『執事 西園寺の名推理2』の『三重密室』はタイトル詐欺? 『金田一少年の事件簿』を希釈したようなベッタベタなミステリーに

日刊サイゾー / 2019年5月31日 16時0分

 また、沢渡が以前、正隆の秘書をしていたことが発覚。事業に失敗して自殺しようとしたところを助けられた経緯があるのでした。

 その沢渡のズボンに百合の花粉が付着していることに気づいた西園寺は、別荘内で唯一、室内に百合の花が飾られている弥生の部屋に着目。その花瓶が通常は窓の前に置かれているハズが、少しずれた場所に置かれていること、その部屋がちょうど幸造の部屋の真下にあることに気づきます。

 沢渡は窓から身を乗り出し、上階に向かってクロスボウを構えて、「ホワイトアウト」と呼びかけ、顔を出した幸造を撃った、というのが事件の真相だったのです。

 また、沢渡は保管庫の電子ロックの解除番号を知っているため、停電が起こる前にクロスボウを取り出して幸造を殺害。その後、停電時に幸造になりすまして杖を突きながら少しだけ部屋の外へ姿を見せることで殺害時刻の予想をずらし、幸造の死体発見時に密かに窓のカギを締めることで密室状態を作り出していたことも判明します。

 沢渡は、幸造が正隆を自殺に見せかけて殺害し、弥生との結婚によって三日月家の資産を奪い取ろうとしたことが許せず犯行に至ったことや、正隆から弥生を守るように命じられていたことを告白。事件は解決するのでした。

 今回は、登場人物たちが特定の場所に閉じ込められてしまう、いわゆるクローズド・サークルものでした。本格ミステリーのド定番な設定なのですが、特に凝ったトリックもなかったため、ベッタベタな展開で終始してしまった印象です。

 そもそも今回の事件、クローズド・サークルにする意味ってあったんですかね。停電にするために配電盤を破壊したのは理解できるのですが、電話線を切った意味は? たとえば、時間が経つと完全に消化されてしまう毒薬を用いて、すぐに死亡解剖されたくない場合でしたらわかるんですけど、今回の事件ではまったく意味のない行動に思えました。

 また、今回のサブタイトル『呪いの三重密室トリック』は詐欺だと思います。三重というのは、それぞれが独立したトリックのことを指します。つまり、窓が施錠されるだけで1つの密室状態がつくられなければいけませんけど、そうはなりませんよね。

 狙いとしては、正隆に対する忠誠心と、弥生を陰で守る「白馬の騎士」的なキャラクターとして描くことで、視聴者が沢渡に同情するよう仕向けたかったのでしょう。ただ、幸造の殺害時のアリバイ確保のためロビーにいるよう命じた時は別として、弥生に対して常に冷たい態度をとっていた点が解せませんでした。“実は味方だった”というギャップで感動的にしたかったのでしょうけど、あまりその効果は得られなかったようですね。

 このあたりの犯人の心理描写を巧みに描き、ヒットとなったのがコミック『金田一少年の事件簿』(講談社)だと思うのですが、今回はトリックを含めて同作品を希釈したような印象を受けました。

 次回は時代劇映画の撮影現場が舞台。予告動画では西園寺が見事な殺陣を披露していますが、度肝を抜くようなトリックにも期待したいと思います。
(文=大羽鴨乃)

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