ギャングスタ・ラップの父として、バッシングと戦ったアイス-T

サイゾーウーマン / 2012年12月15日 13時0分

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――アメリカにおけるHIPHOP、特にギャングスタ・ラップは音楽という表現行為だけではなく、出自や格差を乗り越え成功を手に入れるための“ツール”という側面もある。彼らは何と闘い、何を手に入れたのか。闘いの歴史を振り返る!

【今回のレジェンド】
ギャングスタ・ラップの父 アイス-T

[生い立ち]
 アイス-Tは、1958年2月16日、本名トレイシー・マロウとして、ニュージャージー州ニューアークに生まれた。アフリカ系アメリカ人の父とフランス人混血クレオールの母親に愛され何不自由なく暮らしていたが、8歳の時に、一緒にテレビを見ていた母親が心臓発作を起こし死亡。その5年後に父親もがんで他界し、13歳で孤児に。親戚中をたらい回しにされたアイスは、最終的にカリフォルニアに住むおばの元へ。だが、その伯母はアイスの児童手当が目当てで世話らしきことはほとんどしなかった。

 悪名高き地元の高校で、悪友からLAのストリートを仕切っていたギャングとハスラー(麻薬売人や売春の元締め)について教わったアイスは、「車、女、貴金属」にまみれた世界に夢中になる。ピンプ(ヒモ)の帝王と呼ばれたアイスバーグ・スリムの自伝小説『PIMP』を読み、深く感銘を受ける。「薬物売人、ギャングスター、殺人鬼、泥棒。誰だって一日の終わりにはセックスしたくなるだろう? ピンプはそのセックスを取り仕切ってんだ。ピンプは、地球の主。神に一番近い存在なんだぜ」と熱く語るアイスは、この頃から「アイス-T」と名乗り始め、髪形や服装、話し方もピンプっぽくするなど徹底。話す時はわざと同音異綴語にライムし、当時はまだ広まっていなかったラップを聴いているようだった、と同級生たちは語っている。

 17歳で伯母の元から法的に自立したアイスは、月100ドルのアパートで彼女と暮らすようになり、彼女はすぐに妊娠し出産。18歳で父親になったアイスは家族を養うため、学歴を問わない陸軍に入隊した。ちょうどニューヨークでブレイクし始めたHipHopを聞いたアイスは、「ライムしてるオレならラップは楽勝」と、81年に名誉除隊。すぐにラッパーとして活動するつもりだったという。しかし、LAの空港で待ち構えていた悪友たちから「オレたちの宝石泥棒ギャングに入れ」と勧められ、あっさり了解。養育費は絶対に払うと約束した上で彼女と別れ、日夜問わず高級貴金属のみを狙う泥棒生活を送るようになった。ストリートから一目置かれる存在となったアイスは83年、念願のピンプに。スーツを着て髪にはパーマをかけてマニキュアをし、どこから見てもピンプとわかるスタイルで娼婦たちを取りまとめ、街を闊歩するようになった。

サイゾーウーマン

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