「砂金が採れる」冬の凍った農地を掘り返す北朝鮮の人々
デイリーNKジャパン / 2025年1月5日 7時1分
北朝鮮の人々は、市場で商売をして現金収入を得て、生活を成り立たせていた。しかし近年、市場に対する締め付けが強まり、販売禁止品目が急増した。例えば穀物だ。
国は、農場で収穫された穀物を国営の糧穀販売所でのみ販売できるようにして、穀物の流れのすべてを手中に収めようとしている。商人たちは、穀物の密売を続けているようだが、そうこうしているうちに販売禁止になるものがどんどん増えていった。最近では、新たに魚介類の扱いが禁じられた。
(参考記事:「海は国のもの、だから魚も国のもの」市場システムの破壊を続ける北朝鮮)
儲けの大きいものの多くが取り扱いできなくなった中、人々はより「ヤバいもの」に手を付けた。砂金だ。その現場を平安北道(ピョンアンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。
秋の収穫を終えた農民たちは、春までの間、農地を借りる。農作業を行うわけではなく、砂金を採るのだ。
砂金採りと言えば、川に入ってザルで水や砂を掬い、そこから小さな砂金を見つけ出すというのが従来の方法だが、最近では、農地を掘り起こして砂金を見つけ出す。多くが手作業だが、中には掘削機を動員して、土を掘り返す人もいる。
北朝鮮では、個人の金の所有、売買が禁じられており、砂金採りもできないことになっている。しかし、いくらでも抜け道はある。
まず、地元の朝鮮労働党委員会の幹部、分駐所(交番)の安全員(警察官)や保衛部(秘密警察)にワイロを掴ませ、採取の許可を得る。そして、砂金採りが合法的に行える5号管理事業所などの外貨稼ぎ機関にもワイロを渡し、名義を貸してもらう。こうすれば、問題なく砂金採りができる。
「この国(北朝鮮)ではワイロさえ掴ませればできないことはない」(情報筋)
(参考記事:「ゴールドラッシュに沸く北朝鮮」埋蔵量は世界有数だが…)
農地ならば、大々的に掘り返しても田起こしや土壌改良の作業などといくらでもごまかしが効く。ただ、リスクがまったくないわけではない。
今月初め、新義州(シニジュ)のある農場で、砂金採りのため農地を掘り起こしていたところ、実態調査で農場にやって来た平安北道農村経理委員会の幹部にバレてしまい、農場幹部まで含めて関係者全員が取り調べを受けるハメとなった。
(参考記事:ある夫婦の「口封じ」で幕…中朝国境を震撼させた某重大事件)
そうなった理由は、「砂金業者がワイロをケチろうとした」(情報筋)せいで、最初から農村経理委員会にワイロを掴ませていれば、特に問題にはならなかったはずだ。
ちなみに金の密輸、密売は極めて重い罪とされ、発覚すれば死刑だ。
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