変態マンガ? それとも青春?原作者&アニメ監督が話題作『惡の華』を語る 

ダ・ヴィンチニュース / 2013年4月18日 12時20分

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『惡の華(7)』(押見修造/講談社)

 発行部数累計140万部を突破した話題作『惡の華』のTVアニメが、この4月にスタート。ロトスコープを用いた写実的な描写が話題をよんでいる。好きな女子の体操着を盗んでしまった文学少年・春日と、悪魔のように官能的に、でもどこか神々しく彼に「契約」を迫る仲村。「クソムシ」に満ちた世界に倦み、「向こう側」へ行こうとする二人。思春期とは何か? 成長とは何か? 『ダ・ヴィンチ』5月号では、原作者・押見修造とアニメ監督・長濵博史の対談が掲載された。

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【長濵】 最初にお会いしたときに、『惡の華』と同じ方向性の作品は『太陽を盗んだ男』(1979年 東宝)、というお話をさせていただいたんですよね。

【押見】 そのとおりだと思いました。あれはまさに青春映画です。沢田研二の演じる主人公はどうしようもないモヤモヤを抱えていて、それを自分のやり方でぶちまけようとする。『惡の華』も最初は体操着を盗むシーンがあって、一見、変態マンガのようなんですが、でも本質はそこにはないんです。僕自身、「これが青春じゃなくて何が青春だ」という気持ちで描いていて。春日は、ちゃんと自分でものを考える中学生っていうか。借り物じゃなくて、自分で何かを発見していく。そして、その過程で自分とも向き合う。監督は、そういう作品性を本当によく理解してくださっていますよね。

【長濵】 ありがとうございます! 脚本段階から先生とほぼ毎週お会いして、全話チェックしていただいたんですよね。人物の感情の流れや表情、すべて話し合って。アニメ作りは、わかりやすさを求めることが多いんです。活発な明るいヒロイン、みたいな。でも、『惡の華』の人物にはわからない部分がある。春日にも仲村にも。人間って、本当はわからないものなんですよね。『惡の華』には、本物の人間がいると思うんです。

【押見】 確かに表情については、なるべく曖昧なものを描きたいんですよ。いろいろなものが混ざり合った、はっきり言葉にできない感情が表れている。そこがマンガやアニメよりも、実写的なのかもしれませんね。

【長濵】 変態マンガのようだけど実は違うというお話にもつながるんですが、この作品全体がわかりやすさを排してますよね。最近、○○系とか○○的とかカテゴライズして、何でも型にはめてしまうじゃないですか。それで全部理解した気になっている。でも『惡の華』は、そういうカテゴライズが全然ない。ギャグやホラーや多様な要素が入っていて、ストーリー自体どんどん変貌する。

【押見】 そうですね。変態マンガの体で始まって(笑)、春日の思春期が徐々にクローズアップされて、そこからさらに変貌する。今、単行本は7巻まで出ていますが、「これ同じマンガなのかな」と読者が思ってくださったら嬉しいですね。


取材・文=松井美緒
(『ダ・ヴィンチ』5月号「コミックDV」より)

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