ユーザーへの福音か? 料金の高止まりか? 波乱を呼ぶ、ドコモの光回線サービス「ドコモ光」

日刊サイゾー / 2014年12月18日 15時0分

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 NTTドコモは、2015年2月から新サービス「ドコモ光」をスタートする。ドコモの携帯・スマホとセットで契約することで、NTT東西の光回線サービスと一緒に割引するという内容だ。NTTドコモユーザーにとってはお得なサービスに見えるが、いろいろと反発を引き起こしている。

 まず、auとソフトバンクが異を唱えている。KDDIの田中孝司社長は10月の決算説明会で「ドコモ光」を「脱法的行為」と批判し、ソフトバンクの決算説明会では、孫正義社長は「注意深く監視して管理すべき」と述べた。auは「auスマートバリュー」、ソフトバンクは「ホワイトBB」という、ネット回線と併用することで割引するサービスを提供している。ドコモは自分たちだけ提供できないのは不公平! という言い分で今回のサービスを提供することにしたのだが、なぜauとソフトバンクは何年も前から提供しているサービスにドコモが参入することに反発しているのだろうか? それは、ドコモひいてはNTTの市場独占状態を恐れているためだ。

 「ドコモ光」がスタートすると、ユーザーは携帯・スマホも家の光回線も一緒にしたほうが安くなる。さらに「ひかり電話」まで契約すれば、固定電話まで囲い込むことになる。NTTというブランドの力は、依然大きいのだ。さらに、ドコモとNTTの間で不透明な取引が行われると、ライバル企業はコスト面で太刀打ちできなくなる。そのため、NTTグループでサービスを独占させないために、いろいろな規制が設けられていた。しかし、昨今のシェア低減を受けて、規制が緩和されたのだ。

 次に、ISP(インターネットサービスプロバイダ)からの反発も招いている。現在、NTTの光回線であるフレッツ光もISPを選択できるが、多くが月額1000円前後の料金設定となっている。しかし、「ドコモ光」ではドコモのISPであるmoperaも利用できるようになる。moperaの料金が月額500円であるため、ほかのISPもこの水準に落とさざるを得ず、それでは赤字になる! と交渉を続けている。

 とはいえ、もう発表してしまった以上、来年2月には「ドコモ光」がスタートすることは間違いない。固定回線のキャッシュバック合戦になったら、auはそれなりの対応をするという。ソフトバンクは、「ドコモ光」と同様、NTTから光回線を卸してもらい、セット割サービスを提供する予定だ。

 短期的に見ると、固定回線とのセット割に加入すれば、割安になることだろう。しかし、そうなるとMNPでのキャリア乗り換えが簡単にできなくなる。また、すでに圧倒的なシェアを持つドコモとNTTがさらにユーザーを囲い込んだ場合、通信料金の価格競争が起きにくくなる。NTTグループが市場を独占することにより、料金が高止まりするのだけは避けてほしいところ。

 業界の多くの企業が反対しているのに、規制緩和にこぎ着けたドコモの政治力に舌を巻く。ライバルの隆盛も、ドコモの死んだふり戦略なのか? と疑いたくなるほど。ユーザーはドコモが通信市場を焼け野原にしないように、公平な競争が行われているかどうかチェックしていく必要がある。目の前の餌に釣られると、将来たっぷり利子を付けて回収されかねないからだ。
(文=柳谷智宣)

日刊サイゾー

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