生活することを想定された研究が行われている。宇宙船内に広がる一面のキュウリ畑、想像するだけでなんとも楽しい光景だ。

 我々が暮らす地上でも、何気なく空を見上げると、星の間を走るISSを肉眼で見ることができる。本書で覗いたISSの内部を想像しながらの観測で、遠い宇宙空間もより一層近くに感じられることだろう。
(文=平野遼)

日刊サイゾー

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