「中国は千年の宿敵」金正恩の”憎悪”が再発した理由は
デイリーNKジャパン / 2024年9月20日 11時2分
韓国紙・中央日報は20日、北朝鮮の金正恩総書記が中国のことを「宿敵」と呼んでいることがわかったと報じた。両国関係はこのところ、冷却化が観測されているが、それが国家の最高レベルにまで及んでいる可能性がある。
中央日報は、次のように伝えている。
複数の北朝鮮事情に詳しい消息筋は19日、中央日報に「最近、金正恩が自分たちに圧力を強化する中国に対して『宿敵』という発言をしたと聞いている」と話した。 これに先立ち、金正恩は今年7月、中国駐在外交官らに「中国の顔色をうかがうな」という指示を出したが、これと似た脈絡に見えるということだ。
同紙はさらに、中国に駐在する北朝鮮の外交官らが、7月31日に開かれた中国の建軍97周年レセプションに参加せず、また9月9日の北朝鮮の建国記念行事に、中国の王亜軍大使が「休暇」を理由に参加しなかった状況も伝えた。
(参考記事:中国が北朝鮮に「圧力」…両国間に正体不明の異常気流)
この報道を待つまでもなく、中朝関係の冷却化は様々な面で観測されている。例えば共同通信は8月25日、複数の外交筋の情報として、中国が北朝鮮との国境近くに無線局の新設を計画していることを受けて、北朝鮮が国際機関に「規則違反」を申し立てていると報じた。「中朝間の意見対立が表面化するのは異例」とも伝えた。
そもそも、北朝鮮が中国を「宿敵」と呼ぶのは、これが初めてではない。2017年末に北朝鮮国内で行われた政治講演では、講師が「日本は百年の宿敵、中国は千年の宿敵」という表現を使って中国への警戒心を高めるよう聴衆に求め、会場のどよめきを誘ったとされる。
この当時、北朝鮮と中国の関係は最悪の状態にあった。国連安全保障理事会では北朝鮮に対して制裁を科す決議が、2006年から2017年にかけての11年間で11本が採択されている。安保理決議は、米英中露仏の常任理事国5カ国のうちひとつでも「拒否権」を行使すれば、採択されない。つまり、北朝鮮の友好国である中国(そしてロシア)も、賛成していたということだ。
また、11本の決議のうち8本は、金正恩氏の執権後に採択されたものだ。これはつまり、中国が「目に余る」と見る行動を、金正恩氏が集中的に取ってきたということだ。また、同氏は2013年12月、中国とのパイプ役だった叔父の張成沢(チャン・ソンテク)元朝鮮労働党行政部長を処刑し、彼に連なる人脈を粛清した。
(参考記事:【写真】北朝鮮の「清純派女優」はこうして金正恩に抹殺された)
その後、米中関係の悪化もあり、金正恩氏が習近平国家主席に取り入る形で関係が修復されるのだが、再度の冷却化は今年に入って観測されている。しかも、今年は中朝の国交樹立75周年に当たり、両国は「親善一色」でもおかしくないのにかかわらずだ。
両国の関係冷却化には、北朝鮮とロシアの急接近が何らかの形で影響しているものと見られるが、直接的な原因は定かでない。今後の動向が注目される。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
【独自】北朝鮮製ドローン兵器のキーマン カンボジアに“外交官”として潜伏 偽名は「Douglas」
日テレNEWS NNN / 2024年11月15日 23時12分
-
金正恩が激怒「アメリカ担当官」のむごたらしい死に様
デイリーNKジャパン / 2024年11月11日 5時2分
-
トランプ外交政策が「やりたい放題になる」根拠 2期目は好き放題にできる環境が整う
東洋経済オンライン / 2024年11月7日 18時0分
-
金正恩氏側近のロシア派遣を確認 韓国、NATOに伝達
共同通信 / 2024年10月29日 1時5分
-
ウクライナ戦争に金正恩が「暴風軍団」を派遣...北朝鮮とロシアの接近に中国・習近平が苛立つワケ
ニューズウィーク日本版 / 2024年10月26日 12時11分
ランキング
-
1イスラエル首相らに逮捕状、ICC ガザで戦争犯罪容疑
ロイター / 2024年11月22日 3時50分
-
2レバノン東部空爆47人死亡 イスラエル、ヒズボラ停戦交渉中
共同通信 / 2024年11月22日 7時13分
-
3ロシアがわずか1000km先にICBM発射情報、アメリカへ「核攻撃いとわない」警告か
読売新聞 / 2024年11月21日 20時1分
-
4“長距離ミサイル攻撃”駐日ロシア大使が批判…西側諸国が「露と戦うということ」
日テレNEWS NNN / 2024年11月21日 18時11分
-
5プーチン大統領、2週間近く公の場に姿見せず 3年間で最長 露独立系メディア
日テレNEWS NNN / 2024年11月21日 21時23分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください