「窓から飛び降りたい」精神までむしばんだ、星野源の“壮絶”闘病生活

日刊サイゾー / 2014年6月8日 9時0分

写真

 インストゥルメンタルバンド「SAKEROCK」のリーダーとして、シンガーソングライターとして、映画『箱入り息子の恋』やドラマ『11人もいる!』(テレビ朝日系)をはじめとした多くの作品に出演する俳優として、20~30代に支持されている星野源。過去二度、病によって活動を休止しているが、6月11日発売のシングル「Crazy Crazy/桜の森」(ビクターエンタテインメント)で音楽シーンに復帰する。

 柔和な笑顔と日ごろからの下ネタトークで、大病に苦しんだイメージが隠されているが、実際は死を覚悟するほどのすさまじい闘病生活をしていたことが明らかになった。

 5月9日に発売された、彼のエッセイ集『蘇える変態』(マガジンハウス)に書かれている生々しい記述が、ファンの間で話題を呼んでいるのだ。

 星野が倒れたのは2012年12月、楽曲制作とレコーディングが無事に終わった直後のこと。「スタッフ皆で拍手をしていると、急に目の前がぐにゃっと曲がった」「バットで頭を殴られたような痛みとともに、立っていられなくなり」、救急車で運ばれた病院で聞かされたのは、くも膜下出血という病名。手術前に担当医は本人に「絶対に助かります」と力強く宣言したが、周囲の人には「後遺症の可能性も含め、全快の可能性は低い」と言っていたというから、重篤な状態だったことがうかがえる。

 そして、術後に星野を襲ったのが、“生きるための苦しみ”。食べ物はもちろん水も飲めず、「爆発的な」頭の痛みだけが、ただただ続く。動けないストレスからか、神経が過敏になり、ほかの患者の息遣いや機械の音が気になって眠ることもできない。「24時間、不眠不休で痛みと神経過敏に耐え続ける。それが三日間続いた」と、想像を絶する過酷な状況だったのだ。

 そうなると、体だけではなく、精神もむしばまれてくる。「今すぐにでもベッドの頭上にある窓から飛び降りたい。早く死んでしまいたい。こんな拷問のような痛みはもうたくさんだ」と、心まで消耗していく過程が赤裸々に描かれている。

 しかし、彼は生きることは、死ぬよりずっと苦しいことに気づく。「生きるということ自体が、苦痛と苦悩にまみれたけもの道を、強制的に歩く行為なのだ。だから死は、一生懸命に生きた人に与えられるご褒美なんじゃないか」。まだ生に執着のある自分はご褒美をもらえる立場にないと思った星野は、痛みに耐え、病を克服していく。

 なんとか日常を取り戻した星野だったが、医師から再発を宣告され、二度目の手術を受けることに。状況はより深刻で、手術予定日から数カ月後に新曲をリリースすると決めたときも、「その時自分は喋ったり、歩いたりできているかどうかもわらかないのだ」と思うほど。実際に二度目の手術やリハビリのほうが「断然過酷」だったようだが、「面白さが、辛さに勝ったのだ」と記されている。

 それは、高度で深刻な手術内容を説明しながらも医学系下ネタを交えてくる医師だったり、美人看護師に座薬を入れてもらう時に“プレイ”だと妄想する星野自身だったり。一般的な闘病記にありがちな、生を称える記述もなければ、死を迎えるための達観した視点もないが、死が間近に迫っていてもエロいことばかり考える星野に、人間の泥臭い欲望や生への執念が感じられ、すんなりと心に入ってくる。

 まさに死の淵から生還した星野。もともと繊細だった感性がさらに研ぎ澄まされたことが本書からもうかがえる。北野武や千原ジュニアなど、死を目の当たりにした芸能人が、作品や芸風が180度変わることも少なくない。星野はどんな変化を見せてくれるのか――? 復帰とともに彼の新たな才能の目覚めに期待したい。

日刊サイゾー

トピックスRSS

ランキング