お笑い評論家・ラリー遠田緊急寄稿『THE MANZAI 2014』博多華丸・大吉が優勝した3つの理由

日刊サイゾー / 2014年12月15日 13時0分

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 12月14日、今年最も面白い漫才師を決める『日清食品 THE MANZAI 2014』の決勝が行われた。エントリー総数1,870組の頂点に立ったのは、博多華丸・大吉。決勝12組のうちで最長となる、コンビ歴24年を誇るベテランが貫禄を見せた。

 この日、博多華丸・大吉が見せた2本の漫才は、面白いのはもちろん、さまざまな角度から見て隙のない、完璧に近い出来だった。一通り終わってから振り返ってみれば、この大会で頂点に立つのは彼らしか考えられなかった。彼らが優勝したのはなぜなのか? その理由を3つのポイントに絞って解説していきたい。

 1つ目は、普段通りの漫才をやっていた、ということ。「普段通り」とひとくちに言っても、それは簡単なことではない。特に、この手の賞レースでは、普通の芸人ならばどうしても、優勝することを意識して、勝つためのネタ作りをしたくなってしまうものだ。

 もちろん、博多華丸・大吉も優勝を狙っていないはずはない。ただ、彼らは、他の若手ほど優勝に対する切迫感がない。彼らにとってより重要なのは、目先の大会で優勝することよりも、末永く漫才をやり続けることだ。芸歴24年を数え、漫才師としての大きな目標が見えてくる段階だからこそ、目の前にある餌に対してがっつかなくて済む。その余裕が見ている人にも伝わり、安心して笑える雰囲気を作った。

 そんな彼らのスタンスを象徴するシーンがあった。1本目の漫才の冒頭、大吉の第一声を聞いた瞬間に私は「ああ、やられた!」と思った。大吉は、相方の華丸が丸坊主になっていることに触れてこう言ったのだ。

「改めて聞くのも何ですけど……華丸さん、髪の毛どうしたんですか?」

 それに対して華丸は、福岡ローカルのドラマで主演を務めることになった、という内容のことを答えた。まるで寄席や劇場でやっているような、ごく普通のゆったりしたツカミだ。ネタ時間4分の賞レースで、この手のゆるいツカミに30秒も費やすなんて通常では考えられない。でも、彼らはあえてそれを選んだ。そのことによって、「僕らは今日は普段通りの漫才をやります」という確固たる意思を示したのだ。

 2つ目は、キャラを生かす漫才をやっていた、ということ。彼らは決勝12組の芸人の中で最も売れていて、知名度が高い。どういうキャラクターの人間なのかということは世間にはすでに知れ渡っている。そこで、彼らはその武器を素直に利用することにした。

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