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「頭が真っ白に」北朝鮮兵らの境遇を知った家族の運命

デイリーNKジャパン / 2025年1月17日 4時54分

ウクライナ軍の捕虜となった北朝鮮兵(ウクライナ保安局)

韓国軍は16日、軍事境界線沿いに設置した北朝鮮向け拡声器放送を通じ、ロシア・クルスクの戦場で北朝鮮兵2人が捕虜となった事実を北朝鮮国民に知らせた。

韓国軍当局によると、放送では「大韓民国国家情報院は12日、ウクライナ軍がロシア・クルスクの戦場で北朝鮮兵2人を捕らえた事実を確認した」と明らかにした。さらに、兵士らがそれぞれ1999年と2005年生まれであり、所属は偵察総局で、2016年と2021年から軍に服務したとみられるとも伝えた。

拡声器放送は、昼は10キロ先、夜間は24キロ先まで音声が届くとされるが、どれほどの人々に伝わるかは未知数だ。

北朝鮮国民は国家の情報統制により、海外のニュースに接することができない。しかし、ウクライナ当局が公開した捕虜2人の映像や写真は、いずれ北朝鮮国内へ秘密裏に流入し、人々の目に触れるものと見られる。

ただ、相当数の人々がそれを見るまでには、かなりの時間差が生じる。それまでの間、ロシアで起きていることを北朝鮮の人々が知るための最も有力なツールは、中国の情報環境に無制限で接続できる中国キャリアの携帯電話だろう。実際、北朝鮮当局は中国キャリアの携帯電話を「スパイ手段」と見なし、情け容赦なく取り締まっている。

(参考記事:北朝鮮女性を追いつめる「太さ7センチ」の残虐行為

昨年10月に北朝鮮のロシア派兵が明らかになった当初から、中朝国境地帯に住むブローカーが隠し持つ中国キャリアの携帯電話は、威力を発揮していた。携帯の所有者を通じ、「わが国(北朝鮮)がウクライナと戦っているロシアを支援するために兵士を送った」との噂が一気に広がったのだ。

同時に、子どもが兵役中の親たちの間では、「もしかして自分の子どもがウクライナ(ロシア)に派遣されたのではないか」との不安が広がった。息子を軍に送り出した恵山市在住の50代の市民は、次のように述べていた。

「派遣の知らせを聞いた瞬間、頭が真っ白になった。落ち着かず、すぐにでも息子の部隊に行きたいと何百回も思ったが、面会ができないと言われ、胸に灰が残るようだ」

そして今、ウクライナ当局が公開した捕虜2人の情報は、北朝鮮の人々の間で急速に拡散している可能性が高い。ちなみに、中国当局も自国に都合の悪い情報を流さないよう国内メディアを統制しているが、北朝鮮兵捕虜の情報には制限がかけられておらず、中国キャリアの情報端末を持つ人は誰でも見ることができる。

仮に、捕虜2人の近親者が彼らの情報に触れているとするなら、「頭が真っ白」どころの騒ぎではないだろう。親たちは、息子の命に別条がなさそうなのを見て、ひとまずは安堵するかもしれない。しかし次の瞬間には、自分たちを含む家族の心配をせざるを得なくなる。

(参考記事:「泣き叫ぶ妻子に村中が…」北朝鮮で最も”残酷な夜”

それ以前にもしかしたら、北朝鮮当局がすでに家族らの身柄を確保しているかもしれない。

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