「家族ともども見せしめ」金正恩、高校生も公開処刑
デイリーNKジャパン / 2025年2月3日 5時2分
米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)も2022年12月3日、北朝鮮の両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)市で韓流ドラマや映画などを視聴し、拡散させたとして摘発された高校生ら3人が、10月に公開処刑されていたとする衝撃的な情報を伝えた。
処刑された3人のうち、2人は韓流コンテンツやアダルトビデオを流布したとして摘発された。もうひとりは継母を殺害したとして逮捕されていたという。
(参考記事:北朝鮮の15歳少女「見せしめ強制体験」の生々しい場面)
こうした出来事がショッキングだったのはもちろんだが、今になって気になるのは、RFAが同じ記事で伝えていた現地消息筋の次のような証言だ。
「10代の学生が韓国映画を視聴して摘発されると、最初は労働鍛錬隊(軽犯罪者用の刑務所)送りの処罰を受ける。再び摘発されると5年の労働教化刑(懲役)を受け、両親も責任を問われ教化所(刑務所)に収監される。しかし、韓国映画とドラマを流布したり販売したりして摘発されると、未成年者でも死刑になる」
北朝鮮の最高人民会議常任委員会は2020年12月4日の第14期第12回総会で、「反動思想文化排撃法」を採択した。同法では、韓流コンテンツを流布した者に対する最高刑は死刑とされており、これが高校生にも厳格に適用されているものと思われる。
一方、同法の条文のどこを読んでも、違反した子どもの親を刑務所送りにするという規定はない。第37条4項に「子どもに対する教育教養を無責任に行い、反動思想文化犯罪を発生させた場合10万~20万ウォン」の罰金を科すと定められているのみだ。
ところが昨年10月、隠れてK-POP を聞いていた15歳の高校生2人が摘発され、その家族全員が管理所(政治犯収容所)送りになる事件が実際に起きた。
(参考記事:「泣き叫ぶ妻子に村中が…」北朝鮮で最も”残酷な夜”)
それなのに実際には、違反者の家族までが刑務所、あるいは政治犯収容所に送られたとする情報が多数に上る。これは、同法の違反者が事実上、政治犯と同列に扱われていることを意味している。北朝鮮では多くの場合、政治犯の家族や親族に対して連座制が適用されているからだ。
北朝鮮の連座制が、何らかの法律に基づいたものなのか、あるいは超法規的かつ恣意的に運用されているものなのかはハッキリしない。それでも、国民の多くはそうした仕組みがあることを理解している。
そのため、一部の違反者の家族に対して連座制を適用し、「誰かが捕まったら一家が全滅しかねない」との噂が流れさえすれば、「見せしめ」として機能する。だから反動思想文化排撃法の条文の中で、敢えて連座制を定める必要がなかったのかもしれない。
ともかく、お上のさじ加減一つで運命が変わるとは実に恐ろしいことだ。そんな状況に置かれた人々は、常に権力の顔色をうかがわねばならなくなり、それこそが独裁体制による国民統制を容易にしているのかもしれない。
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