大人に「夢を持とう」と強要された若者が追い詰められる“ドリーム・ハラスメント”の罪

日刊サイゾー / 2020年7月24日 15時0分

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「夢を持て」とよく言われる。しかし、夢を叶えられる人ばかりではないし、社会経験もない子どもが将来像を描けるとは限らない(実際、「夢が持てない」と悩む子は多い)。夢を描けたとしても、経験や知識が少ないほどその解像度は粗く、視野狭窄なものにならざるを得ない。にもかかわらず、なぜ大人は「夢を持て」と子どもに言い続けるのか? この「夢の強要」問題に迫った『ドリーム・ハラスメント 「夢」で若者を追い詰める大人たち』(イースト・プレス)という名の書籍が6月に刊行された。著者の高部大問氏に、ドリハラが発生する背景と「夢の代わりになるもの」について訊いた。

夢で釣って就職させるビジネスの利権

――高部さんの本では「『夢を持て』と強要することはハラスメントである」という主張が展開されますが、この問題に関心を持ったきっかけは?

高部 大きくいうと2段階あります。私は今は多摩大学の事務職員なのですが、前職はリクルートです。新卒でリクルートに入ると、大半が営業配属だった同期の中で私ひとり総務部に配属で、初日にいきなり先輩から携帯電話を渡され、「いつ鳴るかわからないから」と。なんの電話かなと思うと、24時間365日「いつ鳴るかわからない」クレーム対応の電話でした(笑)。入社して数カ月後に同期40人くらいが集まって話をしたとき、僕の仕事に対して「どこにやりがいがあるの?」「楽しいの?」という質問を次々浴びせられました。僕は「そういうものではないけど、クレームは社会からの期待やビジネスの種という側面もあって、会社にとって重要な仕事だし」と思っていたのですが、賛同者はなく、そのとき「すべての仕事にやりがいや夢を求めるってどうなんだろう?」と疑問が浮かんできました。これが第1段階目です。

 2段階目は、大学の事務職員になって中学・高校に「うちの大学に入りませんか?」と広報活動に赴くことが多くなり、講演などでのやり取りやアンケートを通じて「夢が持てない」「特にやりたい仕事がない」と苦しんでいる子どもたちを目の当たりにしたことです。

 それがリクルート時代の自分の経験とリンクして、「夢の強要は、嫌がらせになっているのでは?」という問題意識として結実しました。僕はリクルートに就職して同期に問い詰められるまで、「夢を持たなきゃ」「やりたいことを仕事にしなきゃ」と悩んだ経験はなく、だからこそ「こんなにみんなツラいのか」という衝撃が大きかった。

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