空前の登山ブームで観光化!? 素人でもエベレスト登山は可能か?

ダ・ヴィンチニュース / 2013年6月16日 7時20分

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『エベレスト登頂請負い業』(村口徳行/山と渓谷社)

 先月、三浦雄一郎氏が世界最高齢となる80歳でエベレストの登頂に成功したことが大きくニュースで取り上げられた。その一方で、経験豊富な登山家がエベレストで事故に見舞われることも多く、国内でも、昨年の山岳遭難が過去最高の発生数であったことが報じられた。空前の登山ブームの中、やはり夢はエベレスト登頂……という人も多いだろうが、どうすれば安全にエベレストに挑むことができるのだろうか。

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 ここで紹介したいのが、日本人最多となる5回という登頂数を誇る映像カメラマン・村口徳行の『エベレスト登頂請負い業』(山と渓谷社)だ。本書では、70歳で登頂した三浦や、野口健など、これまで彼が同行したケースを紹介し、エベレストの頂上への辿りつき方が綴られている。この中から、著者によるエベレストへのチャレンジの仕方を取り上げよう。

 まず、著者は「僕の見解では、ある程度の体力と技術さえ持ち合わせている健康な人であるなら、十分可能」と述べている。必要なのは「(特殊な環境に)適応する能力や多少の精神力、知識」。十分な準備があれば、防げた事故も多いはずだという。

 では、いざ登頂を目指した場合、どのように準備をするべきなのか。第一に、準備は「遅くとも半年前」にははじめよう。準備というのは何も荷造りばかりではない。高所登山用の体をつくるトレーニングだ。基本となるのは、ランニングや自転車をこぐなどの有酸素運動。これによって心肺機能を高める。「上半身の筋肉を必要以上につけず、下半身の強化を意識する」ことが大切だ。

 このトレーニング期間中には、「基本的な行動を理解するため」の行動表づくりも行う。数年間のデータから、登頂確率の高いと思われる「天候のよい日」を登頂日に選んだら、そこから逆算して行動表を組み立てよう。これによって荷揚げするべき必要な装備や食料、酸素、燃料などの重さや数が見えてくる。この作業をひとりで行うと見落としや間違いも多いそうなので、数名で検討したほうがいいらしい。もし現地で問題が発生したときも、この確認を数名で行っていれば「責任を分散」することができるので、逃げ道としても必要とのこと。

 準備が整えばあとは山に登るだけだが、本番前には高所に順応するためのトレーニングも行おう。望ましいのは2週間、4500メートルの高さに体を順応させること。著者は「ゴーキョ・ピーク、カラパタール、ペリチェの裏山」や「ゴサインクンド、トロン・パス、ヤラ・ピークあたり」が手頃で楽しいとオススメしている。国内の場合は、やはり富士山が「もっとも効果の上がるトレーニング場所」となるが、環境に慣れるという意味でも、現地でゆとりをもって順応トレーニングを行うことが望ましいという。カトマンズで準備を行い、本番では少しずつ高度を上げながら「丁寧に順応」していけば、「たいていの場合うまくいくだろう」と綴っている。

 標高8848メートルにもなるエベレストに挑むには、おおよそ約2ヵ月かかる。最近では、酸素を積極的に使った登頂期間の短縮も試みとしてあるようだが、著者は「酸素に頼りすぎる危険性と順応の問題」を挙げ、「山を楽しめるだけの体力を作ってからトライしたいと思っている」という。ツアーでエベレストに挑戦する人も増えているというが、事故を防ぐには何よりトレーニングと準備だ。著者も「いくつかのヒマラヤの高峰で経験を積んでからトライすることがけっこう重要」「実際に何年もヒマラヤの高峰を登っていなければ、その経験はたいした意味を持たない」と書いているように、エベレストを目指す人はぜひそのことを肝に銘じて欲しい。
 

(ダ・ヴィンチ電子ナビより)

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