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北朝鮮「収買法」の全文を入手…計画経済を核にしつつ市場経済的要素を一部で許容

デイリーNKジャパン / 2024年12月5日 13時54分

北朝鮮の糧穀販売所(2023年1月25日付労働新聞)

韓国デイリーNKはこのほど、北朝鮮が2022年に制定した収買法の全文の入手に成功した。朝鮮語で「収買」とは買い取りを意味する。

この法律は、国家ならびにその他の機関が行う収買事業全般を体系化し、管理、監督し、民事的、行政的な処罰条項を含んでいる。収買の形態と目的を明確に区別し、様々な収買方式を許容することで、国家主導の計画経済を強化しようとする意図がうかがえる。

(参考記事:【全文】北朝鮮「収買法」

収買法第3条は、収買を「計画収買」と「自由収買」に分けている。計画収買とは、国家計画機関の設定により行われ、自由収買は売り手と買い取る企業所間の自律的な契約に基づくものだ。同法第4条、第6条は、売り手が積極的に資源を探し、自発的に参加できるような条件を保障し、当事者の利益の確保を規定している。

第12条は、自由収買契約の締結に関する内容を盛り込んでいる。この条項によると、自由収買では、売り手と買い取る企業所が自律的な意思に基づいて契約を結ぶことができる。特に、協同団体が買い取る側である場合、書面契約を原則とするが、必要に応じて口頭契約も許容される。

第27条は、収買価格の決定方式を規定している。計画収買の場合、国家価格機関が収買価格を定め、自由収買では収買者と収買企業所間の合意で価格を決定できる。国家価格機関は、この過程で収買事業に参加する団体と個人が実質的な利害関係を持てるように価格を合理的に設定しなければならないと明記している。

デイリーNK ANDセンターのファン・ヒョヌク主任研究員は、この収買法について次のように解説した。

「この法律は計画収買と自由収買を並行し中央の統制を維持しつつも、市場化された経済活動を部分的に許容する特徴を持つ」
「法律に自由収買という表現が使われているが、これは計画された体系の中での制限的な自由でしかない」

さらに、「北朝鮮当局は、収買計画と収買価格の決定権限を中央機関に集中させ、専門収買企業所の役割を強調することで、全ての収買活動を直接統制・管理しようとする意図が見える」とし、「収買価格と条件が依然として国家の管理下にあり、実際に自由に取引できる範囲が制限されると推測される」と説明した。

また、収買法には収買事業を全国民的な動員体制で行おうとする北朝鮮当局の意図が明確に表れている。住民を単なる資源提供者として見るのではなく、資源発掘と動員の積極的な主体として参加させようとする戦略とみられる。

第4条は、「収買事業を全群衆的運動として繰り広げて、生産に必要な原料、資材の源泉を積極的に見つけることは、朝鮮民主主義人民共和国の一貫した政策だ」と明記し、住民の動員について言及している。

一方で第21条は「地方人民委員会と当該機関、企業所、団体は、すべての公民が収買事業に動員され、収買源泉を集中収買できるように収買宣伝を強化しなければならない」と規定している。

これについて、ファン氏は次のように説明した。

「収買活動を全群衆的な運動と規定し、住民の参加を義務化して全国的に資源と労働力を動員しようとする意図が表れている」「これは住民の自発的な参加を装った強制動員の形態と見ることができる」と指摘した。

最後に第37条から第42条までは、収買計画を履行しない、または遅延させた場合、罰金、没収、警告、無報酬労働などの処罰を規定している。これは、収買事業の秩序と安定性を維持し、徹底した計画履行を保証しようとする当局の強い意志を反映したものとみられる。

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