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“R18”海外作品が大ヒットも……国家ぐるみで映画を規制する韓国“レーティング”事情

日刊サイゾー / 2015年5月6日 19時0分

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 韓国で2月に封切りしたスパイアクション映画『キングスマン ザ・シークレットサービス』(日本では今夏公開)』が、公開2カ月にして観客動員数600万人(4月13日現在)を突破して、大ヒットを記録している。同作は『キックアス』のマシュー・ボーン監督最新作で、韓国での興行収入が海外収益の20%以上を占めているというから驚きだ。

 今年、韓国で封切られた映画の中でNo.1ヒットとなっているのだが、注目なのは「青少年観覧不可」にもかかわらず、この記録を叩き出したということ。ちなみに「青少年観覧不可」の外国映画では、すでに韓国歴代1位を記録している。

 残酷なヤクザ映画が国民的大ヒットを記録することも珍しくない韓国映画界において、「青少年観覧不可」という指定は、日本の「R18指定」とほぼ同様の規定。“映像物の倫理性及び公共性の確保と青少年の保護”を目的とし、審査事項として作品テーマ、性的表現、暴力描写、セリフ、恐怖度、薬物の取り扱い、模倣の危険性の7つが設定されている。日本の映像倫理委員会(映倫)の基準と大きく異なるのは、「薬物」と具体的に言及している点くらいだろう。制度的に見て、レーティングの区分も日本と同じだ。

 ただ、映倫が国家に規制をされないために自主的に設立・運営しているのに対し、韓国の映像物等級委員会は“映画及びビデオ物の振興に関する法律”第71条にのっとって審査を行い、運営費は国庫から捻出されている。要するに、韓国では国家的に映画を取り締まっているということになる。

 韓国がそこまで映画のレーティングに躍起となる理由のひとつは、増え続ける少年犯罪にあると考えられる。韓国の国家行政機関である大検察庁の2012年度の犯罪分析資料によると、当時の全犯罪者約211万人中、約10万人が未成年者だった。未成年の犯罪が年々増加を続け、低年齢化の傾向もあるという。

 実際に、未成年事件の残虐性も問題視されている点だ。今年2月、日本でも公開された映画『ハン・ゴンジュ17歳の涙』は、04年に実際に起きた「密陽女子中学生集団性暴行事件」をモチーフにしている。この事件は、3人の女子中学生を40人以上の男子高校生が数カ月にわたり暴行、強姦、恐喝し続けたという驚愕の事件で、こうした残忍極まりない少年犯罪が増えているという。

 何よりも、実際に映画を模倣した少年犯罪も起きてしまっている。13年、京畿道竜仁のモーテルで19歳の少年が17歳の少女に性的暴行を加えた末、首を絞め殺害する事件が発生。少年は遺体をトイレで16時間かけてバラバラに切断し、骨はビニール袋に詰めて他の部位は便器に捨てたという。少年は05年のアメリカ映画『ホステル』を模倣したと陳述し、「残忍な映画を見て、一度やってみたかった」と供述したという。『ホステル』は、ある田舎町の秘密のホステルを舞台にしたサスペンスホラーで、人体の切断描写が過激なことが話題となったが、韓国では上映禁止になっているという。

 レーティングは、判断能力の未熟な未成年者に対する保護として当然の必要なものだろう。いや、少年犯罪をなくすためにこそ、作品を通して教える必要がある――。こんな議論を巻き起こしそうだが、少年犯罪と映画がかなりデリケートに絡み合っているのは韓国特有の問題なのかもしれない。
(文=梅田ナリフミ)

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