「感染症で死者続出」W杯予選ドタキャンの北朝鮮、国内で深刻な事態
デイリーNKジャパン / 2024年4月1日 6時1分
感染症への懸念を理由に2026年ワールドカップ(W杯)アジア2次予選の日本戦をドタキャンした北朝鮮だが、そのかいもなく、国内では新型コロナウイルスと思しき症状を見せる患者が急増している。
北部の両江道(リャンガンド)では、3月に入ってから肺炎患者が増えていると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。その原因は外部から流入よりも、むしろ金正恩政権の極端な防疫措置にあるとの指摘も聞こえる。
(参考記事:「気絶、失禁する人が続出」北朝鮮、軍人虐殺の生々しい場面)
現地の情報筋は、道内の白岩(ペガム)郡で3人、甲山(カプサン)郡で2人の子どもが、コロナと思しき症状を見せ、肺炎を発症して死亡したと伝えた。
また、別の情報筋は、内閣保健省が、コロナ非常防疫司令部を再び立ち上げたと伝えた。これに伴い両江道と各市、郡の非常防疫指揮部も活動を再開し、1日2回住宅を回って住民の検温を行い、高熱患者の素早い発見に取り組んでいる。
地域では10歳の少年が、コロナを疑わせる症状を見せ、あっという間に亡くなってしまったことが口コミで広がり、人々に衝撃を与えた。
ただ、今回の感染症が新型コロナウイルスであるかは不明だ。
朝鮮労働党機関紙・労働新聞は1月11日と3月11日の2回、マイコプラズマ肺炎に関する記事を掲載した。胸痛、頭痛、咽頭痛、高熱、咳などが一般的な症状で、主に免疫力の弱い子どもがかかりやすく、抗生剤で治療するなどと書かれている。
金正恩総書記が2022年8月、新型コロナウイルスとの「非常防疫戦」での勝利宣言を行った。これに反することが起きれば、金正恩氏の顔に泥を塗ることになるというのが、北朝鮮式の考え方だ。
そのため、勝利宣言後に熱病患者が発生しても、コロナであることは認めない。政治的リスクのあるPCR検査を行うよりも、確定診断を行わず、一般的な対処療法で回復を待つ方がいいだろう。上述のマイコプラズマ肺炎の記事も、その点を配慮してのものかもしれない。
そもそも、死者が続出する事態になったのは、国の失政によるところが大きい。
「死者が出たのは、ここ数年間まともに栄養を取れておらず、免疫力が弱まったからだ」(情報筋)
(参考記事:北朝鮮「骨と皮だけの女性兵士」が走った禁断の行為)
金正恩氏は、国内でコロナが拡散することを恐れるがあまり、国境を完全に封鎖し、人だけでなく、モノの行き来も遮断してしまった。そのせいで食糧を得られない人が続出したが、コロナ明け後にもその状況は変わっていない。穀物はもちろん、ほとんどの品目の市場での販売を禁じたことで、現金収入を得られなくなった国民は、眼の前に食べ物があっても買うことができないのだ。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
「夜道が恐ろしい」外出禁止が解除されても出歩く人が少ない北朝鮮
デイリーNKジャパン / 2024年4月30日 15時29分
-
「また太陽かよ」3つ目の太陽に飽き飽きする北朝鮮国民
デイリーNKジャパン / 2024年4月25日 10時50分
-
金正恩の名物「お菓子セット」に異変…首をかしげる北朝鮮国民
デイリーNKジャパン / 2024年4月21日 10時45分
-
「常識外れもはなはだしい」金正恩命令に批判…食糧不足を加重
デイリーNKジャパン / 2024年4月16日 5時2分
-
男女20人が相次ぎ死亡した、北朝鮮「新義州ホテル」の闇
デイリーNKジャパン / 2024年4月16日 4時31分
ランキング
-
1シーク教徒殺害計画に印政府関与疑惑、米政府「深刻に受け止め」
ロイター / 2024年4月30日 15時40分
-
2妨害電波で「フィンエアー」が一部運休 ロシア関与の指摘も
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年4月30日 11時34分
-
3ガザ病院職員がICC検察官に証言、戦争犯罪の疑いで捜査
ロイター / 2024年4月30日 10時11分
-
4中国が対ロ「地下ルート」貿易決済、制裁逃れで苦肉の策
ロイター / 2024年4月30日 14時2分
-
5米でシーク教指導者“殺害計画” 関与疑われるインド「懸念すべき問題で政府の方針に反する」
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年4月30日 18時57分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください