「兵士の大量死」目撃した金正恩”愛娘”のメンタル破壊
デイリーNKジャパン / 2024年12月11日 5時5分
金正恩朝鮮総書記の娘が北朝鮮メディアに初登場してから、先月19日で2年となった。この間、30回を超す公開活動が伝えられ、注目度が高まっている。
今年8月には軍の式典では叔母である金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党副部長に座席へ案内される様子が確認されたことなどから、父親の後継者説も力を帯びている。
しかし、本当に権力を継承できるかは「その時までわからない」というのが筆者の立場だ。彼女が権力を継承するには、越えねばならない関門が多く存在するからだ。
韓国SBSニュースは4月5日、金正恩総書記が娘とともに視察した軍の空挺部隊の3月15日の降下訓練で事故が発生し、十数人の死者を含む数十人の死傷者が発生したもようだと報じた。
(参考記事:【画像】「炎に包まれる兵士」北朝鮮 、ICBM発射で死亡事故か…米メディア報道)
SBSで北朝鮮問題を専門とするアン・ジョンシク記者は番組で、朝鮮中央テレビの映像を示しながら、次のように解説した。
「風が強く吹いており、軍人たちが輸送機から飛び降りるやいなや、パラシュートがほぼ水平方向に飛んでいくのを見ることができます。このように強風の中で降下したため、所々、パラシュートが絡まっているような様子が見えます。また輸送機の前方部分に人が引っかかったような姿も見えています」
このような場面を目の当たりにしたとしたら、彼女のメンタルにネガティブな作用があったのではないかと懸念される。
しかし、独裁者への階段を踏んでいくのだとしたら、この程度の体験では済まされない。父の金正恩氏は、大口径の対空機銃で人体を吹き飛ばすという、金日成・金正日時代にも見られなかった処刑方式を「発明」した人物である。
(参考記事:北朝鮮の15歳少女「見せしめ強制体験」の生々しい場面)
そうした彼の残忍さが恐怖政治にさらなる力を与えているのは、疑いようがない。
そのように維持されてきた体制を継承するには、ある程度、暴力の適性が必要になる。後継者はそれを証明してこそ自らの身の安泰も保障されるのだ。しかし現時点において、北朝鮮で目下「ナンバー2」の位置にあると見られる金与正氏ですら、それを証明したとは言えない。
金正恩氏の娘が生まれつきの「暴君」であるならいざ知らず、権力の階段を上がるに従って目撃せざるを得ない凄惨な現実に、そのメンタルは耐えられるのだろうか。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
「青白く痩せた金正恩の息子」神秘性重視で人前に出られずか
デイリーNKジャパン / 2024年12月16日 4時37分
-
権力空白の韓国に北朝鮮が沈黙している不気味…尹錫悦に挑発され続けたのに金正恩は高みの見物?
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年12月11日 11時3分
-
兵士ら18人を処刑させた、金与正からの「脅迫状」
デイリーNKジャパン / 2024年11月25日 5時4分
-
金正恩氏の娘、存在感高める 初登場から2年、後継説は不明
共同通信 / 2024年11月19日 15時58分
-
北朝鮮の欧州派兵は第2次朝鮮戦争の前哨戦? 韓国とロシアの最新兵器が砲火を交える日は遠くない
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月18日 19時34分
ランキング
-
1アサド政権崩壊が示すロシアの「影響力低下」地中海軍事拠点と大国の威信が揺らぐ
ニューズウィーク日本版 / 2024年12月18日 10時30分
-
2ハリス氏、政治闘争の継続呼びかけ 敗北疲れの支持者激励
ロイター / 2024年12月18日 9時18分
-
3韓国戒厳令の後始末に奔走した与党「国民の力」韓東勲氏の娘に「MIT不正入学」疑惑 剥いても剥いても疑惑が出てくる“タマネギ男”が追及する泥仕合
NEWSポストセブン / 2024年12月18日 7時15分
-
4住宅価格は推定2500万ドル〜7500万ドル...ロシアに亡命したアサド一家の豪華な暮らしとプーチンの意図
ニューズウィーク日本版 / 2024年12月18日 10時45分
-
5ゴーン元日産会長が23日に外国特派員協会で会見、逃亡から5年
ロイター / 2024年12月18日 13時12分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください