子どもを「突撃隊」に変える北朝鮮孤児院の悲惨な現状

デイリーNKジャパン / 2020年10月23日 7時5分

新義州の朝鮮人民軍兵士(デイリーNK)

北朝鮮北西部の平安北道(ピョンアンブクト)東林(トンリム)郡。中国との国境に接する地域で、コロナ前には外国人観光客が多く訪れていた。

受け入れにあたって北朝鮮当局は、宿泊施設の建築のみならず、道路や周辺の住宅などの整備作業も行ったと伝えられる。かつては教化所(刑務所)だった施設も、孤児院に改造した。観光名所にして、体制のプロパガンダと投資の誘致に利用する目的だ。

(参考記事:刑務所を孤児院に改造した金正恩体制の「悪趣味な目的」

ところが、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)の情報筋が伝えた、この孤児院の現状は悲惨なものだ。

「最近、平安北道東林郡にある孤児院(初等学院)周辺で、10歳に満たない子どもたちが、まともに食べられずに倒れているのがよく発見される」

慌てた孤児院は子どもたちを収容した上で、聞き取り調査を行った。すると、親がわざわざ近所まで連れてきた上で、捨てていったことが判明した。このような子どもたちは、確認されただけで今年5月以降で20人ほどになる。

情報筋によると、新型コロナウイルス対策の余波による深刻な生活苦で、餓死直前に追い込まれた親たちが、夜中に子どもを捨てていくのだという。

孤児院からの通報を受けた司法当局は、親を探し出して、子どもを連れて行くように命じようとした。しかし、すでに行方不明となっていたため、孤児院で育てさせることにした。親たちはおそらく、生きていくためにどこかに出稼ぎに行ったのだろうが、足手まといになる子どもを置いていったのかもしれない。

(参考記事:コロナ不況で食い詰めた人々が目指す北朝鮮の「黄金郷」

孤児院は頭を抱えている。ただでさえ、収容されていた200人の孤児を養うための食糧が不足している状況なのに、捨て子20人の面倒まで見きれないとして、地方政府に食糧支援をするよう養成した。しかし、「親のいる捨て子は孤児ではない」との理由で、要請を断られたとのことだ。

結局、10歳の子どもを建設現場に働きに行かせて、自分の食い扶持は自分で稼がせることにした。一方で、残りの200人以上の子どもたちには、孤児院付属の農場で収穫したトウモロコシを粥にして食べさせている。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋は、清津(チョンジン)中等学院につれてこられるコチェビ(ストリート・チルドレン)が増えていると伝えた。こちらも、親に捨てられた子どもたちだ。

清津中等学院は捨て子をすべて引き受けているが、13歳から15歳の子どもは建設現場に働きに行かせて、運営資金を稼がせている。また、17歳になれば、軍や突撃隊(半強制の建設ボランティア)に送り出している。

咸鏡北道の当局は、そのようなやり方を批判するどころか、自力で孤児を育てる模範的な孤児院として称賛している。

地域住民は、「最高尊厳(金正恩党委員長)の指示で全国に作られた育児院、愛育院、中等学院は、当局が孤児を集めて建設労働者にするための収容所」だと、当局のやり方を批判している。

(参考記事:「物乞いを収容せよ」金正恩命令に国民から疑問の声

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