【プロ野球】契約更改の舞台裏…一発サインはファンサービス!?

デイリーニュースオンライン / 2014年12月7日 8時50分

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 連日報道されているプロ野球の契約更改。1億だ2億だと聞くと、「プロ野球選手っていいなぁ」と羨ましくなる。ところで、来季の年俸とはどのように決まるのだろうか。知られざる内側を、元プロ野球選手に聞いてみた(金額はすべて推定)。

「一発サイン」はマスコミやファン向けのアピール!?

 70年代に一世を風靡した元プロ野球選手がこう語る。

「今の時代はいいよな。オレらのころなんて、チームトップで5千万円ぐらいだった。あと10年遅く生まれていたら、オレも億万長者だったよ」

 こう嘆くのも無理はない。この選手が活躍したのはFA(フリーエージェント)制度の導入前。落合博満(当時中日、現中日GM)が日本球界初の1億円プレイヤーとなったのは1987年である。その後導入されたFA制度により選手側の権利が高まり、野球界の年俸は高騰する一方となった。1億円選手が70人以上も存在する現在、止まらないのが「年俸バブル」だ。

 そんな中、当時も今もさほど変わらないのが「球団の査定方法」である。

「打席ごとに細かな貢献度(数字)が書かれており、査定表の集計と成績を元に金額は決まるよ。ただ、たとえば無死二塁で右狙いをして1死三塁になり、次打者が犠牲フライを打ち上げたとするでしょ。こういう進塁打が『単なる内野ゴロ』で済まされちゃうんだ。今はきちんとみてくれる球団もあるようだけど、昔は違ったね」

 また、ほとんどの選手が「一発サイン」する裏にはこんな仕組みも。

「契約更改の前に下交渉があるんだよ。これこれこういう査定でいくら、と前もってやってるわけ。そうすると『あの球団は年俸でもめない』とのイメージがつくでしょ。特にモメそうな選手の場合なんか、そうだね」

 モメそうな選手とは、どういう選手か。

「過去に契約を保留した選手や金に細かい選手だね。『これじゃ納得できません』と言える立場の選手だよ」

 契約更改でモメる・モメないの違いは「球団経営にも関係がある」とも。「1億円プレイヤーが続出しているソフトバンクとか、大した活躍もしてない選手を60%もアップさせた巨人などは余裕だらけ。保留する選手なんかいないよね」

中田翔と陽岱鋼の「2億円」の裏にある球団の意図

 12月初め、日本ハムの4番打者・中田翔が2億円で契約更改した日、3番打者の陽岱鋼も同じ額面だったことがニュースになった。球団のトップとして二人が並んだわけだが、これについても次のように解説してくれた。

「13年に盗塁王となった陽は、昨年オフに2億円の2年契約を結んだよね。中田は今年、打点王になり、昨年の1億5千万円から2億円になった。二人ともタイトルホルダーになったことで同格になったわけだ。年俸とは球団内の序列でもあり、同格選手の差をつけるわけにはいかないでしょ。これはどの球団でもあることだよ」

 両雄並び立たず、と言われるが、年俸査定においては「両雄を並ばせねばならない」ようである。ただし、二人の年齢に差がある場合、後輩選手に「表向きは1千万円安いことにしておくが、実際は同じだ」などと言い含めることもあるそうだ。

スター選手の「破格年俸」のしわ寄せが他の選手に……

 一般的に、年俸を決めるのは球団代表の役割であり、総年俸には「枠」が設けられている。たとえば「総額32億円から33億円の間で収めろ」などという指示がオーナーサイドから出ており、その枠内で収められるかどうかが、腕の見せどころとなる。

「わかりやすく言えば、選手たちは総年俸を『ぶんどり合戦』してるわけ。スター選手に大盤振る舞いした分のしわ寄せがほかの選手にくる。納得できない選手が保留するのも、そういう要因があるんだ」

 つまり、どんぶり勘定的な面も多分に存在するわけだが、それも致し方なし。なぜなら、サラリーマンのように「今年度の売り上げ」という「金額的な物差し」が存在しない。あくまで成績が元となる。

「だから『同じぐらいの成績を挙げた他球団の選手』の年俸をすごく意識するよ。『A球団のBは5千万円で、なぜ僕が4千万円なんですか?』とかね」

 来季の提示額に納得がいかない中日の大島洋平は、過去に自分と同様の成績を挙げた選手の事例を持ち出したが、それも当然。「悪かったら下げられるのだから、良かったら奮発して上げないとダメだよ」と語る元選手は、最後にこう締めくくった。

「保留選手を“銭ゲバ”のように評する人もいるけど、プロ野球選手の寿命って平均10年で、稼げる選手なんてほんの一部だよ」

 登録選手70人のうち、一軍ベンチは25人、さらにスタメンは9人。エースと4番は1人ずつ。究極のピラミッド社会だが、大相撲のように番付で給料が決まるわけではない。金銭的評価という番付を上げるため、選手たちは必死なのである。

(取材・文/後藤豊)

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