本日準決勝!“甲子園のヒール”光星学院に浸透しきらなかったカトリックの信念

サイゾーウーマン / 2012年8月22日 9時0分

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 ロンドン・オリンピックも終盤に差し掛かった8月8日、第94回全国高等学校野球選手権大会、通称・夏の甲子園大会が開幕した。この高校野球において、しばしば話題になるのが、私立と公立の格差。時々「同じ高校生なんだから、勝負は分からない!」と、“清く正しい精神”に則った正論をのたまうファンもいるが、その同じ高校生が、片や広々とした専用グラウンドと最新のトレーニングマシン完備、トレーナーまで帯同している私立高校、片や狭いグラウンドをほかの部活と共用し、道具ひとつ買うのもヒーヒー言っている状況の公立高校で練習に励んだ場合、どちらのレベルが高くなるかは明らかだ。

 そんな私立高校の中でも、抜群の資金力と設備、人脈を誇るのが、いわゆる“宗教系”の学校だ。一般的に有名なところでいうと、"PL(パーフェクトリバティー)教"を母体とする大阪の「PL学園」などは、知っている読者も多いことだろう。1980年代に甲子園で圧倒的な強さを誇り、清原和博、桑田真澄をはじめ、多くのプロ野球選手を輩出した野球名門校である。近年は、今大会で4強入りを決めている「大阪桐蔭」や、その大阪桐蔭に大阪府大会の決勝で負けた「履正社」など、新興校の台頭によって府大会で苦戦を強いられているが、まだまだ実力とネームバリューは健在だ。

 ほか、今大会では大阪桐蔭に負けて8強で終わった「天理」や、初戦敗退に終わったものの、夏の甲子園に戦後最多の8年連続出場を果たした「智弁学園」といった常連校をはじめ、全国には宗教系の学校が意外と多い。ともすれば、「宗教=洗脳、怖い!」といったうがった見方をする向きもある中で、「宗教系高校球児は洗脳されている」とお思いのファンも少数ながらいるのではないだろうか。強豪校であれば軍隊並みとも言われる高校野球の練習の中で、実際に宗教が入り込む余地はあるのか? 今大会の出場校を中心に、注目の宗教系学校と、その野球部について紹介していこう。

 まずは20日に行われた準々決勝を勝ち進み、4強入りが決定した東北の雄、青森の「光星学院」。昨年の夏の甲子園、今年の春のセンバツ共に準優勝、OBに巨人の坂本勇人がいるなど、強豪校として知られている。そんな同校は、"カトリック系"。今年の青森県大会決勝では、キリスト教関係者もドキドキの、"プロテスタント系"の「聖愛高校」との“教派対決”を制し、甲子園出場を決めた。

 しかし、昨年の夏の甲子園では、スタメン9人中8人が大阪出身(残り1人は沖縄)だったということもあり、“第2大阪代表”や“外人部隊”と揶揄されたり、「青森・光星学院のエース、大阪出身の秋田(教良)君」とファンを混乱させたり、同甲子園出場メンバーの飲酒が発覚(それも選手本人のブログで……)して停学処分になったり……と、試合以外でも話題を振りまき、“ゴッド・チャイルド”にあるまじき狼藉で、今や甲子園のヒールとしての印象がすっかり定着してしまっている。

 飲酒事件は、ミサの“ぶどう酒”だったのかもしれないが、まるでカトリックの教えが浸透していないようなその素行。それもそのはず、実は同校創立者のヨゼフ中村由太郎氏が熱心なカトリック教徒だったというだけで、教育方針にも「カトリック精神に則り道徳教育を施し〜」とはあるものの、特に宗教関連の授業はない。唯一の宗教行事といえば、12月にクリスマス会をする程度なのだ。“ヒール”のレッテルを貼られてしまった現状を見て、天国のヨゼフ氏は何を思うか……。アーメン。

 とはいえ、全国的にはヒールでも、地元・青森の人たちは“おらが地元の高校”として応援しているので、どうか“第2大阪代表”なんて無粋なことは言わないでほしい。だって、今年の光星学院はベンチ入りメンバー18人中大阪出身は7人と、昨年の10人よりも控えめだし、準々決勝で神奈川の桐光学園を完封したエース・金沢湧紀投手は、八戸出身なんですから! 東北勢初の甲子園優勝を期待しています。アーメン。

 そして、東北勢もうひとつの宗教校が、福島の「聖光学院」だ。光星学院と同じくカトリック系の学校であり、名前も似ていてややこしいが、こちらのほうがより学校自体の宗教色が強く、毎朝15分間の宗教朝礼、週1回の聖書の授業が必修科目となっている。野球部に関しても、斎藤智也監督は選手に対し、「命の使い方がわかる」ことを教え込むそうだ。もちろん「高校野球で命を燃やしつくして散れ!」といった特攻精神ではなく、長い人生を生きる上での運命や使命を説くという、カトリック系学校ならではの教育方針。甲子園出場に向けて行われた壮行会でも、お祈りは欠かさないというゴッド・ブレスな学校なのである。

 こういった教育の賜物か神のご加護か、聖光学院は現在、福島県内の公式戦76連勝中と圧倒的な強さを誇る。とはいえ、甲子園ではベスト8が最高で、今大会では3季連続の「2回戦の壁」に敗れてしまった。「最高の入り方だったんだけど……。うちの粘りでも浦学さんの猛打をしのぎきれなかった」と斎藤監督は敗戦のお立ち台で何度も首をひねっていたが、もしかすると、“命の使い方”が、間違っていたのかもしれませんね……。

 次回以降は、キリスト系のほか、仏教系、神道系、新興宗教系など、有名どころが集まる関東、西日本の宗教系学校について紹介しよう。
(高橋ダイスケ)

<参考資料>
『甲子園 伝説&未来の名将列伝』(スコラムック)
『高校野球 甲子園 全出場校 大事典』(東京堂出版)


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