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トランプとの会談失敗で消えた、金正恩「女性通訳官」の悲劇

デイリーNKジャパン / 2025年2月6日 4時48分

北朝鮮のシン・ヘヨン通訳官(デイリーNK)

北朝鮮国営の朝鮮中央通信は4日、イスラエルがパレスチナ・ガザ地区での停戦後もヨルダン川西岸で軍事作戦を続けていることを非難する論評を配信。その中で、トランプ米大統領が示唆したガザ住民のエジプトとヨルダンへの移住案を批判した。

トランプ米大統領は北朝鮮との対話を再開する意向を示しているが、北朝鮮側はこれに応じる動きを見せず、むしろ金正恩総書記が核物質生産施設を視察するなど、核能力と軍事力をアピールする行動を取っている。

金正恩氏は、第1次トランプ政権との交渉失敗に相当、懲りていると見られるが、それは北朝鮮の外交官たちも同じかもしれない。

韓国紙・朝鮮日報は2019年5月31日、同年2月末のハノイでの米朝首脳会談が決裂した責任を問われ、米国との事前交渉に当たっていた北朝鮮国務委員会の金革哲(キム・ヒョクチョル)対米特別代表が、3月に平壌郊外の美林(ミリム)飛行場で銃殺されたと報じた。

(参考記事:北朝鮮の15歳少女「見せしめ強制体験」の生々しい場面

同紙はまた、女性幹部の金聖恵(キム・ソンへ)党統一戦線部統一策略室長とシン・ヘヨン通訳官は、政治犯収容所に送られたとも伝えた。

同紙のこの報道は、誤りであったことが後にわかっている。韓国に亡命した北朝鮮の元外交官らの証言によると、金革哲氏は銃殺されておらず、炭鉱での6カ月間の革命化措置を受けるとともに降格され、外務省傘下の研究所で研究員をしているという。

また、金聖恵氏とシン・ヘヨン氏も同様に、しばらく「陸の孤島」に連れ去られたのち、平壌に復帰して外交当局や図書館の下級職員として働いているという。

(参考記事:「泣き叫ぶ妻子に村中が…」北朝鮮で最も”残酷な夜”

とはいえ、北朝鮮において誰もがうらやむエリートコースを走っていたこれらの人々が、対米交渉の失敗により人生を大きく狂わされたことに変わりはない。金正恩氏の虫の居所によっては、本当に銃殺される危険もあった。

そのためか最近の北朝鮮外務省では、「出世欲のある若手が減った」と、ある脱北外交官は語る。「2階から落ちても骨折程度で済むが、10階から落ちたら命はない」と言って、昇進をほどほどにとどめようとするのだという。

北朝鮮の官僚機構はきわめて硬直していて、外交などに投入できる政治的・物質的リソースも限られる。そのため難しい局面を打開するためには、諸外国にも増して、官僚たち個人の能力とやる気が問われることになる。

北朝鮮の外交官たちが、対米関係改善への意欲を失っているのだとすれば、それは見えない所で、米朝関係にも影響を及ぼしているかもしれない。

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