渡辺直美 希代のドリームガールが見つけた「かわいいとブサイクの間にあるもの」

日刊サイゾー / 2012年3月25日 8時0分

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 3月21日、白鳥美麗のデビューシングル「ピカル 恋がしたい」(よしもとアール・アンド・シー)が発売された。白鳥美麗とはバラエティ番組『ピカルの定理』(フジテレビ系)で渡辺直美が演じる名物キャラクター。特異な外見でなぜか異性にはモテモテのカリスマ女子高生である。3月20日と21日にはCD発売記念イベントも開催された。

 渡辺直美がテレビに出るようになったきっかけは、ビヨンセの口パクものまねだった。ぽっちゃり体型の彼女が、ピンクのワンピースを身にまとい表情や動きを完全コピーしてビヨンセになりきる姿は、人々に強烈なインパクトを与えた。このネタが評判を呼んで『爆笑レッドカーペット』『笑っていいとも!』(ともにフジテレビ系)などに出演。彼女は一気にスターダムを駆け上がっていった。

 その後、渡辺はビヨンセ以外のレパートリーも披露して、芸の幅広さをアピール。さらに、持ち前のリズム感や顔芸の面白さを生かして、コント番組『ピカルの定理』にもレギュラー出演するようになった。今ではいくつかのコントで主役級の扱いを受けていて、もはや番組のエースといっても過言ではないほどだ。

 渡辺直美の活躍ぶりをテレビで見てきたお笑いファンならば誰でも、彼女の芸が年々進化しているのを感じているのではないだろうか。総合的なパフォーマンス能力の向上もさることながら、とりわけ顔芸の破壊力が増している。今の彼女は、単に面白い表情をつくるというだけではなく、その効果的な使いどころを心得ている。音楽系お笑い番組『バカソウル』(テレビ東京系)などで披露する口パクネタでは、初めから変な顔をしているのではなく、ここぞというときに決め顔をつくって、そこから一気にたたみかける。その押し引きの加減が絶妙なのだ。それは確かに練習の成果ではあるのだが、意識的に演じているというより、体で覚えているという感じに見える。音楽ネタでリズムやメロディーを体に浸透させるのと同時に、表情の強弱やタイミングまで本能的に身につけているのだ。

 渡辺の見せる口パク芸は、ものまねのジャンルとしては決して目新しいものではない。コロッケのちあきなおみのものまねに代表されるように、この種の芸をやっていた人は過去にもいた。ただ、渡辺の芸には革新的な点が2つあった。

 第一に題材の目新しさだ。口パク芸で、ビヨンセ、マライア・キャリー、レディー・ガガなど、洋楽でセクシーな本格志向の女性歌手に絞って歌まねをするのが非常に斬新だったのだ。第二に、渡辺の芸は、彼女自身の特異なキャラクターによって魅力が増している、ということ。彼女の立ち位置の独特さは、単に女性芸人だから物珍しいといったことだけでは片付けられない。渡辺は、肥満体型ではあるが、決してそのことで自虐的に振る舞ったりはしない。彼女が提供するのは、デブを卑屈におとしめる笑いではなく、デブを力強く肯定する笑いである。これを発明したのが彼女の独創だった。

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