今や「略奪の象徴」と化した北朝鮮軍部隊のいかがわしい任務
デイリーNKジャパン / 2025年2月4日 4時45分
米ニューヨーク・タイムズは先月31日、米国、ウクライナ当局者の話として、ウクライナ軍と戦闘を繰り広げていた北朝鮮兵士が、約2週間前から前線に姿を表していないと報じた。
ウクライナ軍最高司令官のシルスキー総司令官は、北朝鮮の兵力1万1000人が派遣されて以降、3カ月で半減したことを理由に挙げた。戦死者と負傷者の数は、情報源ごとに異なっているが、多くの命が失われたことに疑いの余地はない。
この情報は北朝鮮国内でも広がり、不安や混乱を生んでいる。
(参考記事:「捕虜になった北朝鮮兵」家族はこうして殺される)
一方、北朝鮮国内でも最近、多くの朝鮮人民軍(北朝鮮軍)兵士が命を落とした。それも、ウクライナとは全く関係のないことでだ。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。
両江道(リャンガンド)の幹部によると、先月26日、道内の普天(ポチョン)郡佳林里(カリムリ)で、トラックが崖から転落し、乗っていた6人が死亡する事故が起きた。
6人は恵山(ヘサン)市の郊外、劔山里(コムサンリ)に駐屯する朝鮮人民軍第8総局の小隊長と兵士たちで、違法に伐採した丸太を載せて運んでいたところを、普天郡安全部(警察署)のオートバイに発見され、追跡されていた。
なんとか逃げ切ろうとスピードを出しすぎて、覆蓋峰(ポッケボン)の崖から転落し、運転席に乗っていた小隊長と運転兵、荷台に乗っていた兵士4人の合わせて6人が投げ出され死亡した。彼らは、丸太を売り払って、先月29日の旧正月の宴会の費用にしようとしていた模様だ。
(参考記事:北朝鮮「骨と皮だけの女性兵士」が走った禁断の行為)
小隊長が同行していたこと、トラックを使っていたことなどから、丸太の違法伐採は上官の命令で行われた「任務」と思われる。しかし、同じ任務でもウクライナで戦死した兵士の遺族には手厚い補償が行われるのとは異なり、今回の事故で亡くなった兵士の遺族は補償はおろか、遺骨すら手渡されない可能性が高い。
(参考記事:北朝鮮、ロシア戦死者遺族にタワマン贈与…親たちは「そんなもの要らない」)
事件はほかにも起きている。
先月27日午前11時ごろ、恵山から甲山(カプサン)の境界線にあるアンガン嶺道路で、オートバイ2台に分乗した兵士4人が、刀と棍棒を手に甲山郡林産事業所のトラックを襲撃、自動車用バッテリーを盗んで逃走する事件が起きた。トラックに乗っていた林産事業所の技師長や住民11人の眼の前で犯行が行われた。
この近隣には朝鮮人民軍の第43軽歩兵旅団が駐屯しているが、「マフノ部隊」と呼ばれ、恐れられている。マフノとは、ロシア革命時の黒軍の将、ネストル・マフノのことで、略奪の象徴だ。実際、この付近では兵士による強盗事件が相次いでいる。
北朝鮮の多くの若者がウクライナ侵略の片棒をかつがされ、ロシアからの援助と引き換えに戦場で命を落としている。その裏では同じ若者が、違法行為に駆り出され命を落としていたのだ。
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