電通批判・民放批判の裏で、自社の「過労死」隠し……“隠れブラック企業”NHKの腐敗体質

日刊サイゾー / 2017年10月10日 11時0分

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 NHKは、2013年7月にうっ血性心不全で死亡した女性記者の死因が、過労によるものだったとして14年に労働基準監督署から労災認定されていたことを発表した。一部でこの話は伝わっていたが、NHKは公式発表をしていなかった。これには他のメディア関係者から批判も聞かれる。

「電通の事件では率先して大きく報道していたくせに、自分のところはその間、隠していたんだから卑怯ですよ。電通と一緒にバッシングされるのを恐れて公表を遅らせたとしか思えない」

 こう話すのは民放の情報番組を手掛けるチーフディレクターだ。

「昨今のテレビ界は経費削減の風潮から人員削減の傾向が強まってますけど、かといって残った人にそれをカバーさせられないのは、同時に労働時間の制限も持ち上がっていたから。その分、中間管理職にしわ寄せがあるので、労働問題は他人事じゃないんです。でも、NHKは電通の件で『ウチは民放と違う』とばかりに糾弾していたので、今さらの公表には首を傾げてしまいます」

 NHKは公表の遅れを遺族への配慮としているようだが、昨年、電通で起きた女性社員の過労自殺では大々的に追及していた。電通がテレビ局にとって重要な大手広告代理店とあって、民放各局が腰の引けた報道をしていた中、NHKは率先してこの問題を取り上げていたのだ。

 11月、『おはよう日本』など複数の番組では「隠れブラック企業」を特集、見せかけの法令遵守が横行しているとした。さらに電通に大賞を授賞した「ブラック企業大賞」の、実行委員のインタビューまで放送したほど。今年も夏に『クローズアップ現代+』などが働き方の問題を特集していたが、これらの中で一切、触れなかったのが自局の過労死だった。

 女性記者はピーク時で時間外労働が月150時間を超えていたという。05年に入社で、当時31歳。鹿児島放送局を経て10年から東京・渋谷の放送センターに勤務していたが、選挙報道の激務に追われていたという話だ。

 実際、亡くなったのは、自民党が政権を奪還して初の大型選挙になった13年の参院選の開票3日後。法改正でネットの選挙運動が認められたこともあり注目度が高かった選挙でもある。労基署は「相当の疲労の蓄積、恒常的な睡眠不足の状態」を認めている。

 NHKは公表当日、21時からの『ニュースウオッチ9』で、この問題について取り上げたが、割いた時間は非常に短く、アナウンサーが今後の労働環境の改善を約束した程度だった。まったく触れない報道番組もあった。鬼の首を取ったように伝えていた電通の問題とは、あまりに温度差がある印象だ。

 他局の人間から「卑怯」とまで言われてしまっている疑念を晴らすには、NHKも自ら「私たちは隠れブラック企業だった」と認めるなどして、遅かった公表も含めた全容解明を行なうべきかもしれない。NHK関係者のひとりに非公式の取材をしたところ「下請けの制作会社の人まで含め、NHKにはいまだ過労と見られる人はたくさんいる」とのことだった。
(文=片岡亮/NEWSIDER Tokyo)

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