“性産業大国”の汚名返上のはずが……施行から10年、韓国「性売買特別法」の功罪

日刊サイゾー / 2014年9月24日 19時0分

 性産業大国――。その汚名を返上すべく、韓国政府が施行したのが「性売買特別法」だ。同法は、去る9月23日に施行“10周年”を迎えており、この10年間、韓国国内では風俗店に対する厳しい取り締まりが続いている。例えば、大田の風俗店は、2009年の263軒から今年6月までに160軒へと縮小。現在、閉鎖の危機に追い込まれているのは、大邱市中区桃園洞の風俗街だ。日本統治時代に誕生し、100年の歴史を持つ韓国の代表的な風俗街なのだが、最近、地元市民団体らが協力して圧力を加えており、閉鎖は時間の問題とささやかれている。


 そもそも韓国の風俗店は、02年当時、5万軒あまりあったといわれていた。刑事政策研究院の「性売買経済規模全国調査」によると、売春婦は最低でも33万人で、性産業の総売上規模は24兆ウォン(約2兆4,000億円)。当時の国内総生産(GDP)の4.1%を占めており、これは農林漁業とほぼ同規模だったというのだから驚く。そんな性産業を抑圧しようと韓国政府が04年に施行したのが性売買特別法なのだが、同法の施行以降、07年には風俗店が4万6,000軒、売春婦は26万人、売上規模は14兆ウォン(韓国女性政策研究院などによる「全国性売買実態調査」参照)に減少した。10年になると、性産業の売り上げは6兆8,600億ウォン(ソウル大女性研究所の調査)と、02年当時の30%ほどの規模にまで縮小している。

 統計を見る限り、まさに絶大な効果を発揮している性売買特別法。だが、実態ははなはだ怪しい。というのも、まず性売買の舞台が国内から海外へと移ったという指摘があるからだ。例えば、09年の海外性売買に関連する検挙者数は128人だったが、13年は496人と4倍近くまで増加。検挙者が性売買を行っていた国としては、61%の日本が最多であり、フィリピン、アメリカ、オーストラリアなどが続いている。

 そして、国内の風俗事情が“進化”を遂げていることも見逃せない。ルームサロン(ホステス付きの個室クラブ)などの売春行為の温床となっている“飲み屋”は、04年当時3万軒に過ぎなかったが、現在は4万5,000軒と1.5倍に増加。個室にカラオケやシャワーを完備した“ホテル型風俗店”の数も増えており、その摘発数は昨年11月からの3カ月間に975件に上り、前年同時期の441件を大幅に更新している。女性とキスを楽しめる“キス部屋”などの新型風俗店の摘発数も上昇。警察の資料によると、10年の2,068件から13年は4,706件に、今年も7月までに3,620件が摘発されている。

 さらに問題なのは、そうした新型風俗店には、営業停止や閉鎖などの行政処分が下せないという点だ。食品衛生法や公衆衛生管理法などの違法事実が確認できれば刑事処罰も下るが、新型風俗店はそもそも登録や届け出をしていないケースが多く、行政処分を下す根拠がないという。そのため事業主の名前だけ変えて営業を再開するケースも珍しくなく、いつまでたっても根絶に向かわないのだ。
 
 施行から10年を迎えた韓国の性売買特別法。「性売買は犯罪」という認識を広く韓国人に与えたという点では意義もあったが、同時に韓国の性産業をさらに多様化・巧妙化させるという反作用も生まれている。性産業大国の汚名を返上するための道のりは、まだまだ厳しそうだ。

日刊サイゾー

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