流血した女子高生を吊し上げ…北朝鮮で「やりすぎ風紀指導」
デイリーNKジャパン / 2025年1月6日 4時44分
外国文化の影響を嫌う北朝鮮は、男性に10種類、女性に18種類の推奨ヘアスタイルを決めている。国営の理髪店、美容院ではこのヘアスタイル以外の注文は受け付けない。
しかし流行に敏感な若者たちは、お仕着せのヘアスタイルを嫌い、民間人が営む美容院に通う。そんな美容室の経営者が摘発され懲役刑の判決を受けたと、両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。
摘発された美容師のキムさんは、10年前から恵山(ヘサン)市内の自宅を改造して美容室を営み、料金は他より高めだが、「外国のヘアスタイルにしてくれる」ことで、若者の人気を集めていた。
ところが先月2日、キムさんの店でパーマを当ててもらった若い女性が、路上で私服の安全員に携帯電話の検査を受けた。ターゲットはK-POPのPVや韓国ドラマ、映画などのファイルだ。安全員は携帯電話を徹底的に調べたが、問題になるようなものは何も見つけられなかった。
(参考記事:北朝鮮の女子高生が「骨と皮だけ」にされた禁断の行為)
すると安全員は、彼女のヘアスタイルにいちゃもんをつけ始めた。茶髪のパーマヘアは社会主義生活様式に合わない「異色的な(奇妙な)髪型」だと言い出したのだ。安全員は、彼女を連れてキムさんの美容室に向い、現場で西洋人がモデルになった様々なヘアカタログを発見。これが「反動思想文化排撃法」に違反するとして、キムさんは6カ月もの強制労働を命じられた。
北朝鮮ではこうした風紀取締りが日常茶飯事だが、6カ月の強制労働はあまりに重い処罰だ。
近年では、こうした「行き過ぎ」が目立つようになっている。やはり昨年には、女子高生が流血する騒ぎに発展したケースもある。
清津(チョンジン)市の水南(スナム)区域の路上で、高級中学校(高校)に通う15歳の少女が、スキニーパンツを履いていたとの理由で糾察隊(取締り班)に摘発された。「スキニーパンツではない」と抗議する彼女と姉に、糾察隊が暴力を振るったのだ。
(参考記事:北朝鮮女性を追いつめる「太さ7センチ」の残虐行為)
10人もの男子大学生が、女子高生とその姉を殴りつけるのを見た通行人は、周囲を取り囲み強く抗議し始めた。
「最高指導者(金正恩総書記)とその娘は長い髪にレザージャケットを着て、サングラスをかけても問題にならないのに、なぜ人民はズボンひとつも自由に履けないのか」(市民)
やがて抗議する市民は数十人に膨れ上がり、おそれをなした糾察隊は安全部(警察署)に通報し、鎮圧を要請した。出動した安全員は、市民を解散させ、ケガをして血まみれになった女子高生と姉を青年同盟の委員会に連行した。結局、1人あたり5000北朝鮮ウォンの罰金と、集団批判(吊し上げ)の処分を受けることとなった。
この例に見るように、当局の取締り強化に対し、反発する市民のストレスも大きくなっている。
体制への「悪影響」を嫌って行われている取締りが、むしろ体制の不安要因に化けていく可能性もある。
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