北朝鮮で「違法エステ」が流行、当局が摘発に血道
デイリーNKジャパン / 2024年9月23日 5時2分
韓国ドラマにはしばしば、眉毛が非常に濃い中高年の女性が登場する。いわゆる「眉毛のアートメイク」の施術を受けた人だが、実際はタトゥーであり、法的にはグレーゾーンにある。
大法院(最高裁判所)は1992年5月に、「タトゥーは医療行為」との判決を下し、医師以外の施術は違法行為となった。しかし、実際はエステサロンなどで行われる場合がほとんどで、エステティシャンによる法廷闘争も行われている。今年5月に大邱地裁で行われた陪審員裁判では4対3で違法とされたが、清州地裁は昨年8月、釜山地裁は同年12月に無罪判決を下すなど、司法の判断も分かれている。
韓ドラの影響を受けたのだろうか、北朝鮮の女性の間でも眉毛のタトゥーを受ける者が多いが、朝鮮労働党咸鏡北道(ハムギョンブクト)委員会は、眉毛のタトゥーを「非医療的行為」であり「資本主義的行為」だとして、厳しい取り締まりに乗り出した。現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。
(参考記事:北朝鮮「最新刺青事情」…女性は美容で刺青)
非医療的行為とされたのは、眉毛のタトゥー以外に、二重整形、シワの除去などがあるが、医師が医療目的で行うのではなく、無許可の個人が自宅などでエステサロンを開いての施術は違法ということだ。美容目的で体にメスをいれるのは資本主義文化に基づくもので、これで金儲けをするのは反社会主義行為であり、体制への挑戦だとしている。革命をほったらかしにして、個人的に美を追求するのはけしからんという理屈なのだろう。
(参考記事:「見てはいけない」ボロボロにされた女子大生に北朝鮮国民も衝撃)
清津(チョンジン)、金策(キムチェク)などの道内の都市では、7月下旬から本格的な取り締まりが始まった。安全部(警察署)の機動打撃隊が、疑わしい民家を抜き打ちで検査する形で行い、住民にも報奨金付きで密告を奨励している。
ところが、これが思わぬ隣人トラブルへと発展している。
現場に踏み込まれ摘発された人たちが、連行される最中に「私を告発したのは誰なの!?」とわめき散らしたのだ。これを聞いた近隣住民たちは、当局のみならず隣人に対しても不審感を抱くようになる。
(参考記事:「美顔マッサージ」の値段はコメ10キロ…北朝鮮最新エステ事情)
「(市場抑制策で)商売あがったりで経済的に苦しくなるばかりでこのままでは飢えで一家全滅だ。だから皆、国が禁止することをやってでも生き残ろうとしている」(住民)
北朝鮮の人々は、密告者がいればコミュニティから徹底的に排除しようとする。多かれ少なかれ違法行為をしなければ生きていけない社会で、密告者がそばにいれば、自分の身に危険が及ぶからだ。また、そのようにすることで、密告者を牽制するという意味合いもある。
今回の場合、経済的に苦しく、報奨金に目がくらんだ誰かが密告をした可能性が考えられるが、近隣住民にバレたらもはや生きていけないだろう。
(参考記事:「子どもに冗談を言ったら密告され…」北朝鮮は金正恩のスパイだらけ)
さて、今回の取り締まりだが、時が経つに連れウヤムヤになる兆しが見えている。力のある地域の幹部とコネがある人は、うまく取り締まりを逃れている。実際、あらかじめ取り締まりに関する情報を流してもらい、機動打撃隊がやってくるのに合わせて、家を留守にして、ほとぼりが覚めるまで身を隠している人もいる。
また機動打撃隊も、タトゥーを施術している人を摘発してはワイロを要求し、なかったことにしたりする。
当局が「資本主義文化」と呼び排斥するものは、北朝鮮の人々が好むものだ。また、美に気を使うことと資本主義を結びつけるのにも限界がある。人々が求めているのは、誰もが自由に商売をして、普通の暮らしができることだが、タトゥーの取り締まりなど何の役にも立たない。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
カワノアユミの盛り場より愛を込めて 沖縄・那覇のソープ街を直撃、個人売春の価格破壊 未成年者がマッチングアプリで参入、求められる厳格で徹底した取り締まり
zakzak by夕刊フジ / 2024年11月21日 6時30分
-
男女18人が死亡…北朝鮮「薄暗い密室」での鬼畜行為
デイリーNKジャパン / 2024年11月15日 6時51分
-
金与正を批判し相次ぎ失踪「家族ごと一夜にして消えた」
デイリーNKジャパン / 2024年11月5日 4時32分
-
朝鮮労働党でサボタージュ横行…金正恩失政で拍車
デイリーNKジャパン / 2024年10月27日 8時49分
-
「農業の何倍も儲かる」北朝鮮国民がアヘン密造に血眼
デイリーNKジャパン / 2024年10月24日 4時34分
ランキング
-
1イスラエル首相らに逮捕状、ICC ガザで戦争犯罪容疑
ロイター / 2024年11月22日 3時50分
-
2レバノン東部空爆47人死亡 イスラエル、ヒズボラ停戦交渉中
共同通信 / 2024年11月22日 7時13分
-
3ロシアがわずか1000km先にICBM発射情報、アメリカへ「核攻撃いとわない」警告か
読売新聞 / 2024年11月21日 20時1分
-
4“長距離ミサイル攻撃”駐日ロシア大使が批判…西側諸国が「露と戦うということ」
日テレNEWS NNN / 2024年11月21日 18時11分
-
5プーチン大統領、2週間近く公の場に姿見せず 3年間で最長 露独立系メディア
日テレNEWS NNN / 2024年11月21日 21時23分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください