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北朝鮮の平壌で「ノンカロリー」流行、隣接地域は飢餓地獄

デイリーNKジャパン / 2024年7月2日 4時2分

娘とともに軍創建記念宴に出席した金正恩氏(2023年2月8日付朝鮮中央通信)

「お客様の中には、食後に大城山アイスクリームをお召し上がりになる方が多いです」(大聖百貨店の店員 キム・ヒョジョンさん)

北朝鮮の朝鮮コンピュータセンターが運営するポータルサイト「ネナラ」は26日、「みんな大好き大城山アイスクリーム工場の製品」という動画を公開した。

動画の前半は、平壌市内の高級百貨店である大聖(テソン)百貨店の店員や客のインタビューで構成されている。「とても評判がいい」という店員の話、「美味しい」という消費者の声を伝える内容だが、中にはこんな声があった。

「無糖食品だからいいですね」
チャ・ギョンエさん

百貨店を利用する層の間では、ノンカロリー、ノンシュガーなどの製品の人気が高いようだ。工場は、それを狙って無糖のアイスクリームを販売したのだろう。

1999年に脱北して現在は韓国在住のキム・ウンジュさんは、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)の取材にこのように述べた。

「北朝鮮の住民の多くが、韓国ドラマやラジオで健康に関する情報に接していて、スリムな体が美の基準と認識されるようになった。それでノンシュガー、ノンカロリーが好評なようだ。若者がトレンドをリードするので、アイスクリーム生産で彼らの要求や需要を反映させた可能性が高い」

このサイトは北朝鮮国内では閲覧できないものだが、北朝鮮国民が視聴可能な国営の朝鮮中央テレビでは、「人民愛の道のりに打ち立てられた工場」「誰もが一番に手に取る食品に」というタイトルでアイスクリーム工場を紹介する2本の番組が、それぞれ13回、4回も繰り返し放送されている。

ネナラで公開された動画と同じ内容かは不明だが、このタイミングでノンシュガー食品を持ち上げるのは、悪手と言わざるを得ないだろう。

北朝鮮国民の多くは現在、深刻な食糧不足に苦しめられている。前年の収穫の蓄えが底をつき、初夏に麦の収穫が始まるまで食べるものがない「ポリッコゲ」(麦の峠、春窮)の真っ只中にあるのだ。

平壌市内中心部からわずか30キロしか離れていない江東(カンドン)郡の食糧状況について、平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋はこのように伝えている。

「山から取ってきた草に、トウモロコシの粉を一握り混ぜて作った粥で生きながらえている人がほとんどで、それすらも満足な量が得られない。農村の人々の生活を目の当たりにすれば、これが人間の生活かと思うほどだ」

(参考記事:北朝鮮「骨と皮だけの女性兵士」が走った禁断の行為

北朝鮮は、中国から大量のコメを取り寄せたが、カビが生えて異物が混じっており、中国では家畜の餌として使われるほどの低質のものだった。それも腹いっぱいは食べられず、粥にしてかさ増しし、なんとか空腹を満たす程度だ。低カロリーどころか、高カロリーな食品が求められているのだ。

(参考記事:「カビが生えてる」「家畜のエサかよ」北朝鮮国民が憤る金正恩の食糧政策

裕福そうな女の子が、ゼロカロリーアイスクリームを頬張る画像を見て、北朝鮮の人々が何を思うのか、金正恩総書記は考えたことがあるのだろうか。

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