吉田沙保里CDは“珍盤”殿堂入りなるか? アスリート歌手の歴史から考察

日刊サイゾー / 2015年9月5日 9時0分

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 レスリング女子五輪3連覇中の吉田沙保里が歌手デビューすることを発表し、話題を呼んでいる。今回リリースするシングル「目を覚ませ」(avex trax)は、TBSの石井大裕アナウンサーと同局に勤務する兄の石井大貴によるユニット「Well stone bros.」とのコラボ作品で、9月1日にYouTubeに公開されたMVでは、強くたくましいイメージとは裏腹に、素朴で優しい歌声を聴かせている。

 アスリートがCDデビューするのは、過去にもいくつか例があった。1982年には当時、プロ野球・読売ジャイアンツの新星として絶大な人気を誇っていた原辰徳が、シングル「どこまでも愛」とアルバム『サムシング』を発売している。『サムシング』の作家陣には、吉田拓郎、長渕剛、沢田研二、弾厚作(加山雄三)とそうそうたるメンツが名を連ねており、時代が透けて見える珍盤として、今も好事家たちから人気だ。

 元バレーボール選手の大林素子が、2001年につんく♂プロデュースの「デカモニ。」名義でリリースしたシングル「大きな私の小さな恋」も、5,000枚限定という希少性から、ネットオークションなどでは高値で取引されている。いわずもがな、ミニモニ。のパロディーとして作られた作品で、カップリングには「デカモニ。ジャンケンぴょん!」という楽曲も収録。つんく♂楽曲には熱心なファンが多いため、今後も入手困難だろう。

 93年に『劇空間プロ野球93』(日本テレビ系)のテーマソングとして作られたシングル「果てしない夢を」には、当時ヒットチャートをにぎわせていたZARD、WANDS、ZYYG、REVといった面々に加え、読売ジャイアンツの監督に再就任した長嶋茂雄がゲスト参加。王道的なビーイングサウンドの中で、長嶋茂雄の歌唱パートは一聴してそれとわかる個性があり、出番は極めて少ないものの、リスナーに強烈な印象を残した。

 ボクシング界にも、ひそかな人気を集める作品は多い。元プロボクサーのガッツ石松は、74年に「石松おとこ節」で歌手デビューし、その後も不定期ながら作品をたびたび発表。15年、ガッツ石松&ポカスカジャン名義でリリースした「OK食堂」は、NHK『みんなのうた』で放送されるなど、子どもたちが口ずさめる歌として親しまれている。一方、竹原慎二が00年にリリースした1stシングル「下の下のゲットー。」は、タイトルも中身もインパクト絶大だ。当時人気だった「ガチンコファイトクラブ」での名言を彷彿とさせる「お前ら 弱い世界じゃ強いだろうが 強い世界じゃ 下の下のゲットー」とたたみかけるラップは、まさに“パンチライン”といえるかもしれない。

 一部の音楽ファンからマニアックな支持を得ることもある、アスリートたちの音楽作品。吉田沙保里の貴重な生歌が収められた「目を覚ませ」も、価格が高騰する前に手に入れておいたほうがよさそうだ。
(文=山下祐介)


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