北朝鮮、援助のワクチンで体制宣伝の可能性「元帥様のおかげ」

デイリーNKジャパン / 2021年2月16日 8時30分

北朝鮮の防疫活動(労働新聞)

世界保健機関(WHO)は昨年9月、新型コロナウイルスのワクチンを世界各国で共同購入して分配する国際的枠組み「COVAXファシリティ」に、世界156カ国が参加することになったと発表した。高所得国にあたる64カ国が自国分のワクチンを確保した上で支援を行い、残りの中・低所得国にもワクチンを分配する仕組みだ。

北朝鮮もその恩恵を受けることになった。COVAXは北朝鮮に199万2000回分のワクチンを供給する計画だと、米政府系のボイス・オブ・アメリカ(VOA)が報じている。

このワクチンは、英国のオックスフォード大学と製薬大手のアストラゼネカ社が共同開発し、インド血清研究所が製造するもので、2回の接種が必要となる。そのため、総人口2500万人のうち、接種できるのは99万6000人に過ぎない。また、停電が頻発する北朝鮮で、ワクチンの適切な保管ができるのかなどの課題もある。

(参考記事:「金正恩ニュース」の時間帯に停電、発電所員ら絶体絶命

ワクチン接種体制の構築について、ユニセフの担当者は米政府系ラジオ・フリー・アジア(RFA)のインタビューに、北朝鮮に対してもWHOと共に支援の用意ができていると答えた。

しかし、北朝鮮は昨年1月から国境を封鎖しており、早ければ今月末から始まると見られるワクチンの輸送を受け入れるかが鍵となる。

米国のシンクタンク、国益研究センター(CFTNI)のハリー・カジアニス研究員はRFAの取材に、北朝鮮が国境封鎖を解くまで今後9ヶ月から12ヶ月かかるだろうとして、ワクチンが導入されても医療従事者や高齢者ではなく、平壌の高位級幹部など政権の安定に重要な階層に属する約50万人が優先されるだろうとの見方を示した。

米国のランド研究所の朝鮮半島専門の政策アナリスト、スー・キム氏は、金正恩総書記とその家族がワクチン接種の最優先対象となり、接種が進めば金正恩氏の指導力のおかげと宣伝に利用し、国際社会に対して融和姿勢を見せないだろうと見ている。

そもそも、自国でのコロナ感染者の発生を認めていない北朝鮮に、ワクチンが必要なのかとの見方も存在するが、超特級非常防疫措置を発動し、隔離措置、地域間の移動制限、ロックダウンを頻発していることから、程度は不明ながら、感染者がいると見てまず間違いないだろう。

(参考記事:北朝鮮のコロナ対策の移動制限、撤廃されるもわずか9日で復活

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