金正恩が激怒「アメリカ担当官」のむごたらしい死に様
デイリーNKジャパン / 2024年11月11日 5時2分
米国の大統領選挙でドナルド・トランプ氏が勝利したことを受けて、米朝関係の行方に注目が集まっている。
たしかに、トランプ氏と金正恩総書記の間には一定の信頼関係が築かれていたように見えるし、それは米朝首脳としては歴史上初めてのことだった。その関係が、今後の両国の向き合い方に影響する可能性は小さくない。
しかし、金正恩氏は2019年までの米朝対話の失敗に懲りて、非核化の可能性を完全に否定している。加えて、米国に代わって金正恩氏の関心の的となっているロシアは、食糧にエネルギー、軍事技術と、北朝鮮が当面必要とするすべての要素を解決できる能力を持っている。
そしてもうひとつ、北朝鮮国内に米朝対話の歩みを遅らせる要素がある。
崔善姫(チェ・ソニ)外相を除き、これまで米朝対話を担った主要な北朝鮮外交官たちは、もう外交の現場にいない。単に引退したというだけでなく、処刑や粛清という悲惨な最期を迎えた人々もいる。
(参考記事:北朝鮮の15歳少女「見せしめ強制体験」の生々しい場面)
その最たる例といえるのが、金正恩氏の怒りを受けて処刑された韓成烈(ハン・ソンリョル)元米国担当外務次官だろう。
2023年11月に脱北し韓国に亡命したリ・イルギュ元駐キューバ大使館参事は朝鮮日報とのインタビューで、次のように語っている。
「韓成烈は『米国スパイ』という容疑で公開処刑された。2019年2月12日だったか、(平壌順安空港近くの)姜健軍官学校に外務省副局長以上の幹部を集めて銃殺現場を見させた。 私はその時、キューバの発令を受けるために抜けた。銃殺現場を見た人々は、何日も食事がのどを通らなかったと言っていた」
まだ韓氏の銃殺現場を見たという証言者は出ておらず、具体的にどのようなものだったかは詳らかでない。
だが、金正恩氏は大口径の高射機銃で人体をバラバラにするという方式の「発明者」でもあり、それに準ずるものだった可能性がある。
(参考記事:【写真】玄永哲氏の銃殺で使用の「高射銃」、人体が跡形もなく吹き飛び…)
ちなみに、韓氏が「スパイ」とされた根拠は、ニューヨークの国連代表部での勤務期間中に、在米韓国人と交流を持った事実にあったとされる。同氏は在米韓国人から受け取ったカネを娘の学費にあてていたとされるが、それが実は「黒いカネ」――すなわち“敵国”の情報機関などから出たものだったと判断されたという。
韓氏に対する取り調べは非人道的なものであった可能性が高く、そこで語られた内容がどれだけ事実に近いものだったかは疑わしい。
(参考記事:北朝鮮女性を追いつめる「太さ7センチ」の残虐行為)
仮に、同氏が本当にカネを受け取っていたにせよ、その一因は、外交官にすら十分な資金を使わせない国家の態度にある。
このような現実を目の当たりにしながら、北朝鮮の優秀な若者たちが、外交の最前線に立ちたいと願うだろうか。金正恩氏は自らの残忍さが、自らの選択肢を奪っている現実に気付くべきだ。
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